がっ‐しょう〔‐シヤウ〕【合唱】例文一覧 30件

  1. ・・・ 寝しずまった町並を、張りのある男声の合唱が鳴りひびくと、無頓着な無恥な高笑いがそれに続いた。あの青年たちはもう立止る頃だとクララが思うと、その通りに彼らは突然阪の中途で足をとめた。互に何か探し合っているようだったが、やがて彼ら・・・<有島武郎「クララの出家」青空文庫>
  2. ・・・ おひるごろから、ひとりでぼそぼそ仕事をしていると、わかい女の合唱が聞えて来る。私はペンを休めて、耳傾ける。下宿と小路ひとつ距て製糸工場が在るのだ。そこの女工さんたちが、作業しながら、唄うのだ。なかにひとつ、際立っていい声が在って、そい・・・<太宰治「I can speak」青空文庫>
  3. ・・・ やがてビイルが届き、様々の料理も来て、私達は何だか意味のわからない歌を合唱したように覚えて居ます。夕靄につつまれた、眼前の狩野川は満々と水を湛え、岸の青葉を嘗めてゆるゆると流れて居ました。おそろしい程深い蒼い川で、ライン川とはこんなの・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  4.  東京は、いま、働く少女で一ぱいです。朝夕、工場の行き帰り、少女たちは二列縦隊に並んで産業戦士の歌を合唱しながら東京の街を行進します。ほとんどもう、男の子と同じ服装をしています。でも、下駄の鼻緒が赤くて、その一点にだけ、女の・・・<太宰治「東京だより」青空文庫>
  5. ・・・遠くから、はる、こうろうの花のえん、の合唱が聞える。学童たちの声にまじって、菊代らしき女の声もまじる。間。そうお願い致します。なんですか?ああやって歌をうたって遊ぶのが、都会ふうで、そうして文化的とか・・・<太宰治「春の枯葉」青空文庫>
  6. ・・・の実に不愉快にして愚劣なる「洛陽餓ゆ」のごときものに比べるとそれはいかなる意味においても比較にならぬほどよい。「スピード・アップ・ホー」の合唱のごときはなはだばかげていてノンセンスではあるが、そのノンセンスの中にはおのずからノンセンスの律動・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  7. ・・・映画はそれほどおもしろいとは思わなかったが、その中でトロイカの御者の歌う民謡と、営舎の中の群集の男声合唱とを実に美しいと思った。もっと聞きたいと思うところで容赦なく歌は終わってしまう。 「ハイデルベルヒの学生歌」でも窓下の学生のセレネー・・・<寺田寅彦「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」青空文庫>
  8. ・・・そしてそれらの勇士を弔う唱歌の女学校生徒の合唱などがいっそう若い頭を感傷的にしたものである。一つは観客席が暗がりであるための効果もあったのである。同じ効果は活動写真の場合においても考慮に加えらるべきであろう。 疾くに故人となった甥の亮が・・・<寺田寅彦「映画時代」青空文庫>
  9. ・・・その包囲の真中から何かしら合唱の声が聞こえる。かつて聞いた事のない唱歌のような読経のような、ゆるやかな旋律が聞こえているが何をしているか外からは見えない。一段高い台の上で映画撮影をやっているのが見える。そこを通り抜けて停車場の方へと裏町を歩・・・<寺田寅彦「高原」青空文庫>
  10. ・・・寺の堂内には年取った婦人が大勢集まって合唱をしていた。慌ただしい復旧工事の際足手纏いで邪魔になるお婆さん達が時を殺すためにここに寄っているのかという想像をしてみたが事実は分らない。 久能山麓を海岸に沿うて南へ行くに従って損害が急に眼立っ・・・<寺田寅彦「静岡地震被害見学記」青空文庫>
  11. ・・・それはなんの歌だかわからないが、二部の合唱で、静かな穏やかな清らかな感じのするものであった。汽車のゴーゴーという単調な重々しい基音の上に、清らかに澄みきった二つの音の流れがゆるやかな拍子で合ったり離れたり入り乱れて流れて行く。窓の外にはさら・・・<寺田寅彦「写生紀行」青空文庫>
  12. ・・・もっともピアノなどにはしばしば相当長い独奏曲があるにはあるが、これはしかし、見方によれば常にあまたの同時に響く音の並行であって、肉声ならばちょうど四部合唱のようなものを一つの器械を借りて一人の手で奏しているようなものである。実際、ピアノの高・・・<寺田寅彦「連句雑俎」青空文庫>
  13. ・・・左隊右壁に沿い足踏み曹長特務曹長(互に進み寄り足踏みつつ唱「糧食はなし 四月の寒さストマクウオッチももうめちゃめちゃだ。」合唱「どうしたのだろう、バナナン大将もう一遍だけ 見て来よう。・・・<宮沢賢治「饑餓陣営」青空文庫>
  14. ・・・よほどの人数で合唱しているらしいのでした。青年はさっと顔いろが青ざめ、たって一ぺんそっちへ行きそうにしましたが思いかえしてまた座りました。かおる子はハンケチを顔にあててしまいました。ジョバンニまで何だか鼻が変になりました。けれどもいつともな・・・<宮沢賢治「銀河鉄道の夜」青空文庫>
  15. ・・・それには表に ビジテリアン大祭次第挙祭挨拶論難反駁祭歌合唱祈祷閉式挨拶会食会員紹介余興    以上と刷ってあり私たちがそれを受け取った時丁度九時五分前でした。 式場の中はぎっしりでした。そ・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  16. ・・・「ああつまらないつまらない、もう一生合唱手だわ。いちど女王にしてくれたら、あしたは死んでもいいんだけど。」 となりの黒斑のはいった花がすぐ引きとって云いました。「それはもちろんあたしもそうよ。だってスターにならなくたってどうせあ・・・<宮沢賢治「ひのきとひなげし」青空文庫>
  17. ・・・ 須井一の「幼き合唱」と「樹のない村」とはこの観点からわれわれに何を教えるであろうか。「幼き合唱」において作者は漁師の息子である小学校教師佐田のブルジョア教育に対する反抗を書いている。貧乏なばかりに師範の五年間を屈辱の中に過し、それ・・・<宮本百合子「一連の非プロレタリア的作品」青空文庫>
  18. ・・・ お天気の好い日には、其の沢山の葉が、みな日光にキラキラと輝き、下萌えの草は風に戦ぎ、何処か見えない枝の蔭で囀る小鳥の声が、チイチクチクチクと、楽しそうに合唱します。真個に輝く太陽や、樹や小鳥は、美しゅうございます。 政子さんも、そ・・・<宮本百合子「いとこ同志」青空文庫>
  19. ・・・併し、常磐津、長唄、管絃楽と、能がかりな科白とオペラの合唱のようなものとの混合は、面白い思いつきと云う以上、何処まで発育し得るものであろう。自分には分らない。とにかく邯鄲は、材料も適したものであったと云えよう。「犬」は、しんみりと演じ、・・・<宮本百合子「印象」青空文庫>
  20. ・・・ 広場に向って開いているラジオ拡声機からは、絶え間なく、活溌な合唱、又は交響楽がはじきだされる。 すばらしいメーデーの飾をみようとして、広場に集まる群衆は一時過ぎてもたえなかった。 ソヴェト同盟で、社会主義的社会建設のために全プ・・・<宮本百合子「インターナショナルとともに」青空文庫>
  21. ・・・めはなんとなく弱く、あるいは数も少いその歌声が、やがてもっと多くの、まったく新しい社会各面の人々の心の声々を誘いだし、その各様の発声を錬磨し、諸音正しく思いを披瀝し、新しい日本の豊富にして雄大な人民の合唱としてゆかなければならない。 新・・・<宮本百合子「歌声よ、おこれ」青空文庫>
  22. ・・・へ「合唱する人たち」へ通じます。「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」には、心と耳とをかたむけてそれをきき、いつしか自分もその行進にまきこまれて足をすすめ出すような音楽がみちています。この音楽と、いつか展望にのった高村光太郎の「ブランデンブルグ」・・・<宮本百合子「鉛筆の詩人へ」青空文庫>
  23. ・・・「やがてどこからとなく単調な合唱がいつまでも聞えて来る。それはラテン語の詩句や、歴史の年代、或いは数学の与件を、大声で云って見ずにはいられない子供たちの声なのである」その騒々しいなかでも、一旦或ることに注意をあつめたら最後、マーニャの気を外・・・<宮本百合子「キュリー夫人の命の焔」青空文庫>
  24. ・・・が、その連中は会社側が渡した日の丸の旗を振ることを大衆的に拒絶し、プラットフォームで戦争反対の演説をやって、メーデー歌を合唱したという話がある。又、ストライキに入った第一日に従業員出身の現役兵が籠城中の争議団員のところへやって来て、一緒に「・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  25. ・・・アルプスの山の中の羊飼の男のヨーデルの合唱が聴え、日本の豆腐屋のラッパの声がそれに混っている。私は何を別に話すというのではなく、貴方に呼びかけている。それは、呼びかけるということが、実に沢山の、云いつくされない沢山の感情と感覚との圧縮的表現・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  26. ・・・一人が低い声で仕事とリズムを合わせて唄い出すと、やがて一人それに加わり、また一人加わり、終には甲高な声をあげ、若い女工まで、このストトン、ストトンという節に一種センチメンタルな哀愁さえ含ませて一同合唱する。 何とかして通やせぬストトン、・・・<宮本百合子「この夏」青空文庫>
  27. ・・・本精神の昂揚、個人主義、自由主義、功利主義、唯物主義の打破等精神総動員の趣旨の徹底をはかり学生、生徒、児童等には愛国行進その他団体運動を行わせ、これらの集会、行進等に際しては今回選定された愛国行進曲を合唱させること等を報じている。聖戦祝勝の・・・<宮本百合子「今日の文学の展望」青空文庫>
  28. ・・・ことしのメーデーに自立合唱団や劇団はどんな自分たちの催しものを、全勤労者のメーデーの賑わいに交える計画だろう。日本でもメーデーには勤労階級が自分たちのなかから芽ばえはじめた歌や踊りを行進のよろこびに加える段階に進んで来た。 今年もわたし・・・<宮本百合子「正義の花の環」青空文庫>
  29. ・・・「幼き合唱」に対して、その作品がプロレタリア的観点からの著しい背離の傾向を以て書かれていることを指摘した点は、正鵠を得ている。両者の批評に際して、これらを決定的な非プロレタリア的作品としてしまっている点が誤りである。「樹のない村」につい・・・<宮本百合子「前進のために」青空文庫>
  30. ・・・やがてそれを追いかけるように低い大きい合唱が始まる。屈折の少ない、しかし濃淡の細やかなそのメロディーは、最初の独唱によってまた身震いを感じないでいられなかった我々の祖先の心を、大きい融け合った響きの海の内に流し込む。苦しいほどの緊張は快い静・・・<和辻哲郎「偶像崇拝の心理」青空文庫>