かつて【曽て/×嘗て】 の意味

  1. [副]
  1. 過去のある一時期を表す語。以前。昔。「―京都にいたころ」「―の名選手」
  1. (あとに打消しの語を伴って用いる)今まで一度も。ついぞ。「―ないにぎわいを見せる」「いまだ―聞いたことがない」
  1. (あとに打消しの語を伴って用いる)まったく。全然。
    • 「木高 (こだか) くは―木植ゑじほととぎす来鳴きとよめて恋増さらしむ」〈・一九四六〉
  1. [補説]近世以降「かって」ともいう。
  • かつて【曽て/×嘗て】の例文

    出典:青空文庫

    • ・・・ 私も嘗て、本郷なる何某と云うレストランに、久米とマンハッタン・カクテルに酔いて、その生活の放漫なるを非難したる事ありしが、何時か久米の倨然たる一家の風格を感じたのを見ては、鶏は陸に米を啄み家鴨は水に泥鰌を追うを悟り、寝静まりたる家家の・・・

      芥川竜之介「久米正雄」

    • ・・・自分は、この伝説的な人物に関して、嘗て自分が懐いていた二つの疑問を挙げ、その疑問が先頃偶然自分の手で発見された古文書によって、二つながら解決された事を公表したいのである。

      芥川竜之介「さまよえる猶太人」

    • ・・・益軒は嘗て乗合船の中に一人の書生と一しょになった。

      芥川竜之介「侏儒の言葉」