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きゅう‐しょ〔キフ‐〕【急所】例文一覧 30件

  1. ・・・ この質問には丹波先生も、いささか急所をつかれた感があったらしい。世故に長けた先生はそれにはわざと答えずに、運動帽を脱ぎながら、五分刈の頭の埃を勢よく払い落すと、急に自分たち一同を見渡して、「そりゃ毛利先生は、随分古い人だから、我々・・・<芥川竜之介「毛利先生」青空文庫>
  2. ・・・ そう言って、父は自分の質問の趣意を、はたから聞いているときわめてまわりくどく説明するのだったが、よく聞いていると、なるほどとうなずかれるほど急所にあたったことを言っていたりした。若い監督も彼の父の質問をもっとありきたりのことのように取・・・<有島武郎「親子」青空文庫>
  3. ・・・ しかし、弾は、急所をはずれたので、おおかみは、雪の上に跳り上がって、逃げてしまいました。 おじいさんは、自分は智慧者だろうと、家へ帰ってから威張っていました。 一方、息子は、こんな晩方、おじいさんを独りで帰したのを後悔しました・・・<小川未明「おおかみをだましたおじいさん」青空文庫>
  4. ・・・鼠のような目を輝らせて杉の杜の陰からにらんだところを今少し詳しく言えば、 豊吉は善人である、また才もある、しかし根がない、いや根も随分あるが、どこかに影の薄いような気味があって、そのすることが物の急所にあたらない。また力いっぱいに打ち込・・・<国木田独歩「河霧」青空文庫>
  5. ・・・と腹から出た声を使って、グッと急所へ一本。「何だと親を捕えて泥棒呼わりは聞き捨てになりませんぞ」と来るところを取って押え、片頬に笑味を見せて、「これは異なこと! 親子の縁は切れてる筈でしょう。イヤお持帰りになりませんならそれで可う御・・・<国木田独歩「酒中日記」青空文庫>
  6. ・・・『僕は孟子が好きですからそれでお訊ねしたのでございます』と、急所を突いた。この老先生がかねて孟子を攻撃して四書の中でもこれだけは決してわが家に入れないと高言していることを僕は知っていたゆえ、意地わるくここへ論難の口火をつけたのである。・・・<国木田独歩「初恋」青空文庫>
  7. ・・・突かれた男は、急所を殴られて一ッぺんに参る犬のようにふらふらッとななめ横にぴりぴり手足を慄わしながら倒れてしまった。突きこんだ剣はすぐ、さっと引きぬかねば生きている肉体と血液が喰いついてぬけなくなることを彼はきいていた。が、それを思い出した・・・<黒島伝治「パルチザン・ウォルコフ」青空文庫>
  8. ・・・何故と申しますまでもありません、馬琴の前後の小説、――いわゆる当時の実社会をそのまま描写することを主とした、小説ともいえぬほど低微なものでありますが、それらの小説は描写が実社会の急所にあたってること、即ちウガチということを主として居るもので・・・<幸田露伴「馬琴の小説とその当時の実社会」青空文庫>
  9. ・・・尚、むかしから言い伝えられている男の急所をも一応は考えてみたけれども、これはやはり下品な気がして、傲邁な男の覘うところではないと思った。むこうずねもまた相当に痛いことを知ったが、これは足で蹴るのに都合のよいところであって、次郎兵衛は喧嘩に足・・・<太宰治「ロマネスク」青空文庫>
  10. ・・・力学の教科書はこの急所に触れないように知らん顔をしてすましていた。それでも実用上の多くの問題には実際差支えがなかったのである。ところが近代になって電子などというものが発見され、あらゆる電磁気や光熱の現象はこの不思議な物の作用に帰納されるよう・・・<寺田寅彦「アインシュタイン」青空文庫>
  11. ・・・もっともこのかみ合わせがかなりぎしぎしときしるので、その減摩油としては行燈のともし油を綿切れに浸ませて時々急所急所に塗りつけていた。それで取っ手を回すと同じリズムでキュル/\/\と一種特別な轢音を立てるのであった。「みくり」を通過して平たく・・・<寺田寅彦「糸車」青空文庫>
  12. ・・・その上に主役となる老優の渋くてこなれた演技で急所急所を引きしめて行くから、おそらくあらゆる階級の人が見て相当楽しめる映画であろうと思われる。しかしユダヤ人というものの概念のはなはだ希薄な日本人には、おそらくこの映画の本来のねらいどころは感ぜ・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  13. ・・・そういう場合において、学者は現象の起こっている最中に電光石火の早わざで現象の急所急所に鋭利な観察力の腰刀でとどめを刺す必要がある。そうすれば戦いのすんだあとで、ゆるゆる敵を料理して肉でも胆でも食いたければ食うことができる。 実験的科学で・・・<寺田寅彦「空想日録」青空文庫>
  14. ・・・分量を少なく、出来るだけ簡易平明にして、しかも主要な急所を洩れなく、また実に適切な例を使って説明するという行き方であり、また如何なる教科書とも類を異にしたオリジナルなものであったという事は同君の講義を聞いた高弟達の異口同音の証言によって明ら・・・<寺田寅彦「工学博士末広恭二君」青空文庫>
  15. ・・・粗末なようでも、急所がしっかりしている。すべてが使用の目的を明確に眼前に置いて設計され製造されている。これに反して日本出来のは見掛けのニッケル鍍金などに無用な骨を折って、使用の方からは根本的な、油の漏れないという事の注意さえ忘れている。・・・<寺田寅彦「石油ランプ」青空文庫>
  16. ・・・かなり複雑な科学上の事実や理論でも気持ちのいいように急所をのみ込んだ。世間に起こっているいろいろな出来事でも、その事がらの表面に現われている現象よりも、その現象の底にある原動力のほうにすぐに目をつけていた。他人の言行でもそれを通して直接に腹・・・<寺田寅彦「亮の追憶」青空文庫>
  17. ・・・男を擽ぐる急所を心得てるんだからね」「何とでもおっしゃい。どうせあなたには勝いませんよ」と、お梅は立ち上りながら、「御膳はお後で、皆さんと御一しょですね。もすこししてからまた参ります」と、次の間へ行ッた。 誰が覗いていたのか、障子を・・・<広津柳浪「今戸心中」青空文庫>
  18. ・・・作物を読んで、こりゃ何となく身に浸みるとか、こりゃ何となく急所に当らぬとかの区別はある。併しそれが直ちに人生に触れる触れぬの標準となるんなら、大変軽卒のわけじゃないか。引緊った感を起させる、起させぬの別と、人生に触れる、触れぬとの間にゃ大な・・・<二葉亭四迷「私は懐疑派だ」青空文庫>
  19. ・・・感情そのもののせつない動きが、いなずまのように社会の価値判断の急所を射つらぬいてゆく。そのような殺しても殺しても生きる命としての抵抗力、強い生活感覚、それこそが、きょうの歴史を生き進んでいるわたしたちの人民的センスであり、抵抗の源泉であると・・・<宮本百合子「新しい抵抗について」青空文庫>
  20. ・・・ 第一に、どんな小さいどの陣営の作品をとりあげた場合でも、その批評をよむと、ハハア、小説を読むときはこういうところが急所なんだナと納得のゆくように批評を書いて行くことである。 高度な理論に関するものでも、もしその人が全体の関係におい・・・<宮本百合子「こういう月評が欲しい」青空文庫>
  21. ・・・と急所をついている。 ジェスチュアでない世界平和と民主的社会の建設のために誠実な努力をつづけている世界のすべての人がMRAの本体を見きわめているこんにち、片山哲氏が大財閥の三井一門とコーでもてなされて「MRAの機動部隊を日本に派遣された・・・<宮本百合子「再武装するのはなにか」青空文庫>
  22. ・・・そのために、全篇を通じて章から章へと並列的にとび、読者の心に期待される急所をはずしたまま通りすぎているような印象を与えられるのである。 作者が二十章のところで、木村の一つの経験として僅か数行で説明しているA村の地主二人が二大政党に分・・・<宮本百合子「作家への課題」青空文庫>
  23. ・・・と、兄伴三のみならず今日の職業作家の共通な急所を突いてもいる。伴三が本郷の本屋で、高等学校の生徒が自分の本をしばらくひらいて立読みし、やがて卒然感興を失った表情でそれを乱暴に本棚へ戻すのを目撃していて受けた苦痛の感情は、「強者連盟」全篇の中・・・<宮本百合子「十月の文芸時評」青空文庫>
  24. ・・・音楽にあわせ、ハアハア 急所の手ばたきと掛声ばかりは一人前だが、若い男が飛んで跳ねる活溌な足さばきが、その年の小母さんにできようはずはない。ハア どっこいしょ!ハア そら、あぶない! たか・・・<宮本百合子「ソヴェト同盟の三月八日」青空文庫>
  25. ・・・インテリジェンスとは、こういう急所で、はっきり事態の意味を弁別する思考の能力をさしていうのである。 今日、日本の民主主義は、難航を示している。国内国外もつれ合う潮の流れの複雑さと、主体的に日本のインテリゲンツィアをこめる全人民に民主的感・・・<宮本百合子「誰のために」青空文庫>
  26. ・・・リアリストの眼はその急所を掴む眼であり、その眼は社会の現象万端を動的な発展的なものとして観ることの出来る世界観によって培われるのではあるまいか。 私は、自分一人の問題に就いて与えられた質問から拡って、リアリズムの問題にまで触れているので・・・<宮本百合子「問に答えて」青空文庫>
  27. ・・・しかし、読者が作家に求めるのは、アサ自身は或は無意識であるかもしれないそういう人間成長の急所についての心にふれて来る物語ではないだろうか。利害相剋の緩和者として出現している梶井のありかたも、いいが、気になる何かが在るところも面白いと思う。ア・・・<宮本百合子「徳永直の「はたらく人々」」青空文庫>
  28. ・・・と、現実観察の急所にふれているのである。 一八三〇年七月革命後、常に蝙蝠傘をもって漫画に描かれた優柔不断のルイ・フィリップがブルジョアジーの傀儡君主として王位についた時、一層凡庸化し、銭勘定に終始する俗人共の世界に反抗して、ユーゴー・・・<宮本百合子「バルザックに対する評価」青空文庫>
  29. ・・・ 小川は急所を突かれたとでも云うような様子で、今まで元気の好かったのに似ず、しょげ返って、饌の上の杯を手に取ったのさえ、てれ隠しではないかと思われた。「あら。それはもう冷えているわ。熱いのになさいよ。」上さんは横から小川の顔を覗くよ・・・<森鴎外「鼠坂」青空文庫>
  30. ・・・ ところでこのような意味の転換が行なわれるための最も重大な急所は、最初に「面」が「役割」の意味になったということである。面をただ顔面彫刻としてながめるだけならばこのような意味は生じない。面が生きた人を己れの肢体として獲得する力を持てばこ・・・<和辻哲郎「面とペルソナ」青空文庫>