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ぐ‐れつ【愚劣】例文一覧 30件

  1. ・・・赤木は、これも二三杯の酒で赤くなって、へええ、聞けば聞くほど愚劣だねと、大にその作者を罵倒していた。 かえりに、女中が妙な行燈に火を入れて、門まで送って来たら、その行燈に白い蛾が何匹もとんで来た。それが甚、うつくしかった。 外へ出た・・・<芥川竜之介「田端日記」青空文庫>
  2. ・・・ その愚劣さを憐んで、この分野の客星たちは、他より早く、輝いて顕われる。輝くばかりで、やがて他の大一座が酒池肉林となっても、ここばかりは、畳に蕨が生えそうに見える。通りかかった女中に催促すると、は、とばかりで、それきり、寄りつかぬ。中で・・・<泉鏡花「燈明之巻」青空文庫>
  3. ・・・なお、この男を分会長にいただいている気の毒な分会員達は二週間の訓練の間、毎日の如く愚劣な、そしてその埋め合せといわんばかりに長ったらしい殺人的演説を聴かされて、一斉に食欲がなくなったそうである。この話を聴いた時、私は鼻血は出たけれど大工の演・・・<織田作之助「髪」青空文庫>
  4. ・・・ 彼は蓄音機という綽名を持ち、一年三百六十五日、一日も欠かさず、お前たちの生命は俺のものだという意味の、愚劣な、そしてその埋め合わせといわん許りに長ったらしい、同じ演説を、朝夕二回ずつ呶鳴り散らして、年中声が涸れ、浪花節語りのように咽を・・・<織田作之助「昨日・今日・明日」青空文庫>
  5. ・・・貧しい大学生などよりは、少し年はふけていても、社会的地歩を占めた紳士のほうがいいなどといった考えは実に、愚劣なものであるというようなことを抗議するのだ。日本の娘たちはあまりに現実主義になるな、浪曼的な恋愛こそ青春の花であるというようなことを・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  6. ・・・弟妹たちと映画を見にいって、これは駄作だ、愚劣だと言いながら、その映画のさむらいの義理人情にまいって、まず、まっさきに泣いてしまうのは、いつも、この長兄である。それにきまっていた。映画館を出てからは、急に尊大に、むっと不気嫌になって、みちみ・・・<太宰治「愛と美について」青空文庫>
  7. ・・・いきなり、その幹のかげの男に向って発砲しよう。愚劣な男は死ぬがよい。それにきまった。私はどさんと、ぶっ倒れるようにベッドに寝ころがった。おやすみなさい、コンスタンチェ。 あくる日、二人の女は、陰鬱な灰色の空の下に小さく寄り添って歩いてい・・・<太宰治「女の決闘」青空文庫>
  8. ・・・ちょっと、日本中に類のない愚劣頑迷の御手簡、ただいま覗いてみました。太宰! なんだ。『許す。』とは、なんだ。馬鹿! ふん、と鼻で笑って両手にまるめて窓から投げたら、桐の枝に引かかったっけ。俺は、君よりも優越している人間だし、君は君もいうよう・・・<太宰治「虚構の春」青空文庫>
  9. ・・・雨戸をあけたら、こう、その、まあ一種の、銀世界、とでも、等と汗を拭き拭き申し上げるのであるが、一種も二種もない、実に、愚劣な意見である。どもってばかりいて、颯爽たる断案が何一つ、出て来ない。私とて、恥を知る男子である。ままになる事なら、その・・・<太宰治「乞食学生」青空文庫>
  10. ・・・というふざけ切った読み方をして、太宰は実朝をユダヤ人として取り扱っている、などと何が何やら、ただ意地悪く私を非国民あつかいにして弾劾しようとしている愚劣な「忠臣」もあった。私の或る四十枚の小説は発表直後、はじめから終りまで全文削除を命じられ・・・<太宰治「十五年間」青空文庫>
  11. ・・・比較根性の愚劣」と自分へ説き聞かせるようにゆっくり呟きながら、ぶらぶら歩きだした。あくる朝、私たちはかえりの自動車のなかで、黙っていた。一口でも、ものを言えば殴り合いになりそうな気まずさ。自動車が浅草の雑沓のなかにまぎれこみ、私たちもただの・・・<太宰治「ダス・ゲマイネ」青空文庫>
  12. ・・・ 立川で降りて、彼のアパートに到る途中に於いても、彼のそのような愚劣極まる御託宣をさんざん聞かされ、「ここです、どうぞ。」 と、竹藪にかこまれ、荒廃した病院のような感じの彼のアパートに導かれた時には、すでにあたりが薄暗くなり、寒・・・<太宰治「女神」青空文庫>
  13. ・・・姉は、母の心配を思え、と愚劣きわまる手紙を寄こす。そろそろと私の狂乱がはじまる。なんでもよい、人のやるなと言うことを計算なく行う。きりきり舞って舞って舞い狂って、はては自殺と入院である。そうして、私の「小唄」もこの直後からはじまるようである・・・<太宰治「もの思う葦」青空文庫>
  14. ・・・これをあの実に不愉快にして愚劣なる「洛陽餓ゆ」のごときものに比べるとそれはいかなる意味においても比較にならぬほどよい。「スピード・アップ・ホー」の合唱のごときはなはだばかげていてノンセンスではあるが、そのノンセンスの中にはおのずからノンセン・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  15. ・・・自分はまだ不幸にしてその実例を多く見ていないから何とも批評する資格はないが、わずかに見ることを得た二、三のものは、甚だ愚劣なものであった。例えば火山の噴火を示すのでも本当に子供だましの模型や如何わしい地殻断面図の行列であって、一つも現象の科・・・<寺田寅彦「教育映画について」青空文庫>
  16. ・・・という世にも愚劣なる質問を持ち出した。それは、かねてから先生が俳人として有名なことを承知していたのと、そのころ自分で俳句に対する興味がだいぶ発酵しかけていたからである。その時に先生の答えたことの要領が今でもはっきりと印象に残っている。「俳句・・・<寺田寅彦「夏目漱石先生の追憶」青空文庫>
  17. ・・・僕のような有徳の君子は貧乏だし、彼らのような愚劣な輩は、人を苦しめるために金銭を使っているし、困った世の中だなあ。いっそ、どうだい、そう云う、ももんがあを十把一とからげにして、阿蘇の噴火口から真逆様に地獄の下へ落しちまったら」「今に落と・・・<夏目漱石「二百十日」青空文庫>
  18. ・・・余の見る所を以てすると、現今毎月刊行の文学雑誌に載る幾多の小説の大部分は、英国の『ウィンゾー』などに続々現れてくる愚劣な小説よりも、どの位芸術的に書き流されているか分らない。既にこの数年の間にかほど進歩の機運が熟するとしたなら、突然それを阻・・・<夏目漱石「文芸委員は何をするか」青空文庫>
  19. ・・・世間見ずの坊ちゃんの浅薄愚劣なる世界観を、さもさも大人ぶって表白した筋書である。こんなものを演ぜねばならぬ役者はさぞかし迷惑な事だろうと思う。あの芸は、あれより数十倍利用のできる芸である。○油屋御こんなどもむやみに刀をすり更えたり、手紙・・・<夏目漱石「明治座の所感を虚子君に問れて」青空文庫>
  20. ・・・ チェホフは小市民的卑俗さ、愚劣な伝習というようなものを常に鋭く諷刺し、その下らなさ加減を興味深い短篇の中へ素敵な技術でもり込んでいる。然し、チェホフの諷刺は、どこまでも、自由主義人道主義的インテリゲンチアの諷刺だ。というのは、チェホフ・・・<宮本百合子「新たなプロレタリア文学」青空文庫>
  21. ・・・ぎょうぎょうしくて、しかも愚劣であったのは「恋人の日記」である。 映画における恋愛的な場面は、余程むずかしいものと思う。ヨーロッパ、アメリカの製作者たちの多くは、そういう場面となると何か特別ロマンティックな雰囲気、道具だてを必要とすると・・・<宮本百合子「映画の恋愛」青空文庫>
  22. ・・・などと叫ぶアナウンサアの声がわり込み、音楽と野球実景放送とがしばらくあやめも分らずもつれ合ったあげく、拡声器はブブブ、ヒューと、自身の愚劣さを嘲弄するように喚いて、終には一二分何も聞えないようになってしまうのであった。 ああいう沈黙生活・・・<宮本百合子「芸術が必要とする科学」青空文庫>
  23. ・・・山の彼方の空を眺め、山の頂をはるかに通じる一筋の道を眺めたものにとって、窓をしめ、地球の円さは村境できれているように思いこみ、この村ばかりの優秀を誇るというのは、不自然で息苦しく愚劣にたえがたいしまつであった。徳川時代の民が土下座したとき、・・・<宮本百合子「現代の主題」青空文庫>
  24. ・・・東京帝大教授として、文部省の愚劣さを知りぬいていたから、そういうところからくれる博士号などは欲しくないと云って、ことわった。 同じ時、三宅雪嶺という哲学者が博士号をもらってうけた。ことわるほどのものでもなかろう、と笑って受けて、腹が大き・・・<宮本百合子「行為の価値」青空文庫>
  25. ・・・帝政時代のロシア兵営内の生活の愚劣野蛮な絶対主義を遺憾なく示している。「セメント」を上演した写実劇場は新しく「勇敢な兵士シュヴェイクの冒険」を脚色上演しはじめた。 これは、元オーストリア軍隊内の野蛮な腐敗とを諷刺的に描き出したチェッ・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  26. ・・・ 私は愚劣なものの中からさえ役に立つものがあれば何か役に立つものを見出そうとする位、よくばりなのだから。まして。まして。恐らくあなたは御自分の字、字そのものよ、までが私にどの位必要なものであるかきっと御存知ないでしょう。 恐ろしい、・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  27. ・・・それは目に見える愚劣さだからである。けれども、文化に関する同じような愚劣さは、もっと複雑な、もっと形にあらわれない流れとなって私たちの生活へ浸潤して腐敗の作用を及ぼしてゆくために、同じ程度の奇怪な愚劣さでも案外恐れられずにいることが多い。・・・<宮本百合子「今日の生活と文化の問題」青空文庫>
  28. ・・・ 最近の二年間に多くの自立劇団、美術、音楽、詩、小説、科学のグループをもちはじめた日本の労働組合員は、彼らの休日の大きい楽しみである映画が、輸入ものかさもなければ愚劣な日本ものしかなくなるということについて、重大な関心を示している。映画・・・<宮本百合子「今日の日本の文化問題」青空文庫>
  29. ・・・と、鳴る太鼓の音を空にきき流しつつ、軍国調モードを、どんなにシークにステープルファイバアからつくり出そうかと思案しているのが、今日の若い女のその日ぐらしの姿であるとしたら、若い婦人たちの誰が、その愚劣な一人として自分を描かれることに承知しよ・・・<宮本百合子「祭日ならざる日々」青空文庫>
  30. ・・・それに比べると趣味が上品できれいだとせられるIの製作は態度の不純のためにたまらなく愚劣に感じられる。彼は内心に喜んでいながら恥じたらしく装う。歓喜を苦痛として表現する。すべてが嘘である。――Kはその軟弱な意志のゆえに Aesthet として・・・<和辻哲郎「転向」青空文庫>