あい‐きょう〔‐ケウ|‐キヤウ〕【愛×嬌/愛敬】 の意味

  1. 《古くは「あいぎょう」》
  1. にこやかで、かわいらしいこと。「愛嬌のある娘」「口もとに愛嬌がある」
  1. ひょうきんで、憎めない表情・しぐさ。「愛嬌たっぷりに話す」
  1. 相手を喜ばせるような言葉・振る舞い。「愛嬌をふりまく
  1. (多く「御愛嬌」の形で)座に興を添えるもの。ちょっとしたサービス。座興。「ご愛嬌に一差し舞う」「これもご愛嬌。へたな歌でも一曲」
  1. [補説]あいぎょう(愛敬)2」が清音化し、キャウ・キョウの区別が失われたのち、意味に対応して「嬌」の字が近世以降に当てられるようになった。
  1. [用法]愛嬌・[用法]愛想――「愛嬌」は、あるものに備わった、かわいらしさ、ひょうきんで憎めないようすを表しているのに対し、「愛想」は、「愛想がよい」「愛想笑い」などのように、人にいい感じを与えるために示す態度や動作である。◇「愛嬌」は「愛嬌のある顔」のように、その人にもともと身についたものをいうことが多いが、「愛想」は、「お愛想を言う」のように、意識的な動作や態度をいう。◇したがって「愛嬌(愛想)のない人」のように相通じて用いられることもあるが、「愛想が尽きる」とはいっても、「愛嬌が尽きる」とはいえない。
  • 名詞

あい‐きょう〔‐ケウ|‐キヤウ〕【愛×嬌/愛敬】の慣用句

  1. 愛嬌を振り撒く
    • だれにでもにこやかな態度をとる。まわりの人みんなに愛想よくする。「アイドル歌手が―・く」

    • [補説]文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「あいきょうを振りまく」と「あいそ(う)を振りまく」について、どちらの言い方を使うか尋ねたところ、次のような結果が出た。
       平成17年度調査平成27年度調査
      あいきょうを振りまく
      (本来の言い方とされる)
      43.9パーセント49.1パーセント
      あいそ(う)を振りまく
      (本来の言い方ではない)
      48.3パーセント42.7パーセント
  1. あいきょうげ【愛嬌毛】
    • 女性が、顔にかわいらしさを添えるために頬のあたりに数本垂らした髪の毛。
  1. あいきょうしょうばい【愛嬌商売】
    • 愛矯を振りまくことが繁盛に結びつく商売。芸人や料理屋などの類。
  1. あいきょうび【愛敬日】
  1. あいきょうべに【愛嬌紅】
    • 女性が、かわいらしさを増すために、目じりや耳たぶなどにつける紅。
  1. あいきょうぼくろ【愛嬌黒子】
    • 顔に愛嬌を添えるほくろ。
  1. あいきょうもの【愛嬌者】
    • ひょうきんで人々にかわいがられる人や動物。
  1. あいきょうわらい【愛嬌笑い】
    • 相手によい印象や好感を与えようとして浮かべる、ちょっとした笑い。愛想笑い。
  • あい‐きょう〔‐ケウ|‐キヤウ〕【愛×嬌/愛敬】の例文

    出典:青空文庫

    • ・・・しかしちょいと鼻の先の上った、愛敬の多い円顔である。

      芥川竜之介「お時儀」

    • ・・・こう云う種類の人間のみが持って居る、一種の愛嬌をたたえながら、蛇が物を狙うような眼で見つめたのである。

      芥川竜之介「煙管」

    • ・・・配達車のそばを通り過ぎた時、梶棒の間に、前扉に倚りかかって、彼の眼に脚だけを見せていた子供は、ふだんから悪戯が激しいとか、愛嬌がないとか、引っ込み思案であるとかで、ほかの子供たちから隔てをおかれていた子に違いない。

      有島武郎「卑怯者」