• で始まる
  • で一致する
  • で終わる
  • を説明文に含む
  • を見出しに含む

けっ‐き【血気】例文一覧 29件

  1. ・・・かねて禁断であるものを、色に盲いて血気な徒が、分別を取はずし、夜中、御堂へ、村の娘を連込んだものがあった。隔ての帳も、簾もないのに―― ――それが、何と、明い月夜よ。明神様もけなりがッつろと、二十三夜の月待の夜話に、森へ下弦の月がかかる・・・<泉鏡花「神鷺之巻」青空文庫>
  2. ・・・、それはよし、もの好として差措いても、小山にはまだ令室のないこと、並びに今も来る途中、朋友なる給水工場の重役の宅で一盞すすめられて杯の遣取をする内に、娶るべき女房の身分に就いて、忠告と意見とが折合ず、血気の論とたしなめられながらも、耳朶を赤・・・<泉鏡花「政談十二社」青空文庫>
  3. ・・・戸外の寂寞しいほど燈の興は湧いて、血気の連中、借銭ばかりにして女房なし、河豚も鉄砲も、持って来い。……勢はさりながら、もの凄いくらい庭の雨戸を圧して、ばさばさ鉢前の南天まで押寄せた敵に対して、驚破や、蒐れと、木戸を開いて切って出づべき矢種は・・・<泉鏡花「第二菎蒻本」青空文庫>
  4. ・・・ と小宮山は友人の情婦ではあり、煩っているのが可哀そうでもあり、殊には血気壮なものの好奇心も手伝って、異議なく承知を致しました。「しかし姐さん、別々にするのだろうね。」「何でございます。」「何その、お床の儀だ。」「おほほ・・・<泉鏡花「湯女の魂」青空文庫>
  5. ・・・を掻いたのは主の新造で、年は三十前後、キリリとした目鼻立ちの、どこかイナセには出来ていても、真青な色をして、少し腫みのある顔を悲しそうに蹙めながら、そっと腰の周囲をさすっているところは男前も何もない、血気盛りであるだけかえってみじめが深い。・・・<小栗風葉「深川女房」青空文庫>
  6. ・・・ 午後三時ごろ、学校から帰ると、私の部屋に三人、友だちが集まっています、その一人は同室に机を並べている木村という無口な九州の青年、他の二人は同じこの家に下宿している青年で、政治科および法律科にいる血気の連中でした。私を見るや、政治科の鷹・・・<国木田独歩「あの時分」青空文庫>
  7. ・・・ 車夫は取って返し、二人はつかみあいを初めたが、一方は血気の若者ゆえ、苦もなく親父をみぞに突き落とした。落ちかけた時調子の取りようが悪かったので、棒が倒れるように深いみぞにころげこんだ。そのため後脳をひどく打ち肋骨を折って親父は悶絶した・・・<国木田独歩「窮死」青空文庫>
  8. ・・・島に生れて論が合わぬの議が合わぬのと江戸の伯母御を京で尋ねたでもあるまいものが、あわぬ詮索に日を消すより極楽は瞼の合うた一時とその能とするところは呑むなり酔うなり眠るなり自堕落は馴れるに早くいつまでも血気熾んとわれから信用を剥いで除けたまま・・・<斎藤緑雨「かくれんぼ」青空文庫>
  9. ・・・ 夫婦は互に子供のことを心配して話した。 血気壮んなものには静止していられないような陽気だった。高瀬はしばらく士族地への訪問も怠っていた。しかしその日は塾の同僚を訪うよりも、足の向くままに、好きな田圃道を歩き廻ろうとした。午後に、彼・・・<島崎藤村「岩石の間」青空文庫>
  10. ・・・人間三十前後は謂わば血気のさかりで、酒にも強い年頃ですが、しかし、あんなのは珍らしい。その晩も、どこかよそで、かなりやって来た様子なのに、それから私の家で、焼酎を立てつづけに十杯も飲み、まるでほとんど無口で、私ども夫婦が何かと話しかけても、・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」青空文庫>
  11. ・・・けれども、こんな日常倫理のうえの判り切った出鱈目を、知らぬ顔して踏襲して行くのが、また世の中のなつかしいところ、血気にはやってばかな真似をするなよ、と同宿のサラリイマンが私をいさめた。いや、と私は気を取り直して心のなかで呟く。ぼくは新しい倫・・・<太宰治「もの思う葦」青空文庫>
  12. ・・・その時誰かの万年筆のインキがほんの少しばかり卓布を汚したのに対して、オーバーケルナーが五マルクとかの賠償金を請求した。血気な連中のうちの一人の江戸っ子が、「それじゃインキがどれだけ多くついてもやはり同じ事か」と聞いた。そうだという返答をたし・・・<寺田寅彦「ある日の経験」青空文庫>
  13. ・・・此の人は其後陸軍士官となり日清戦争の時、血気の戦死を遂げた位であったから、殺戮には天性の興味を持って居たのであろう。日頃田崎と仲のよくない御飯焚のお悦は、田舎出の迷信家で、顔の色を変えてまで、お狐さまを殺すはお家の為めに不吉である事を説き、・・・<永井荷風「狐」青空文庫>
  14. ・・・ 飯場の血気な労働者たちは、すっかり暗くなった吹雪の中で、屍体の首を無理にでも持ち上げようとする、子供たちを見て、誰も泣いた。――一九二七、三、三〇――<葉山嘉樹「坑夫の子」青空文庫>
  15. ・・・が、深谷も安岡も、それを口に出して訴えるのには血気盛んに過ぎた。 それどころではない、深谷はできることならば、その部屋に一人でいたかった。もし許すならばその中学の寄宿舎全体に、たった一人でいたかった。 何かしら、人間ぎらいな、人を避・・・<葉山嘉樹「死屍を食う男」青空文庫>
  16. ・・・あるいは白面の書生もあらん、あるいは血気の少年もあらん。その成行決して安心すべからず。万々一もこの二流抱合の萌を現わすことあらば、文明の却歩は識者をまたずして知るべし。これすなわち禍の大なるものなり。国の文明を進めんとしてかえってこれを妨ぐ・・・<福沢諭吉「学者安心論」青空文庫>
  17. ・・・なおはなはだしきは、かの血気の少年軍人の如きは、ひたすら殺伐戦闘をもって快楽となし、つねに世の平安をいとうて騒乱多事を好むが如し。ゆえに平安の主義は、人類のこの一部分に行われて、他の一部分には通用すべからずとの問題あれども、この問題に答うる・・・<福沢諭吉「教育の目的」青空文庫>
  18. ・・・況して小説戯作は往々人の情を刺すこと劇しくして、血気の春とも言う可き妙年女子の為めには先ず以て有害にこそあれば、文学の必要よりしていよ/\之を読まんとならば、其種類を選ぶこと大切なる可し。一 婦人の気品を維持することいよ/\大切なりとす・・・<福沢諭吉「新女大学」青空文庫>
  19. ・・・ されば私徳を大切にするその中についても、両性の交際を厳にして徹頭徹尾潔清の節を守り、俯仰天地に愧ずることなからんとするには、人生甚だ長くしてその間に千種万様の事情あるにもかかわらず、自ら血気を抑えて時としては人の顔色をも犯し、世を挙っ・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  20. ・・・ 詩吟というものは、ずっと昔も一部の人は好んだろうが、特に幕末から明治の初頭にかけて、当時の血気壮な青年たちが、崩れゆく過去の生活と波瀾の間に未だ形をととのえない近代日本の社会の出生を待つ時期の感懐を吐露するてだてとして流行したものであ・・・<宮本百合子「今日の生活と文化の問題」青空文庫>
  21. ・・・五・一五以来、世間の耳目は少壮云々の形容詞で何となく男の血気を刺戟して来ている。今日「大人の文学」を唱え、文壇を出たいという心持を何処にか持っている作家達は、年配から言っても所謂少壮の幹部どころの年齢であり、文学者の従来の生活には少なかった・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  22. ・・・ 西部の人として強い血気を蔵していた両親の娘であるアグネスの曠野育ちらしい血気は、一口にアメリカの女といってもボストンあたりの淑女とは質が違っている。腰にピストルをつけ、カウボーイと馬に騎り、小学生のときからひとの台処で働かねばならなか・・・<宮本百合子「中国に於ける二人のアメリカ婦人」青空文庫>
  23. ・・・ 芸術家としては最小抵抗線を行くものであるツルゲーネフのこの態度が、血気旺なトルストイを焦立たせたということは、実によくわかる。ツルゲーネフがヴィアルドオ夫人やその夫と共にパリの客間で「スラヴ人の憂愁」について語っていた時分、十歳年下の・・・<宮本百合子「ツルゲーネフの生きかた」青空文庫>
  24. ・・・アメリカ そのかたまらない若々しさ     血気     生活力     理智の新しさ<宮本百合子「ツワイク「三人の巨匠」」青空文庫>
  25. ・・・ 美しい絹の帳をたれた揺籃をまだ血気でござったわたくしの白うて力のある手でおだやかな波の上を行く小船の様にゆーらり、ゆーらりとふりながらのう、貴方様。 母親のたまものの人に賞められた声で夜の来る毎にうたったものでござりまする。・・・<宮本百合子「胚胎(二幕四場)」青空文庫>
  26. ・・・我を忘れて声をあげ、それに答えて手をふっているうちに、列はすぎて、食糧輸送組合の血気な人々が、自分から脚の生えた米俵になってやってくる。「石川島」と大旗を立て整然とした男女の大部隊がつづいてくる。とりわけ元気に、赤旗を先頭に立ててきた一団の・・・<宮本百合子「メーデーに歌う」青空文庫>
  27. ・・・まだ二十四歳の血気の殿様で、情を抑え欲を制することが足りない。恩をもって怨みに報いる寛大の心持ちに乏しい。即座に権兵衛をおし籠めさせた。それを聞いた弥五兵衛以下一族のものは門を閉じて上の御沙汰を待つことにして、夜陰に一同寄り合っては、ひそか・・・<森鴎外「阿部一族」青空文庫>
  28. ・・・その外帝国文学という方面には、堂々たる東京帝国大学の威を借って、血気壮な若武者達が、その数幾千万ということを知らず、入り代り立ち代り、壇に登って伎を演じて居るようだ。これが即ち文壇だ。この文壇の人々と予とは、あるいは全く接触点を闕いでいる、・・・<森鴎外「鴎外漁史とは誰ぞ」青空文庫>
  29. ・・・ それで若夫婦は仲よく暮していたところが、ふと聞けば新田義興が足利から呼ばれて鎌倉へ入るとの噂があるので血気盛りの三郎は家へ引き籠もって軍の話を素聞きにしていられず、舅の民部も南朝へは心を傾けていることゆえ、難なく相談が整ってそれから二・・・<山田美妙「武蔵野」青空文庫>