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けん‐きょ【謙虚】例文一覧 19件

  1. ・・・ 社会運動に、芸術運動に、苟くも、人間を対象とするかぎり、闘争を意味し、感激を意味し、良心の上に立つことを意味せざるはない。謙虚と純情と自己犠牲の観念によって、はじめて感激の火は民衆に移されるのである、これ即ち、ナロードニーキの精神であ・・・<小川未明「純情主義を想う」青空文庫>
  2. ・・・もしこの世の中に、彼等を心から愛する、文学者、芸術家、若くは真理に忠実な科学者がなかったら、何人か、このものいわぬ謙虚な動物に対して、擁護すべく注意を喚起したものがあったでしょう。多くの人間は、動物を人類に隷属するものの如く考えて来た。しか・・・<小川未明「天を怖れよ」青空文庫>
  3. ・・・たゞ見る人が謙虚にして、それに対して考うるだけの至誠があれば足りるものだ。凡そ、そこには、子供と成人の区別すらないにちがいない。 真に、美しいもの、また正しいものは、いつでも、無条件にそうあるのであって、それは、理窟などから、遙かに超越・・・<小川未明「名もなき草」青空文庫>
  4. ・・・酔いが進むに連れて、ひとりで悲愴がって、この会合全体を否定してみたり、きざに異端を誇示しようと企んだり、或いは思い直して、いやいやここに列席している人たちは、みな一廉の人物なのだ、優しく謙虚な芸術家なのだ、誠実に、苦労して生きて来た人たちば・・・<太宰治「善蔵を思う」青空文庫>
  5. ・・・なお又、年齢、戦争、歴史観の動揺、怠惰への嫌悪、文学への謙虚、神は在る、などといろいろ挙げる事も出来るであろうが、人の転機の説明は、どうも何だか空々しい。その説明が、ぎりぎりに正確を期したものであっても、それでも必ずどこかに嘘の間隙が匂って・・・<太宰治「東京八景」青空文庫>
  6. ・・・あの女は、謙虚を知らない。自分さえその気になったら、なんでもできると思っている。なぜ、あいつは、くにを飛び出し、女優なんかになったのだろう。もう、あの様子では、須々木乙彦のことなんか、ちっとも、なんとも、思っていない。悪魔、でなければ、白痴・・・<太宰治「火の鳥」青空文庫>
  7. ・・・死なせて下さい、等という言葉は、たいへんいじらしい謙虚な響きを持って居りますが、なおよく、考えてみると、之は非常に自分勝手な、自惚れの強い言葉であります。ひとに可愛がられる事ばかり考えているのです。自分が、まだ、ひとに可愛がられる資格がある・・・<太宰治「ろまん燈籠」青空文庫>
  8. ・・・ 一昨年初めて来たとき、軽井沢駅のあの何となく物々しい気分に引きかえてこの沓掛駅の野天吹曝しのプラットフォームの謙虚で安易な気持がひどく嬉しかったことを思い出した。 H温泉池畔の例年の家に落着いた。去年この家にいた家鴨十数羽が今年は・・・<寺田寅彦「高原」青空文庫>
  9. ・・・これについてははなはだ僣越ながらこの際一般工学者の謙虚な反省を促したいと思う次第である。天然を相手にする工事では西洋の工学のみにたよることはできないのではないかというのが自分の年来の疑いであるからである。 今度の大阪や高知県東部の災害は・・・<寺田寅彦「天災と国防」青空文庫>
  10. ・・・ こんな事になるのも、国政の要路に当る者に博大なる理想もなく、信念もなく人情に立つことを知らず、人格を敬することを知らず、謙虚忠言を聞く度量もなく、月日とともに進む向上の心もなく、傲慢にしてはなはだしく時勢に後れたるの致すところである。・・・<徳冨蘆花「謀叛論(草稿)」青空文庫>
  11. ・・・文学において謙虚にまた強固に自己を大衆のなかなるものとして拡大しておかなかったからである。 私たちは、今度の戦争において、わずか十六七歳の若者が、どんなにして死んでいったかを知っている。どれだけの父親、兄、夫が死んだかそれを知っている。・・・<宮本百合子「歌声よ、おこれ」青空文庫>
  12. ・・・けれども、人間の歴史の嶮しい波の中での女の生きる姿という広さにおいてみれば、彼女が少女時代から歩んだ道は、彼女自身によっても個人的閲歴の域を溢れた意義をもって見られても、本来の謙虚を傷つけることではなかったろう。キュリー夫人が独特の性格で、・・・<宮本百合子「寒の梅」青空文庫>
  13. ・・・空は円く高く 地は低く凹凸を持ち人は、頭を程よい空間に保ってはじめて二つの心が、謙虚な霊を貫くのだ。  心自由に 自由に何処までも 行こうとする心。十三の少年のように好奇に満ち、精力に満ち・・・<宮本百合子「五月の空」青空文庫>
  14. ・・・ 人はよりよきもの、よりよき如何なる些細なものに対しても、無我に謙虚である事はよろしゅうございます。そうでなければなりません。然し、考えなければならない事は、無我の謙虚と云う事と、理智の催眠させられた感情的称嘆とその事との間には大きな差・・・<宮本百合子「C先生への手紙」青空文庫>
  15. ・・・ 有頂天にならないまでも、又、如何に謙虚に自分の未完成である事にハムブルではあろうとも、その「心のときめき」を、否定し尽す人はないだろう。 下らない賞讚にあって、少し頭に血が上ったのを知ると情けない。 小さい誹謗に、口元を引締め・・・<宮本百合子「樹蔭雑記」青空文庫>
  16. ・・・何たる沈黙、沈黙を聞取ろうと耳傾ける沈黙――人が、己の愛す風景に向った時、必ず暫くは右のような謙虚な状態に陥るだろう。やがて徐々として確に、感情が目醒め始める、或る時は次第に律動が高まって終には唱わぬ心の音楽ともなろう。 その微かな閃光・・・<宮本百合子「透き徹る秋」青空文庫>
  17. ・・・外界の刺戟によって発動した自己の感激、意望というものを、一先ず、能う限り公正な謙虚な省察の鉄敷の上にのせ、容赦なく批判の力で鍛えて見る。いよいよこれに動きがないというところで、始めて主張するなら、飽くまでも主張するという、真に人をつくる練磨・・・<宮本百合子「われを省みる」青空文庫>
  18. ・・・先輩の手法を模倣して年々その画風を変えるごとき不見識に陥らず、謙虚な自然の弟子として着実に努力せられんことを望む。 ――例外の一と二とに現われた二つの道が日本画を救い得るかどうか。それは未来にかかった興味ある問題である。・・・<和辻哲郎「院展日本画所感」青空文庫>
  19. ・・・何という謙虚な人間の姿だろう。それに比べて私の心持ちは、何という空虚な反撥心にイラ立っているのだ。あたかも自分の上に降りかかった小さな出来事が何か大きい不正ででもあるかのように。――あの人たちを見ろ。静かに運命の前に首を垂れているあの人たち・・・<和辻哲郎「停車場で感じたこと」青空文庫>