こう‐か〔カウクワ〕【効果】例文一覧 30件

  1. ・・・たとえば彼の作品中、絵画的効果を収むべき描写は、屡、破綻を来しているようである。こう云う傾向の存する限り、微細な効果の享楽家には如何なる彼の傑作と雖も、十分の満足を与えないであろう。 ショオとゴオルスウアアズイとを比較した場合、ショオは・・・<芥川竜之介「「菊池寛全集」の序」青空文庫>
  2. ・・・が、老人にとっては、この疑問も、格別、重大な効果を与えなかったらしい。彼はそれを聞くと依然として傲慢な態度を持しながら、故らに肩を聳かせて見せた。「同じ汽車に乗っているのだから、君さえ見ようと云えば、今でも見られます。もっとも南洲先生は・・・<芥川竜之介「西郷隆盛」青空文庫>
  3. ・・・ 井侯が陛下の行幸を鳥居坂の私邸に仰いで団十郎一座の劇を御覧に供したのは劇を賤視する従来の陋見を破って千万言の論文よりも芸術の位置を高める数倍の効果があった。井侯の薨去当時、井侯の逸聞が伝えられるに方って、文壇の或る新人は井侯が団十郎を・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  4. ・・・ しかし植林の効果は単に木材の収穫に止まりません。第一にその善き感化を蒙りたるものはユトランドの気候でありました。樹木のなき土地は熱しやすくして冷めやすくあります。ゆえにダルガスの植林以前においてはユトランドの夏は昼は非常に暑くして、夜・・・<内村鑑三「デンマルク国の話」青空文庫>
  5. ・・・私達は、かゝる芸術の存在理由をも、効果をも疑うものでないが、芸術は、創造であり、個的でなければならぬところに理由を置く。芸術は、感激であり、魂であるからである。 社会運動に、芸術運動に、苟くも、人間を対象とするかぎり、闘争を意味し、感激・・・<小川未明「純情主義を想う」青空文庫>
  6. ・・・そして、この教化は、小さき者達に、果して将来幾何の効果をもたらしたでありましょうか。 私が、もし、童話を子供達に向って語るとせば、この態度、この心をもってします。そして、書く場合に於ても、何等、それと異なるところがないでありましょう。・・・<小川未明「童話を書く時の心」青空文庫>
  7. ・・・はいつもの饒舌癖がかえって大阪の有閑マダムがややこしく入り組んだ男女関係のいきさつを判らせようとして、こまごまだらだらと喋っているという効果を出しているし、大阪弁も女専の国文科を卒業した生粋の大阪の娘を二人まで助手に雇って、書いたものだけに・・・<織田作之助「大阪の可能性」青空文庫>
  8. ・・・この支店長募集をすべてお前の頭からひねり出したように書いているが、また、そうして置く方が、お前の真相をあばく効果を強めることにもなるわけだろうが、むろんここへはおれの名を書きそえるところだった。いや、もっと正確を期するなら、一切合財おれが下・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  9. ・・・それがはじめは無意識にだったのですが、あるいは人影になにかの効果を及ぼすかもしれないと思うようになり、それは意識的になりました。私ははじめシューベルトの「海辺にて」を吹きました。ご存じでしょうが、それはハイネの詩に作曲したもので、私の好きな・・・<梶井基次郎「Kの昇天」青空文庫>
  10. ・・・そして効果的に恥を与え得る言葉を捜しました。ややあって私はそれに成功することが出来ました。然しそれは効果的に過ぎた言葉でした。やっつけるばかりでなく、恐らくそのシャアシャアした婦人を暗く不幸にせずにはおかないように思えました。私はそんな言葉・・・<梶井基次郎「橡の花」青空文庫>
  11. ・・・努力をあまりつまずして具体的効果を得たいという、最もいとうべき考え方の傾向が必ずそれについで起こるものだ。そしていうまでもなく、社会はそうした傾向に対して最も冷淡に報いるものだ。彼らが社会的に輝やかしい地位をかち得ないのは当然である。 ・・・<倉田百三「学生と生活」青空文庫>
  12. ・・・なくして手当たり次第に読書することは、その割合いに効果乏しく、また批判の基準というものが立ちがたい。 自ら問いを持ち、その問いが真摯にして切実なものであるならば、その問いに対する解答の態度が同様なものである書物を好むであろう。まず問いを・・・<倉田百三「学生と読書」青空文庫>
  13. ・・・ ゴーゴリや、モリエールの持っていた冷かな情熱と憎悪を以て、今のブルジョアをバクロする喜劇を書いたら、それが一番効果があると云い度い位いだ。僕等の前には、ゴーゴリや、モリエールによって取扱わるべき材料がうようよしている。 今は小説を・・・<黒島伝治「愛読した本と作家から」青空文庫>
  14. ・・・殊に、絶滅の仕方が惨酷であったゞけ、その効果が多いような感じがした。 彼等は、自分の姓名が書かれてある下へ印を捺して、五円と、いくらか半ぱの金を受取った。その金で街へ遊びに行ける。彼等は考えた。「おや、こいつはまた偽札じゃないか。」・・・<黒島伝治「穴」青空文庫>
  15. ・・・古来の死刑は、はたして刑罰の目的を達することにおいて、よくその効果を奏したか、ということは、学者のひさしくうたがうところで、これまた、未決の一大問題として存している。けれども、わたくしは、ここで死刑の存廃を論ずるのではない。今のわたくし一個・・・<幸徳秋水「死刑の前」青空文庫>
  16. ・・・ 謂うに人に死刑に値いする程の犯罪ありや、死刑は果して刑罰として当を得たる者なりや、古来の死刑は果して刑罰の目的を達するに於て、能く其効果を奏せりやとは、学者の久しく疑う所で、是れ亦た未決の一大問題として存して居る、而も私は茲に死刑の存・・・<幸徳秋水「死生」青空文庫>
  17. ・・・少年もそのころは、背丈もひょろひょろ伸びて五尺七寸ちかくになっていましたので、そのマントは、悪魔の翼のようで、頗る効果がありました。このマントを着るときには、帽子を被りませんでした。魔法使いに、白線ついた制帽は不似合いと思ったのかも知れませ・・・<太宰治「おしゃれ童子」青空文庫>
  18. ・・・ 同じ扉の音でも、まるっきり違った効果を出す場合がある。これも作者の名は、忘れた。イギリスのブルウストッキングであるということだけは、間違いないようだ。ランタアンという短篇小説である。たいへん難渋の文章で、私は、おしまいまで読めなかった・・・<太宰治「音に就いて」青空文庫>
  19. ・・・それを忘れてしまえば厄介な記憶の訓練の効果は消えてしまう。試験さえすめば数カ月後には大丈夫綺麗に忘れてしまうような、また忘れて然るべきような事を、何年もかかって詰め込む必要はない。吾々は自然に帰るがいい。そして最小の仕事を費やして最大の効果・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  20. ・・・それで乗客の感覚の上では、恰度かなりな不連続線の通過に遭遇したと同等な効果になるわけである。しかし、乗客はみな、そんな面倒なことなどは考えないで「ああ涼しい」という。科学的な客観的な言葉を用いたがる現代人は「空気がちがって来た」というのであ・・・<寺田寅彦「浅間山麓より」青空文庫>
  21. ・・・無限の感謝は新時代の企てた女子教育の効果が、専制時代のそれに比して、徳育的にも智育的にも実用的にも審美的にも一つとして見るべきもののない実例となし得るがためである。無筆のお妾は瓦斯ストーヴも、エプロンも、西洋綴の料理案内という書物も、凡て下・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  22. ・・・わたくしは芸術が其の発生し、其の発達し来った本国を離れて、気候風土及び人種を異にした境に移された場合、其の芸術の効果と云い或は其の価値と称するものの何たるかを思考しなければならなかった。言を換うれば芸術の完全に鑑賞せられ得べき範囲についてお・・・<永井荷風「帝国劇場のオペラ」青空文庫>
  23. ・・・自分の経験もやはりふとした場所で意外な手紙の発見をしたということにはなるが、それが導火線になって、思いがけなくある実際上の効果を収めえたのであるから、手紙そのものにはそれほど興味がない。少なくとも、小説的な情調のもとに、それを読みえなかった・・・<夏目漱石「手紙」青空文庫>
  24. ・・・少くとも芸妓を上げて酒を飲んだと同等以上の効果がありそうに思われるのであります。あなた方もこういう公会堂へわざわざこの暑いのに集まって、私のような者の言うことを黙って聴くような勇気があるのだから、そういう楽な時間を利用して少し御読みになった・・・<夏目漱石「道楽と職業」青空文庫>
  25. ・・・労働に疲れ種々の患難に包まれて意気銷沈した時には或は小さな歌謡を口吟む、談笑する音楽を聴く観劇や小遠足にも出ることが大へん効果あるように食事も又一の心身回復剤である。この快楽を菜食ならば著しく減ずると思う。殊に愉快に食べたものならば実際消化・・・<宮沢賢治「ビジテリアン大祭」青空文庫>
  26. ・・・「うまい、肥った。効果がある。これから毎日小使と、二人で二度ずつやって呉れ。」 こんな工合でそれから七日というものは、豚はまるきり外で日が照っているやら、風が吹いてるやら見当もつかず、ただ胃が無暗に重苦しくそれからいやに頬や肩が、ふ・・・<宮沢賢治「フランドン農学校の豚」青空文庫>
  27. ・・・を思い出させることで、わたしの現在での活動や発言を牽制する効果を期待するとすれば、それは不可能である。 あの評論にふくまれている誤謬は、プロレタリア文学の戦線拡大に対する政治的態度の未熟さと、そこからひきおこされた文学に対するピューリタ・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」青空文庫>
  28. ・・・それが君主を目差すとか、大統領を目差すとかいうことになるのは、主義を広告する効果が大きいからだと云うのだ。」「焼けな話だね」と、山田が云った。 犬塚は笑って、「どうせ色々な原因から焼けになった連中が這入るのだから、無政府主義は焼けの・・・<森鴎外「食堂」青空文庫>
  29. 独断 芸術的効果の感得と云うものは、われわれがより個性を尊重するとき明瞭に独断的なものである。従って個性を異にするわれわれの感覚的享受もまた、各個の感性的直感の相違によりてなお一段と独断的なものである。それ故に文学上に於ける感覚・・・<横光利一「新感覚論」青空文庫>
  30. ・・・画面全体の効果から言えば、氏の幼稚な趣味が氏の技巧を全然裏切っていると言っていい。『慈悲光礼讃』という画題は、氏がこの画を描こうとした時の想念を現わすものかどうかは知らないが、もしこの種の企図を持ってこの画を描いたとすれば、そこにすでに破綻・・・<和辻哲郎「院展遠望」青空文庫>