• で始まる
  • で一致する
  • で終わる
  • を説明文に含む
  • を見出しに含む

こう‐ふん【口×吻】例文一覧 22件

  1. ・・・何しろお徳の口吻を真似ると、「まあ私の片恋って云うようなもの」なんだからね。精々そのつもりで、聞いてくれ給え。 お徳の惚れた男と云うのは、役者でね。あいつがまだ浅草田原町の親の家にいた時分に、公園で見初めたんだそうだ。こう云うと、君は宮・・・<芥川竜之介「片恋」青空文庫>
  2. ・・・この相手の口吻には、妙に人を追窮するような所があって、それが結局自分を飛んでもない所へ陥れそうな予感が、この時ぼんやりながらしたからである。そこで本間さんは思い出したように、白葡萄酒の杯をとりあげながら、わざと簡単に「西南戦争を問題にするつ・・・<芥川竜之介「西郷隆盛」青空文庫>
  3. ・・・と、残念らしい口吻を洩しました。その時泰さんが何気なく、「じゃもう一度逢いに行くさ。」と、調戯うようにこう云った――それが後になって考えると、新蔵の心に燃えている、焔のような逢いたさへ、油をかける事になったのでしょう。ほどなく泰さんに別れる・・・<芥川竜之介「妖婆」青空文庫>
  4. ・・・画工 (管をまく口吻何、面白かった。面白かったは不可んな。今の若さに。……小児をつかまえて、今の若さも変だ。はははは、面白かったは心細い。過去った事のようで情ない。面白いと云え、面白がれ、面白がれ。なおその上に面白くなれ。むむ、どうだ。・・・<泉鏡花「紅玉」青空文庫>
  5. ・・・奥の大巌の中腹に、祠が立って、恭しく斎き祭った神像は、大深秘で、軽々しく拝まれない――だから、参った処で、その効はあるまい……と行くのを留めたそうな口吻であった。「ごく内々の事でがすがなす、明神様のお姿というのはなす。」 時に、勿体・・・<泉鏡花「神鷺之巻」青空文庫>
  6. ・・・ U氏が最初からの口吻ではYがこの事件に関係があるらしいので、Yが夫人の道に外れた恋の取持ちでもした乎、あるいは逢曳の使いか手紙の取次でもしたかと早合点して、「それじゃアYが夫人の逢曳のお使いでもしたんですか?」というと、「そん・・・<内田魯庵「三十年前の島田沼南」青空文庫>
  7. ・・・と老父は言ったが、嫁や孫たちが可哀想だという口吻でもあった。「古いには古い家でごいす。俺が子供の時分の寺小屋だったでなあ。何度も建てなおされた家で、ここでは次男に鍛冶屋させるつもりで買ってきて建てたんだが、それが北海道へ行ったもんで、た・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  8. ・・・ 如何にも、女に金を貢ぐために、偽せ札をこしらえていたと断定せぬばかりの口吻だ。 彼は弁解がましいことを云うのがいやだった。分る時が来れば分るんだと思いながら、黙っていた。しかし、辛棒するのは、我慢がならなかった。憲兵が三等症にかゝ・・・<黒島伝治「穴」青空文庫>
  9. ・・・健二はひとりで憤慨する口吻になった。 親爺は、間を置いて、「われ、その仔はらみも放すつもりか?」と、眼をしょぼしょぼさし乍らきいた。「うむ。」「池か溝へ落ちこんだら、折角これだけにしたのに、親も仔も殺してしまうが……。」・・・<黒島伝治「豚群」青空文庫>
  10. ・・・こんなことになったのも、結局、為吉がはじめ息子を学校へやりたいような口吻をもらしたせいであるように、おしかは云い立てゝ夫をなじった。「まあそんなに云うない。今にあれが銭を儲けるようになったら、借金を返えしてくれるし、うら等も楽が出来るわ・・・<黒島伝治「老夫婦」青空文庫>
  11. ・・・日露戦争の時分には何でもロシアの方に同情して日本の連捷を呪うような口吻があったとかであるいは露探じゃないかという噂も立った。こんな事でひどく近所中の感じを悪くしたそうだが、細君の好人物と子供の可愛らしいのとで幾分か融和していたらしい。子供は・・・<寺田寅彦「イタリア人」青空文庫>
  12. ・・・雪江が私の机の側へ来て、雑誌などを読んでいるときに、それとなく話しかける口吻によってみると、彼女には幾分の悶えがないわけにはいかなかった。学校を出てから、東京へ出て、時代の新しい空気に触れることを希望していながら、固定的な義姉の愛に囚われて・・・<徳田秋声「蒼白い月」青空文庫>
  13. ・・・お民の態度は法律の心得がなくては出来ないと思われるほど抜目がなく、又其の言うところは全然共産党党員の口吻に類するものがあった。 書肆博文館が僕に対して版権侵害の賠償を要求して来た其翌日である。正午すこし前、お民は髪を耳かくしとやらに結い・・・<永井荷風「申訳」青空文庫>
  14. ・・・然るに主人の口吻は常に家内安全を主とし質素正直を旨とし、その説教を聞けばすこぶる愚ならずして味あるが如くなれども、最大有力の御用向きかまたは用向きなるものに逢えば、平生の説教も忽ち勢力を失い、銭を費やすも勤めなり、車馬に乗るも勤めなり、家内・・・<福沢諭吉「教育の事」青空文庫>
  15. ・・・だが、どうして、プロレタリア作家と自分等とをそんなに別々に対立するような口吻で区別するのだろう。 続けて、相手が質問した。「あなた、ロシアの田舎を知っていますか?」「大してよく知ってはいないが、あっちこっち旅行はしました」「・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  16. ・・・の政談傍聴禁止がしかれるまで、成田梅子、村上半子、景山英子らの活溌な動きがあったのだが、岸田俊子にしろ当時の自由党員中島長城と結婚してからは、自分の過去の政治活動をあまりよろこばしい回想とはしていない口吻であったことが語られている。俊子の生・・・<宮本百合子「女性の歴史の七十四年」青空文庫>
  17. ・・・ 私のようなものが、お前にお礼を云うのさえ、ほんとなら有難すぎることなのだという口吻が、ありありと言葉の端々に現われているけれども、禰宜様宮田はちっとも不当な態度だと思わなかったのみならず、彼女がほのめかす通り、お礼などを云われるのはも・・・<宮本百合子「禰宜様宮田」青空文庫>
  18. ・・・半分、いやいや恩にきせたような母上の口吻を、自分は下等に感じた。彼女が自分の口から、来るな、会わない、と迄云い切ったのを、今更取り消し、折れることが、如何に、性格として不可能かは判って居る。其故、彼女を立て、此方から、被来って下さいと云うの・・・<宮本百合子「二つの家を繋ぐ回想」青空文庫>
  19. ・・・そして殆ど大人の前に出た子供のような口吻で、声低く云った。「所詮父と妥協して遣る望はあるまいかね。」「駄目、駄目」と綾小路は云った。 綾小路は背をあぶるように、煖炉に太った体を近づけて、両手を腰のうしろに廻して、少し前屈みになって立・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>
  20. ・・・ 犬塚が教えて遣るという口吻で答えた。「どうしたもこうしたもないさ。あの連中の目には神もなけりゃあ国家もない。それだから刺客になっても、人を殺しても、なんのために殺すなんという理窟はいらないのだ。殺す目当になっている人間がなんの邪魔にな・・・<森鴎外「食堂」青空文庫>
  21. ・・・さも言いにくそうな口吻である。 長倉のご新造はいよいよ意外の思いをした。父はこの話をするとき、「お佐代は若過ぎる」と言った。また「あまり別品でなあ」とも言った。しかしお佐代さんを嫌っているのでないことは、平生からわかっている。多分父は吊・・・<森鴎外「安井夫人」青空文庫>
  22. ・・・ 大人か小児に物を言うような口吻である。美しい目は軽侮、憐憫、嘲罵、翻弄と云うような、あらゆる感情を湛えて、異様に赫いている。 私は覚えず猪口を持った手を引っ込めた。私の自尊心が余り甚だしく傷けられたので、私の手は殆ど反射的にこの女・・・<森鴎外「余興」青空文庫>