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ごう‐も〔ガウ‐〕【×毫も】例文一覧 30件

  1. ・・・ ただ二人、閨の上に相対し、新婦は屹と身体を固めて、端然として坐したるまま、まおもてに良人の面を瞻りて、打解けたる状毫もなく、はた恥らえる風情も無かりき。 尉官は腕を拱きて、こもまた和ぎたる体あらず、ほとんど五分時ばかりの間、互に眼・・・<泉鏡花「琵琶伝」青空文庫>
  2. ・・・ものからも度々噂を聞いて、Yに対する沼南の情誼に感奮した最初の推服を次第に減じたが、沼南の百の欠点を知っても自分の顔へ泥を塗った門生の罪過を憎む代りに憐んで生涯面倒を見てやった沼南の美徳に対する感嘆は毫も減ずるものではない。が、有体にいうと・・・<内田魯庵「三十年前の島田沼南」青空文庫>
  3. ・・・筆力が雄健で毫も窘渋の痕が見えないのは右眼の失明が何ら累をなさなかったのであろう。 馬琴は若い時、医を志したので多少は医者の心得もあったらしい。医者の不養生というほどでもなかったろうが、平生頑健な上に右眼を失ってもさして不自由しなかった・・・<内田魯庵「八犬伝談余」青空文庫>
  4. ・・・ 観行院様は非常に厳格で、非常に規則立った、非常に潔癖な、義務は必らず果すというような方でしたから、種善院様其他の墓参等は毫も御怠りなさること無く、また仏法を御信心でしたから、開帳などのある時は御出かけになり、柴又の帝釈あたりなどへも折・・・<幸田露伴「少年時代」青空文庫>
  5. ・・・ 両手で頬杖しながら匍匐臥にまだ臥たる主人、懶惰にも眼ばかり動かして一眼見しが、身体はなお毫も動かさず、「日瓢さんか、ナニ風邪じゃあねえ、フテ寝というのよ。まあ上るがいい。とは云いたれど上りてもらいたくも無さそうな顔なり。「・・・<幸田露伴「貧乏」青空文庫>
  6. ・・・其売れる売れないとは毫も文士として先生の偉大を損するに足らぬのである。<幸徳秋水「文士としての兆民先生」青空文庫>
  7. ・・・且つまた第二次原因の作用は毫も履歴効果を有せず、すなわち単に現在の状況のみによりて事柄が定まると仮定せん。かくのごとき理想的の場合においても地震の突発する「時刻」を予報する事はかなり困難なるべし。何となれば、この場合は前に述べし過飽和溶液の・・・<寺田寅彦「自然現象の予報」青空文庫>
  8. ・・・それで一見したところでは毫もこの規約に牴触しない――少なくも論理的には牴触しないような立派な付け句であっても、心理的科学者の目から見ると明らかに打ち越しの深い影響を受けたと、少なくも疑われるものがあったとしてもなんの不思議はないわけである。・・・<寺田寅彦「連句雑俎」青空文庫>
  9. ・・・軍人か土方の親方ならばそれでも差支はなかろうが、いやしくも美と調和を口にする画家文士にして、かくの如き粗暴なる生活をなしつつ、毫も己れの芸術的良心に恥る事なきは、実にや怪しともまた怪しき限りである。さればこれらの心なき芸術家によりて新に興さ・・・<永井荷風「妾宅」青空文庫>
  10. ・・・事をなすに当って設備の道を講ずるは毫も怪しむに当らない。或人の話に現時操觚を業となすものにして、その草稿に日本紙を用うるは生田葵山子とわたしとの二人のみだという。亡友唖々子もまたかつて万年筆を手にしたことがなかった。 千朶山房の草稿もそ・・・<永井荷風「十日の菊」青空文庫>
  11. ・・・のみならず新たに移った乙の波に揉まれながら毫も借り着をして世間体を繕っているという感が起らない。ところが日本の現代の開化を支配している波は西洋の潮流でその波を渡る日本人は西洋人でないのだから、新らしい波が寄せるたびに自分がその中で食客をして・・・<夏目漱石「現代日本の開化」青空文庫>
  12. ・・・字に註釈が入る、この字は吾ら両人の間にはいまだ普通の意味に用られていない、わがいわゆる乗るは彼らのいわゆる乗るにあらざるなり、鞍に尻をおろさざるなり、ペダルに足をかけざるなり、ただ力学の原理に依頼して毫も人工を弄せざるの意なり、人をもよけず・・・<夏目漱石「自転車日記」青空文庫>
  13. ・・・その平生を見れば毫も凡衆と異なるところなくふるまっているかも知れぬ。しかしひとたび筆を執って喧嘩する吾、煩悶する吾、泣く吾、を描く時はやはり大人が小児を視るごとき立場から筆を下す。平生の小児を、作家の大人が叙述する。写生文家の筆に依怙の沙汰・・・<夏目漱石「写生文」青空文庫>
  14. ・・・生活上寸毫も人の厄介にならずに暮して行くのだから平気なものである。人にすくなくとも迷惑をかけないし、また人にいささかの恩義も受けないで済むのだから、これほど都合の好いことはない。そういう人が本当の意味で独立した人間といわなければならないでし・・・<夏目漱石「道楽と職業」青空文庫>
  15. ・・・そうしてその声なり身ぶりなりが自然と安らかに毫も不満を感ぜずに示された型通り旨く合うように練習の結果としてできるではないか。あるいは旧派の芝居を見ても、能の仕草を見ても、ここで足をこのくらい前へ出すとか、また手をこのくらい上へ挙げると一々型・・・<夏目漱石「中味と形式」青空文庫>
  16. ・・・荒木又右衛門ぐらい知らなくったって、毫も僕の人格には関係はしまい。それよりも五里の山路が苦になって、やたらに不平を並べるような人が困った男なんだ」「腕力や脚力を持ち出されちゃ駄目だね。とうてい叶いっこない。そこへ行くと、どうしても豆腐屋・・・<夏目漱石「二百十日」青空文庫>
  17. ・・・余が博士を辞する時に、これら前人の先例は、毫も余が脳裏に閃めかなかったからである。――余が決断を促がす動機の一部分をも形づくらなかったからである。尤も先生がこれら知名の人の名を挙げたのは、辞任の必ずしも非礼でないという実証を余に紹介されたま・・・<夏目漱石「博士問題とマードック先生と余」青空文庫>
  18. ・・・我輩に於ても固より其野鄙粗暴を好まず、女性の当然なりと雖も、実際不品行の罪は一毫も恕す可らず、一毫も用捨す可らず。之が為めに男子の怒ることあるも恐るゝに足らず、心を金石の如くにして争うこそ婦人の本分なれ。女大学記者は是等の正論を目して嫉妬と・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  19. ・・・政府にては学校といい、平民にては塾といい、政府にては大蔵省といい、平民にては帳場といい、その名目は古来の習慣によりて少しく不同あれども、その事の実は毫も異なることなし。すなわち、これを平民の政といいて可なり。 古より家政などいう熟字あり・・・<福沢諭吉「学者安心論」青空文庫>
  20. ・・・極度の場合においては、国庫の出納を毫も増減せずして、実際の事は挙行すべし。 その法、他なし、文部省、工部省の学校を分離して御有となすときは、本省においては、従来学校に給したる定額を省くべきは当然の算数にして、この定額金は必ず大蔵省に帰す・・・<福沢諭吉「学問の独立」青空文庫>
  21. ・・・ そもそも文学と政治と、その世に功徳をなすの大小いかんを論ずるときは、此彼、毫も軽重の別なし。天下一日も政治なかるべからず、人間一日も文学なかるべからず、これは彼を助け、彼はこれを助け、両様並び行われて相戻らず、たがいに依頼して事をなす・・・<福沢諭吉「学校の説」青空文庫>
  22. ・・・剣術の巧拙を争わん歟、上士の内に剣客甚だ多くして毫も下士の侮を取らず。漢学の深浅を論ぜん歟、下士の勤学は日浅くして、もとより上士の文雅に及ぶべからず。 また下士の内に少しく和学を研究し水戸の学流を悦ぶ者あれども、田舎の和学、田舎の水戸流・・・<福沢諭吉「旧藩情」青空文庫>
  23. ・・・かの西洋諸国の人民がいわゆる野蛮国なるものを侵して、次第にその土地を奪い、その財産を剥ぎ、他の安楽を典して自から奉ずるの資となすが如き、その処置、毫も盗賊に異ならず。 在昔、欧羅巴の白人が亜米利加に侵入してその土人を逐い、英人が印度地方・・・<福沢諭吉「教育の目的」青空文庫>
  24. ・・・ 然ばすなわち我が輩の所業、その形は世情と相反するに似たりといえども、その実はともに天道の法則にしたがいて天賦の才力を用ゆるの外ならざれば、此彼の間、毫も相戻ることなし。前日の事、すでにすでにかくの如し、後日の事、またまさにかくの如くな・・・<福沢諭吉「中元祝酒の記」青空文庫>
  25. ・・・曙覧が新言語を用い新趣味を詠じ毫も古格旧例に拘泥せざりしは、なかなかに『万葉』の精神を得たるものにして、『古今集』以下の自ら画して小区域に局促たりしと同日に語るべきにあらず。ただ歌全体の調子において曙覧はついに『万葉』に及ばず、実朝に劣りた・・・<正岡子規「曙覧の歌」青空文庫>
  26. ・・・しかして古雅幽玄なる消極的美の弊害は一種の厭味を生じ、今日の俗宗匠の俳句の俗にして嘔吐を催さしむるに至るを見るに、かの艶麗ならんとして卑俗に陥りたるものに比して毫も優るところあらざるなり。 積極的美と消極的美とを比較して優劣を判せんこと・・・<正岡子規「俳人蕪村」青空文庫>
  27. ・・・例えばその作品に対する作者の自由な態度を曲解して、その本当の意味でない、作者の毫も予期しない、不真面目な事件が起り易いことです。仮りに或る会社内の事を想像してみましょう。その中の女事務員、只単に女が放たれているという自由のために、男がそれを・・・<宮本百合子「今日の女流作家と時代との交渉を論ず」青空文庫>
  28. ・・・であろうと「彼女がなぐりつける理由は毫もない」「彼女はかかる同盟拡大強化の反対者であり、反ファッショ的闘争を現実に弱めるものである」と断定している点にふれよう。同志神近も、「作家同盟の目的は何であるか? 作家同盟は前衛の団体であったか、同伴・・・<宮本百合子「前進のために」青空文庫>
  29. ・・・松の幹が大きくうねって整列していないということは街路樹たる資格を毫も遮げるものではない。もし街路樹の必要を感ずるならば、すでにかくのごとき壮大な街路樹の存することを認識し、またそれを尊重しなくてはならない。そうすれば電線の下にすくんでいる矮・・・<和辻哲郎「城」青空文庫>
  30. ・・・しかし不正なるもの不純なるものに対しては毫も仮借する所がなかった。その意味で先生の愛には「私」がなかった。私はここに先生の人格の重心があるのではないかと思う。 正義に対する情熱、愛より「私」を去ろうとする努力、――これをほかにして先生の・・・<和辻哲郎「夏目先生の追憶」青空文庫>