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ごう‐れい〔ガウ‐〕【号令】例文一覧 30件

  1. ・・・同時に大勢の兵たちも、声のない号令でもかかったように、次から次へと立ち直り始めた。それはこの時彼等の間へ、軍司令官のN将軍が、何人かの幕僚を従えながら、厳然と歩いて来たからだった。「こら、騒いではいかん。騒ぐではない。」 将軍は陣地・・・<芥川竜之介「将軍」青空文庫>
  2. ・・・ 画札を握った保吉は川島の号令のかかると共に、誰よりも先へ吶喊した。同時にまた静かに群がっていた鳩は夥しい羽音を立てながら、大まわりに中ぞらへ舞い上った。それから――それからは未曾有の激戦である。硝煙は見る見る山をなし、敵の砲弾は雨のよ・・・<芥川竜之介「少年」青空文庫>
  3. ・・・ 号令を掛けたのは我衛生隊附のピョートル、イワーヌイチという看護長。頗る背高で、大の男四人の肩に担がれて行くのであるが、其方へ眼を向けてみると、まず肩が見えて、次に長い疎髯、それから漸く頭が見えるのだ。「看護長殿!」 と小声に云・・・<著:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ 訳:二葉亭四迷「四日間」青空文庫>
  4. ・・・ 朝夕朗々とした声で祈祷をあげる、そして原っぱへ出ては号令と共に体操をする、御嶽教会の老人が大きな雪達磨を作った。傍に立札が立ててある。「御嶽教会×××作之」と。 茅屋根の雪は鹿子斑になった。立ちのぼる蒸気は毎日弱ってゆく。・・・<梶井基次郎「雪後」青空文庫>
  5. ・・・母は三言五言いう。妻はもじもじしながらいう。母は号令でもするように言う。母は三言目には喧嘩腰、妻は罵倒されて蒼くなって小さくなる。女でもこれほど異うものかと怪しまれる位。 母者ひとの御入来。 其処は端近先ず先ずこれへとも何とも言わぬ・・・<国木田独歩「酒中日記」青空文庫>
  6. ・・・のか分らなくなる。でも、あとから考えてみると、チャンと、平素から教えならされたように、弾丸をこめ、銃先を敵の方に向けて射撃している。左右の者があって、前進しだすと、始めて「前へ」の号令があったことに気づいて自分も立ち上る。 敵愾心を感じ・・・<黒島伝治「戦争について」青空文庫>
  7. ・・・のようにぬらしていた。 草原や、斜丘にころびながら進んで行く兵士達の軍服は、外皮を通して、その露に、襦袢の袖までが、しっとりとぬれた。汗ばみかけている彼等は、けれども、「止れ!」の号令で草の上に長々ところんで冷たい露に頬をぬらすのが快か・・・<黒島伝治「パルチザン・ウォルコフ」青空文庫>
  8. ・・・という随筆を、口述筆記させてもらって、編輯長のところへ少し得意で呈出したら、編輯長はそれを読むなりけッと笑って、「なんだいこれは。号令口調というんだね。孔子曰く、はひどいね。」と、さんざ悪口言いました。ちゃんと長兄の侘びしさを解していな・・・<太宰治「兄たち」青空文庫>
  9. ・・・と勇んで友人達に号令し、みな道端に寄って並び立ち、速力の遅いバスを待って居ました。やがてバスは駅前の広場に止り、ぞろぞろ人が降りて、と見ると佐吉さんが白浴衣着てすまして降りました。私は、唸るほどほっとしました。 佐吉さんが来たので、助か・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  10. ・・・人に教えたり、人に号令したりする資格は、私には全然ありません。いや、能力が無いのです。私はいつでも自分の触覚した感動だけを書いているのです。私は単純な、感激居士なのかも知れません。たとい、どんな小さな感動でも、それを見つけると私は小説を書き・・・<太宰治「風の便り」青空文庫>
  11. ・・・時流に対して、なんの号令も、できないのである。さすがにそれが、ときどき侘びしくふらと家を出て、石を蹴り蹴り路を歩いて、私は、やはり病気なのであろうか。私は小説というものを間違って考えているのであろうか、と思案にくれて、いや、そうで無いと打ち・・・<太宰治「鴎」青空文庫>
  12. ・・・と神の父ゼウスは天上から人間に号令した。「受取れ、これはお前たちのものだ。お前たちにおれは、これを遺産として、永遠の領地として、贈ってやる。さあ、仲好く分け合うのだ。」その声を聞き、忽ち先を争って、手のある限りの者は右往左往、おのれの分・・・<太宰治「心の王者」青空文庫>
  13. ・・・私には、謂わば政治的手腕も無ければ、人に号令する勇気も無し、教えるほどの学問も無い。何とかして明るい希望を持っていたいと工夫の揚句が、わずかに毎朝の冷水摩擦くらいのところである。けれども無頼の私にとっては、それだけでも勇猛の、大事業のつもり・・・<太宰治「乞食学生」青空文庫>
  14. ・・・これを見ていると、なんだか現在のロシアでは三度のめしを食うのでもみんな号令でフォークやナイフを動かしているのではないかというような気がして来て、これでは自分のようなわがままな人間はとてもやりきれないだろうという気がするのであった。たとえば工・・・<寺田寅彦「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」青空文庫>
  15. ・・・火の伝播がいかに迅速であるとしても、発火と同時に全館に警鈴が鳴り渡りかねてから手ぐすね引いている火災係が各自の部署につき、良好な有力な拡声機によって安全なる避難路が指示され、群集は落ち着き払ってその号令に耳をすまして静かに行動を起こし、そう・・・<寺田寅彦「火事教育」青空文庫>
  16. ・・・将校が一々号令をかけているのが滑稽の感を少なからず助長するのであった。 船首の突端へ行って海を見おろしていると深碧の水の中に桃紅色の海月が群れになって浮遊している。ずっと深い所に時々大きな魚だか蝦だか不思議な形をした物の影が見えるがなん・・・<寺田寅彦「旅日記から(明治四十二年)」青空文庫>
  17. ・・・と三十一になる。四年前に文学士になってから、しばらく神田の某私立学校で英語を教えていた。受持の時間に竹村君が教場へはいるときに首席にいる生徒が「気を付け」「礼」と号令をすると生徒一同起立して恭しくお辞儀をする。そんな事からが妙に厭であった。・・・<寺田寅彦「まじょりか皿」青空文庫>
  18. ・・・力の強い子で、朝、教室の前で同級生たちを整列させているとき、級長の号令をきかないで乱暴する子があると、黙って首ッ玉と腕をつかんでひっぱってくる。そんなときもやはりわらっていた。 林が私のために、邸の奥さんに詫びてくれてから、私は林が好き・・・<徳永直「こんにゃく売り」青空文庫>
  19. ・・・枡を持ち出して、反物の尺を取ってやるから、さあ持って来いと号令を下したって誰も号令に応ずるものはありません。寒暖計を眺めて、どうもあの山の高さはよほどあるよと云う連中は、寒暖計を験温器の代りにして逆上の程度でも計ったらよかろうと思う。もっと・・・<夏目漱石「文芸の哲学的基礎」青空文庫>
  20. ・・・ところへ連れて行って、丈を嘉助とくらべてから嘉助とそのうしろのきよの間へ立たせました。 みんなはふりかえってじっとそれを見ていました。 先生はまた玄関の前に戻って、「前へならえ。」と号令をかけました。 みんなはもう一ぺん前へ・・・<宮沢賢治「風の又三郎」青空文庫>
  21. ・・・と思ったらしく、ちょっとうしろを振り向いて見ましたが、なあになんでもないという風でまたこっちを向いて「右ぃおいっ」と号令をかけました。ところがおかしな子どもはやっぱりちゃんとこしかけたままきろきろこっちを見ています。みんなはそれから番号・・・<宮沢賢治「風野又三郎」青空文庫>
  22. ・・・ これはたしかに間違いで、一疋しか居りませんでしたし、それも決してのどが壊れたのではなく、あんまり永い間、空で号令したために、すっかり声が錆びたのです。それですから烏の義勇艦隊は、その声をあらゆる音の中で一等だと思っていました。 雪・・・<宮沢賢治「烏の北斗七星」青空文庫>
  23. ・・・果樹整枝法、その一、ピラミッド、一の号令でこの形をつくる。二で直るいいか」大将両腕を上げ整枝法のピラミッド形をつくる。大将「いいか。果樹整枝法、その一、ピラミッド。一、よろし。二、よろし、一、二、一、二、一、やめい。」大・・・<宮沢賢治「饑餓陣営」青空文庫>
  24. ・・・ あっちでもこっちでも号令をかける声ラッパのまね、足ぶみの音それからまるでそこら中の鳥も飛びあがるようなどっと起るわらい声、虔十はびっくりしてそっちへ行って見ました。 すると愕ろいたことは学校帰りの子供らが五十人も集って一列になって・・・<宮沢賢治「虔十公園林」青空文庫>
  25. ・・・幾万をもって数えられるかと思う白い墓標は、その土の下に埋った若者たちがまだ兵卒の服を着て銃を肩に笑ったり、苦しんだりしていたとき、号令に従って整列したように、白い不動の低い林となって列から列へと並んでいる。襟に真鍮の番号をつけられていたその・・・<宮本百合子「女靴の跡」青空文庫>
  26. ・・・という標語を示した時、母たるドイツの勤労女性の生活苦闘の衷心からの描き手であったケーテ・コルヴィッツは、どんな心持で、この侵略軍人生産者としてだけ母性を認めたシュペングラーの号令をきいただろうか。その頃から日本権力も侵略戦争を進行させていて・・・<宮本百合子「ケーテ・コルヴィッツの画業」青空文庫>
  27. ・・・ほんとうに私たちは号令に飽きた。よくもあしくも強制にはこりた。 だが、そもそも私たち人間がギリシアの時代からもちつたえ展開させ、神話よりついに科学として確立させたこの社会についての学問、社会科学とその究明よりもたらされる将来の構成への展・・・<宮本百合子「現代の主題」青空文庫>
  28. ・・・人間の智慧がこしらえられるものは、武器と牢獄とであり、人々の間に響く声といえば号令だとしか考えなかった。ましてや、人民解放のために生涯を捧げた解放者の像などはない。 明治末期から大正にかけて、日本のブルジョア・インテリゲンツィアの文学の・・・<宮本百合子「行為の価値」青空文庫>
  29. ・・・ と号令をかけてやったんだそうだからなあ……」 意味深長に、威脅的に云った。「どうも世の中の方はどんどん進んで行くね、あなたもそうやって坐ってるうちに、いつの間にかおいてきぼりをくいますよ、ひ、ひ、ひ」 新聞を見せて呉れというと・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  30. ・・・そこを坂下からこちらへ十人ばかりの陸軍の兵隊が、重い鉄材を積んだ車を曳いて登って来ると、栖方の大尉の襟章を見て、隊長の下士が敬礼ッと号令した。ぴたッと停った一隊に答礼する栖方の挙手は、隙なくしっかり板についたものだった。軍隊内の栖方の姿を梶・・・<横光利一「微笑」青空文庫>