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さっぱり例文一覧 30件

  1. ・・・ 代官は天主のおん教は勿論、釈迦の教も知らなかったから、なぜ彼等が剛情を張るのかさっぱり理解が出来なかった。時には三人が三人とも、気違いではないかと思う事もあった。しかし気違いでもない事がわかると、今度は大蛇とか一角獣とか、とにかく人倫・・・<芥川竜之介「おぎん」青空文庫>
  2. ・・・しまいには私も、これはもう縁がないもんだとさっぱりあきらめてしまったんです。それがあなた……」 ほかの連中が相手にならないもんだから、お徳は僕一人をつかまえて、しゃべっているんだ。それも半分泣き声でさ。「それがあなた、この土地へ来て・・・<芥川竜之介「片恋」青空文庫>
  3. ・・・「いや、ものに誘われて、何でも、これは、言合わせたように、前後甲乙、さっぱりと三人同時だ。」「可厭ねえ、気味の悪い。」「ね、おばさん、日の暮方に、お酒の前。……ここから門のすぐ向うの茄子畠を見ていたら、影法師のような小さなお媼さ・・・<泉鏡花「貝の穴に河童の居る事」青空文庫>
  4. ・・・ 七兵衛天窓を掻いて、「困らせるの、年月も分らず、日も分らず、さっぱり見当が着かねえが、」と頗る弱ったらしかったが、はたと膝を打って、「ああああ居た居た、居たが何、ありゃ売物よ。」と言ったが、菊枝には分らなかった。けれども記憶を・・・<泉鏡花「葛飾砂子」青空文庫>
  5. ・・・民子は今日を別れと思ってか、髪はさっぱりとした銀杏返しに薄く化粧をしている。煤色と紺の細かい弁慶縞で、羽織も長着も同じい米沢紬に、品のよい友禅縮緬の帯をしめていた。襷を掛けた民子もよかったけれど今日の民子はまた一層引立って見えた。 僕の・・・<伊藤左千夫「野菊の墓」青空文庫>
  6. ・・・位だ、お町はやがて自分も着物を着替て改った挨拶などする、十になる児の母だけれど、町公町公と云ったのもまだつい此間の事のようで、其大人ぶった挨拶が可笑しい位だった、其内利助も朝草を山程刈って帰ってきた、さっぱりとした麻の葉の座蒲団を影の映るよ・・・<伊藤左千夫「姪子」青空文庫>
  7. ・・・ 秀ちゃんは、はじめてのお家へきたので、かしこまっていましたが、だんだん慣れると、さっぱりとした性質ですから、話しかけられれば、はきはき、ものをいいますので、すぐにみんなとうちとけてしまいました。 いろいろと話をしているうち、ふいに・・・<小川未明「二少年の話」青空文庫>
  8. ・・・俺あ何もお前と夫婦約束をしたわけでもねえし、ただ何だ、お前は食わせる人がいねえで困ってるし、俺は独者だし、の、それだけの事で、ほかにゃ綾も何にもありゃしねえんだから、お前も旅の者らしくさっぱりしてくんねえな。俺あどこまでも好自由な独者で渡り・・・<小栗風葉「世間師」青空文庫>
  9. ・・・ 某日、軽部の同僚と称して、蒲地某が宗右衛門の友恵堂の最中を手土産に出しぬけに金助を訪れ、呆気にとられている金助を相手によもやまの話を喋り散らして帰って行き、金助にはさっぱり要領の得ぬことだった。ただ、蒲地某の友人の軽部村彦という男が品・・・<織田作之助「雨」青空文庫>
  10. ・・・一体君はどうご自分の生活というものを考えて居るのか、僕にはさっぱり見当が附かない」「僕にも解らない……」「君にも解らないじゃ、仕様が無いね。で、一体君は、そうしていて些とも怖いと思うことはないかね?」「そりゃ怖いよ。何も彼も怖い・・・<葛西善蔵「子をつれて」青空文庫>
  11. ・・・ いったいどこから浮かんで来た空想かさっぱり見当のつかない屍体が、いまはまるで桜の樹と一つになって、どんなに頭を振っても離れてゆこうとはしない。 今こそ俺は、あの桜の樹の下で酒宴をひらいている村人たちと同じ権利で、花見の酒が呑めそう・・・<梶井基次郎「桜の樹の下には」青空文庫>
  12. ・・・』『少し風邪を引いて二日ばかり休みました』と自ら欺き人をごまかすことのできざる性分のくせに嘘をつけば、人々疑わず、それはそれはしかしもうさっぱりしたかねとみんなよりいたわられてかえってまごつき、『ありがとう、もうさっぱりとしました。・・・<国木田独歩「置土産」青空文庫>
  13. ・・・人々は、いまじゃ弘法大師もさっぱり睨みがきかなくなったと云って罰のバチがあたることを殆んど信じなくなっている。<黒島伝治「海賊と遍路」青空文庫>
  14. ・・・二日ともさっぱり釣れない。そこで幾ら何でもちっとも釣れないので、吉公は弱りました。小潮の時なら知らんこと、いい潮に出ているのに、二日ともちっとも釣れないというのは、客はそれほどに思わないにしたところで、船頭に取っては面白くない。それも御客が・・・<幸田露伴「幻談」青空文庫>
  15. ・・・末子が何をしたのか、どうして次郎がそんなにまで平素のきげんをそこねているのか、さっぱりわからなかった。ただただ私は、まだ兄たち二人とのなじみも薄く、こころぼそく、とかく里心を起こしやすくしている新参者の末子がそこに泣いているのを見た。 ・・・<島崎藤村「嵐」青空文庫>
  16. ・・・すると魚はどこへかくれているのか、いくらかきまわしても、さっぱり見つかりません。ぶくぶくはそれを見て、「おい、おどき。いいことがある。」と言いながら、長々をもとのからだにちぢめさせて、どぶんと泉の中へ入りました。そして、いきなり、ぷうぷ・・・<鈴木三重吉「ぶくぶく長々火の目小僧」青空文庫>
  17. ・・・兄は、その粋紳士風の趣味のために、おそろしく気取ってばかりいて、女のひとには、さっぱり好かれないようでした。そのころ高田の馬場の喫茶店に、兄が内心好いている女の子がありましたが、あまり旗色がよくないようで、兄は困って居りました。それでも、兄・・・<太宰治「兄たち」青空文庫>
  18. ・・・ 去年の七月にはあんなにたくさんに池のまわりに遊んでいた鶺鴒がことしの七月はさっぱり見えない。そのかわりに去年はたった一匹しかいなかったあひるがことしは十三羽に増殖している。鴨のような羽色をしたひとつがいのほかに、純白の雌が一羽、それか・・・<寺田寅彦「あひると猿」青空文庫>
  19. ・・・兄はそう言って、道太が思ったよりさっぱりしていた。 道太はやっと安心して、病室を出ることができたが、しかし次の部屋まで来ると、にわかに兄の歔欷が聞こえたので、彼は思わず足が竦んでしまった。 それから兄の傍を離れるのに、また少し時間が・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  20. ・・・赤いてがらは腰をかけ、両袖と福紗包を膝の上にのせて、「校友会はどうしちまったんでしょう、この頃はさっぱり会費も取りに来ないんですよ。」「藤村さんも、おいそがしいんですよ、きっと。何しろ、あれだけのお店ですからね。」「お宅さまでは・・・<永井荷風「深川の唄」青空文庫>
  21. ・・・「ええありがとう、もうさっぱり……」「何ともないんですか」「ええ風邪はとっくに癒りました」 寒からぬ春風に、濛々たる小雨の吹き払われて蒼空の底まで見える心地である。日本一の御機嫌にて候と云う文句がどこかに書いてあったようだが・・・<夏目漱石「琴のそら音」青空文庫>
  22. ・・・どの商店も小綺麗にさっぱりして、磨いた硝子の飾窓には、様々の珍しい商品が並んでいた。珈琲店の軒には花樹が茂り、町に日蔭のある情趣を添えていた。四つ辻の赤いポストも美しく、煙草屋の店にいる娘さえも、杏のように明るくて可憐であった。かつて私は、・・・<萩原朔太郎「猫町」青空文庫>
  23. ・・・第一何が何だかさっぱり話が分らねえじゃねえか、人に話をもちかける時にゃ、相手が返事の出来るような物の言い方をするもんだ。喧嘩なら喧嘩、泥坊なら泥坊とな」「そりゃ分らねえ、分らねえ筈だ、未だ事が持ち上らねえからな、だが二分は持ってるだろう・・・<葉山嘉樹「淫賣婦」青空文庫>
  24. ・・・淋しいのは少しも苦にならないけれど、人が来ないので世上の様子がさっぱり分らないには困る。友だちは何として居るかしらッ。小つまは勤めて居るなら最う善いかげんの婆さんになったろう。みイちゃんは婚礼したかどうかしらッ。市区改正はどれだけ捗取ったか・・・<正岡子規「墓」青空文庫>
  25. ・・・ぼくはけれども気持ちがさっぱりした。五月十三日 今日学校から帰って田に行ってみたら母だけ一人居て何だか嬉しそうにして田の畦を切っていた。 何かあったのかと思ってきいたら、今にお父さんから聞けといった。ぼくはきっと修学旅行のこ・・・<宮沢賢治「或る農学生の日誌」青空文庫>
  26. ・・・若いしっかりした良人を失った女性たちは、こういう経験をとおしてだけでも、どんなに仕事の上での又生活の上でのさっぱりとしてたよりになるほんとの男女の協力を願っているかもしれないと思う。 家庭の重荷ということばは、いつも婦人の側から激しくい・・・<宮本百合子「明日をつくる力」青空文庫>
  27. ・・・それから寄ってたかってお蝶を揶揄ったところが、おとなしいことはおとなしくても、意気地のある、張りの強いお蝶は、佐野と云うその書生さんの身の上を、さっぱりと友達に打ち明けた。佐野さんは親が坊さんにすると云って、例の殺生石の伝説で名高い、源翁禅・・・<森鴎外「心中」青空文庫>
  28. ・・・そして、この怪しむべきことが何の怪しむべきことでもない、さっぱりしたこの場のただ一つの真実だった。排中律のまっただ中に泛んだ、ただ一つの直感の真実は、こうしていま梶に見事な実例を示してくれていて、「さア、どうだ、どうだ。返答しろ。」と梶に迫・・・<横光利一「微笑」青空文庫>
  29. ・・・夢を見ているように美しい、ハムレット太子の故郷、ヘルジンギヨオルから、スウェエデンの海岸まで、さっぱりした、住心地の好さそうな田舎家が、帯のように続いていて、それが田畑の緑に埋もれて、夢を見るように、海に覗いている。雨を催している日の空気は・・・<著:ランドハンス 訳:森鴎外「冬の王」青空文庫>
  30. ・・・女はさっぱりと云った。そしてそう云いながら微笑んだらしく思われた。それからこう云った。「それなのにわたくしは一人でいるのが勝手なのでございます。これから内へ帰りましても、わたくしはやっぱり一人でいることが多いのでございます。」 フィンク・・・<著:リルケライネル・マリア 訳:森鴎外「白」青空文庫>