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さん‐かく【三角】例文一覧 30件

  1. ・・・たとえば三角関係などは近代的恋愛の一例ですからね。少くとも日本の現状では。 保吉 ああ、三角関係ですか? それは僕の小説にも三角関係は出て来るのです。……ざっと筋を話して見ましょうか? 主筆 そうして頂ければ好都合です。 保吉 ・・・<芥川竜之介「或恋愛小説」青空文庫>
  2. ・・・ 銀灰色の靄と青い油のような川の水と、吐息のような、おぼつかない汽笛の音と、石炭船の鳶色の三角帆と、――すべてやみがたい哀愁をよび起すこれらの川のながめは、いかに自分の幼い心を、その岸に立つ楊柳の葉のごとく、おののかせたことであろう。・・・<芥川竜之介「大川の水」青空文庫>
  3. ・・・と呼ぶ三角洲を左にしながら、二時前後の湘江を走って行った。からりと晴れ上った五月の天気は両岸の風景を鮮かにしていた。僕等の右に連った長沙も白壁や瓦屋根の光っているだけにきのうほど憂鬱には見えなかった。まして柑類の木の茂った、石垣の長い三角洲・・・<芥川竜之介「湖南の扇」青空文庫>
  4. ・・・妻は、模様も分らなくなった風呂敷を三角に折って露西亜人のように頬かむりをして、赤坊を背中に背負いこんで、せっせと小枝や根っこを拾った。仁右衛門は一本の鍬で四町にあまる畑の一隅から掘り起しはじめた。外の小作人は野良仕事に片をつけて、今は雪囲を・・・<有島武郎「カインの末裔」青空文庫>
  5. ・・・へん、大袈裟な真似をしやがって、 と云う声がしたので、見ると大黒帽の上から三角布で頬被りをした男が、不平相にあたりを見廻して居たが、一人の巡査が彼を見おろして居るのに気が附くと、しげしげそれを見返して、唾でも吐き出す様に、・・・<有島武郎「かんかん虫」青空文庫>
  6. ・・・ その近山の裾は半ば陰ったが、病院とは向う合せに、この畷から少し低く、下りめになって、陽の一杯に当る枯草の路が、ちょろちょろとついて、その径と、畷の交叉点がゆるく三角になって、十坪ばかりの畑が一枚。見霽の野山の中に一つある。一方が広々と・・・<泉鏡花「みさごの鮨」青空文庫>
  7. ・・・今なら文部省に睨まれ教育界から顰蹙される頗る放胆な自由恋愛説が官学の中から鼓吹され、当の文部大臣の家庭に三角恋愛の破綻を生じた如き、当時の欧化熱は今どころじゃなかった。 先年侯井上が薨去した時、侯の憶い出咄として新聞紙面を賑わしたのはこ・・・<内田魯庵「四十年前」青空文庫>
  8. ・・・ 世相は歪んだ表情を呈しているが、新吉にとっては、世相は三角でも四角でもなかった。やはり坂道を泥まみれになって転がって行く円い玉であった。この円い玉をどこまで追って行っても、世相を捉えることは出来ない。目まぐるしい変転する世相の逃足の早・・・<織田作之助「郷愁」青空文庫>
  9. ・・・ 登勢はいやな顔一つ見せなかったから、痒いところへ届かせるその手の左利きをお定はふとあわれみそうなものだのに、やはり三角の眼を光らせて、鈍臭い、右の手使いなはれ。そして夜中用事がなくても呼び起すので、登勢は帯を解く間もなく、いつか眼のふ・・・<織田作之助「螢」青空文庫>
  10.  餅は円形きが普通なるわざと三角にひねりて客の目を惹かんと企みしようなれど実は餡をつつむに手数のかからぬ工夫不思議にあたりて、三角餅の名いつしかその近在に広まり、この茶店の小さいに似合わぬ繁盛、しかし餅ばかりでは上戸が困ると・・・<国木田独歩「置土産」青空文庫>
  11. ・・・これまで彼は父母の意に従って高等学校に入るべき準備をしていた時でも、三角に対する冷淡は画に対する熱心といつも両極をなしていた。さらにさかのぼって、彼の小学校にある時すら彼は画のみを好んでおったのを自分は知っている。この少年に向かって父母は医・・・<国木田独歩「小春」青空文庫>
  12. ・・・ 薄筵の一端を寄せ束ねたのを笠にも簑にも代えて、頭上から三角なりに被って来たが、今しも天を仰いで三四歩ゆるりと歩いた後に、いよいよ雪は断れるナと判じたのだろう、「エーッ」と、それを道の左の広みの方へかなぐり捨てざまに抛って了った・・・<幸田露伴「雪たたき」青空文庫>
  13. ・・・私は御免蒙って二階へ上り、蚊帳を三角に釣って寝てしまいました。言い争うような声が聞えたので眼を覚まし、窓の方を見ると、佐吉さんは長い梯子を屋根に立てかけ、その梯子の下でお母さんと美しい言い争いをして居たのでありました。今夜、揚花火の結びとし・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  14. ・・・クリスマスのお祭りの、紙の三角帽をかぶり、ルパンのように顔の上半分を覆いかくしている黒の仮面をつけた男と、それから三十四、五の痩せ型の綺麗な奥さんと二人連れの客が見えまして、男のひとは、私どもには後向きに、土間の隅の椅子に腰を下しましたが、・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」青空文庫>
  15. ・・・死人の額に三角の紙がはられて、それに『シ』の字が書かれてあるように、女類の額には例外無く、金の『カ』の字を書いた三角の紙が、ぴったりはられているんだよ。」「死ぬというんです。わかれたら、生きておれないと言うんです。何だか、薬を持っている・・・<太宰治「女類」青空文庫>
  16. ・・・こうすれば、言葉と白墨の線とによって、大きさや角度や三角函数などの概念を注ぎ込むよりも遥かに早く確実に、おまけに面白くこれらの数学的関係を呑み込ませる事が出来る。一体こういう学問の実際の起原はそういう実用問題であったではないか。例えばタレー・・・<寺田寅彦「アインシュタインの教育観」青空文庫>
  17. ・・・このいたずらを利用したものの例としては三角測量の際に遠方の三角点から光の信号を送るへリオトロープがあり、その他色々な光束が色々の信号に使われるのは周知のことである。自分の子供の時分に屋内の井戸の暗い水底に薬鑵が沈んだのを二枚の鏡を使って日光・・・<寺田寅彦「異質触媒作用」青空文庫>
  18. ・・・買いに行った店にはゴムのかかとのが無かったのでそのかわりに、かかとの一隅に小さな三角形の鉄片を打ちつけたのをなんの気なしに買って来た。それで、古いほうの靴は近所の靴屋へ直しにやって、そうしてこの新しいのをおろしてはいて玄関から一歩踏み出して・・・<寺田寅彦「試験管」青空文庫>
  19. ・・・その他四角だろうが三角だろうが幾何的に存在している限りはそれぞれの定義でいったん纏めたらけっして動かす必要もないかも知れないが、不幸にして現実世の中にある円とか四角とか三角とかいうもので過去現在未来を通じて動かないものははなはだ少ない。こと・・・<夏目漱石「現代日本の開化」青空文庫>
  20. ・・・パヴィースと云うて三角を倒まにして全身を蔽う位な大きさに作られたものとも違う。ギージという革紐にて肩から釣るす種類でもない。上部に鉄の格子を穿けて中央の孔から鉄砲を打つと云う仕懸の後世のものでは無論ない。いずれの時、何者が錬えた盾かは盾の主・・・<夏目漱石「幻影の盾」青空文庫>
  21. ・・・それからしてジャーナリスト等は、三角関係の恋愛や情死者等を揶揄してニイチェストと呼んだ。 何故にニイチェは、かくも甚だしく日本で理解されないだらうか。前にも既に書いた通り、その理由はニイチェが難解だからである。たしかメレヂコフスキイだか・・・<萩原朔太郎「ニイチェに就いての雑感」青空文庫>
  22. ○一つ橋外の学校の寄宿舎に居る時に、明日は三角術の試験だというので、ノートを広げてサイン、アルファ、タン、スィータスィータと読んで居るけれど少しも分らぬ。困って居ると友達が酒飲みに行かんかというから、直に一処に飛び出した。いつも行く神保・・・<正岡子規「酒」青空文庫>
  23. ・・・海は針をたくさん並べたように光っているし木のいっぱい生えた三角な島もある。いま見ているこの白い海が太平洋なのだ。その向うにアメリカがほんとうにあるのだ。ぼくは何だか変な気がする。海が岬で見えなくなった。松林だ。また見える。次は浅虫だ。石・・・<宮沢賢治「或る農学生の日誌」青空文庫>
  24. ・・・お日さまさえ、ずうっと遠くの天の隅のあたりで、三角になってくるりくるりとうごいているように見えたのです。 みんなは石のある所に来ました。そしててんでに百匁ばかりの石につなをつけて、エンヤラヤア、ホイ、エンヤラヤアホイ。とひっぱりはじめま・・・<宮沢賢治「カイロ団長」青空文庫>
  25. ・・・』と云うと子供の助手はまるで口を尖らせて、『だって向うの三角旗や何かぱたぱた云ってます。』というんだ。博士は笑って相手にしないで壇を下りて行くねえ、子供の助手は少し悄気ながら手を拱いてあとから恭々しくついて行く。 僕はそのとき二・・・<宮沢賢治「風野又三郎」青空文庫>
  26. ・・・赤い房のついた三角帽をかぶった蒙古少年が雪をこいで、低い柵のむこうの家の見える方へ歩いて行く。犬があとからくっついて行く。 廊下へひっこんで来たら、むこうのはずれの車室から細君が首だけ出し、 ――何が起ったんです? 良人は、ひろ・・・<宮本百合子「新しきシベリアを横切る」青空文庫>
  27. ・・・栄蔵は、絶えず激しい不安におそわれて、自分の居る部屋の隅々、床の下、夜着のかげに、額に三角をつけた亡者共が、蚊の様な声をたてて居る様に感じて居た。田舎医者は、四肢の運動神経に故障の出来たわけが分らなかった。 今日はよかろう、明日はよかろ・・・<宮本百合子「栄蔵の死」青空文庫>
  28. ・・・ 木綿更紗の布を三角に頭へかぶった婆さんが、ハイネを知っている。イプセンを知っている。モーパッサンをも読んで貰ったし、ロシアのものなら古典の代表作と現代の主なものは知っているという結果になった。そして、いい年をした貧農出の農場員は自分で・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  29. ・・・百姓はシの字を書いた三角の物を額へ当てて、先祖の幽霊が盆にのこのこ歩いて来ると思っている。道学先生は義務の発電所のようなものが、天の上かどこかにあって、自分の教わった師匠がその電気を取り続いで、自分に掛けてくれて、そのお蔭で自分が生涯ぴりぴ・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>
  30. ・・・姓は源、氏は細木、定紋は柊であるが、店の暖簾には一文字の下に三角の鱗形を染めさせるので、一鱗堂と号し、書を作るときは竜池と署し、俳句を吟じては仙塢と云い、狂歌を詠じては桃江園また鶴の門雛亀、後に源僊と云った。 竜池は父を伊兵衛と云った。・・・<森鴎外「細木香以」青空文庫>