おもい‐どち【思ひどち】
(ある人から)愛されている者どうし。「上も、かぎりなき御—にて」〈源・桐壺〉
おもい‐どり【思ひ取り】
この人と思う人から杯をもらうこと。また、思うところあって、差された杯を受けること。「おもひざし、—、その後は乱舞に...
おもい‐なお・す【思い直す】
[動サ五(四)]心に決めたことを改める。考えを改める。思い返す。考え直す。「辞任を—・す」
おもい‐なお・る【思ひ直る】
[動ラ四]考えが変わる。気持ちが改まる。「いづくをまた—・るべき折とか待たむ」〈源・真木柱〉
思(おも)い半(なか)ばに過(す)ぐ
《「易経」繋辞下から》考えて得るところが多い。なるほどと悟る。
おもい‐なが・す【思ひ流す】
[動サ四] 1 次から次へと思い浮かべる。連想する。「この世のほかの事まで—・され」〈源・朝顔〉 2 あきらめる。...
おもい‐なぐさ・む【思ひ慰む】
[動マ四]心が休まる。気が晴れる。「すずろなる旅居のみして、—・む折もなきに」〈源・蜻蛉〉 [動マ下二]気を取り直...
おもい‐なし【思い做し】
1 そうであろうと思い込むこと。気のせい。「—でもあろうが、其面相(かおだち)も大きく厳めしくなって」〈二葉亭訳・...
おもいなし‐か【思い做しか】
[連語](副詞的に用いて)そう思うせいか。気のせいか。「—元気がない」
おもい‐な・す【思い做す】
[動サ五(四)] 1 …のように心に受け取る。思い込む。「センチメンタルな彼を一個超人のようなと—・している友だち...
おもい‐なや・む【思い悩む】
[動マ五(四)]あれこれ考えて苦しむ。思い煩う。「将来について—・む」
おもい‐なら・う【思ひ習ふ】
[動ハ四] 1 習い覚える。「君により—・ひぬ世の中の人はこれをや恋といふらむ」〈伊勢・三八〉 2 そう思うのが習...
おもい‐な・る【思ひ成る】
[動ラ四]自然とそう思うようになる。…の気になる。「世の中、心憂きものに—・りて」〈狭衣・一〉
おもい‐ね【思ひ寝】
ものを思いながら、特に、恋しい人を思いながら眠ること。「君をのみ—にねし夢なればわが心から見つるなりけり」〈古今・恋二〉
おもい‐ねん・ず【思ひ念ず】
[動サ変] 1 一心に祈る。「この君を、あながちに、ながらへて見むと—・じけむ」〈夜の寝覚・二〉 2 じっと我慢す...
おもい‐のこ・す【思い残す】
[動サ五(四)] 1 未練を残す。心残りに感じる。「—・すことはない」 2 物思いをしつくさないで残す。感興を味わ...
おもい‐の‐たけ【思いの丈】
思うことのありったけ。特に、恋い慕う気持ちのすべて。思いの限り。「—を打ち明ける」
おもい‐のど・む【思ひ和む】
[動マ下二]心を落ち着かせる。ゆったりした気持ちにさせる。「少し—・めよと思されば」〈源・若菜下〉
おもい‐の‐ほか【思いの外】
考えていたことと違っているさま。案外。意外。多く副詞的に用いる。「—の好成績」「到着が—(に)早かった」
おもい‐のぼ・る【思ひ上る】
[動ラ四]気位を高くもつ。望みを高くもつ。「いみじう—・れど、心にしもかなはず」〈源・梅枝〉
おもい‐の‐まま【思いの儘】
心に思うとおり。思う存分。副詞的にも用いる。「—を述べる」「—(に)振る舞う」
おもい‐はか・る【思ひ量る】
[動ラ四]考えをめぐらす。「よき人にあはせむと—・れど」〈竹取〉
おもい‐はげ・む【思ひ励む】
[動マ四]心を励ます。努力する。「後の世までのことをも思はむと—・みて」〈更級〉
おもい‐は・つ【思ひ果つ】
[動タ下二] 1 そうだとはっきり判断する。最後に思い当たる。「宮なりけりと—・つるに、乳母(めのと)言はむ方なく...
おもい‐はな・つ【思ひ放つ】
[動タ四]思いをきっぱり捨てる。ふりきる。愛想をつかす。また、あきらめる。「したり顔にて、もとのことを—・ちたらむ...
おもい‐はな・る【思ひ離る】
[動ラ下二]心にかけなくなる。気持ちが離れる。「あらぬ様になりなば、少しも—・れ給ひなむと、思ふなり」〈狭衣・二〉
おもい‐はばか・る【思ひ憚る】
[動ラ四]気がねする。心配する。「忍びたる御歩きに、いかがと—・りてなむ」〈源・若紫〉
おもい‐はる・く【思ひ晴るく】
[動カ下二]気持ちを晴らす。「例の気色(けしき)なる今朝の御文にもあらざめれど、なほえ—・けず」〈源・夕霧〉
おもい‐ば【思い羽】
オシドリなどの雄にある、イチョウの葉に似た羽。詩文で、夫や恋人を思う心にたとえる。剣羽(つるぎば)。
おもい‐ば【思ひ葉】
触れ合い、重なり合って茂っている葉。多く男女の相愛にたとえる。「うそなしに今年二十一社、茂りたる森は—となり」〈浮...
おもい‐びと【思い人】
恋しく思う人。恋人。愛人。
おもい‐ふけ・る【思い耽る】
[動ラ五(四)]考えに没頭する。思いをめぐらす。「—・って樹の下を歩いて居ると」〈藤村・破戒〉
おもい‐へだ・つ【思ひ隔つ】
[動タ下二]心に隔てを置く。分け隔てをする。よそよそしくする。「二の宮—・てずおぼせ」〈栄花・根合〉
おもい‐ほ・る【思ひ惚る】
[動ラ下二]心がぼんやりする。放心する。おもいほく。「堪へがたう悲しければ、夜昼—・れて」〈源・松風〉
おもい‐まが・う【思ひ紛ふ】
[動ハ下二]思い違いをする。錯覚を起こす。「さだめなく鳥や鳴くらむ秋の夜の月の光を—・へて」〈山家集・上〉
おもい‐ま・す【思ひ増す】
[動サ四] 1 ますます恋い焦がれる。「彦星の—・すらむことよりもみる我くるし夜のふけゆけば」〈拾遺・秋〉 2 他...
おもい‐まつわ・す【思ひ纏はす】
[動サ四]思慕の情をまつわらせる。「煩はしげに—・す気色見えましかば」〈源・帚木〉
おもい‐まど・う【思い惑う】
[動ワ五(ハ四)]《上代は「おもいまとう」》心が迷う。あれこれ思い迷う。「自分の将来について—・う」
おもい‐まよ・う【思い迷う】
[動ワ五(ハ四)]あれかこれかと考えが定まらない。思い惑う。「叔父の家の門へ行くまでも—・った」〈藤村・家〉
おもい‐まわ・す【思い回す】
[動サ五(四)] 1 思いめぐらす。あれこれ思う。「—・してお玉は覚えずぞっとした」〈木下尚江・良人の自白〉 2 ...
おもい‐みだ・れる【思い乱れる】
[動ラ下一][文]おもひみだ・る[ラ下二] 1 あれこれと思い悩む。「心が千々に—・れる」 2 恋しさに心が乱れる...
おもい・みる【思い見る/惟る】
[動マ上一][文][マ上一]よく考える。思いめぐらす。おもんみる。「将来の自分の姿を—・みる」
おもい‐むすぼお・る【思ひ結ぼほる】
[動ラ下二]「おもいむすぼる」に同じ。「さやうの事を言ひは出でで、—・れたるなめり」〈狭衣・一〉
おもい‐むすぼ・る【思ひ結ぼる】
[動ラ下二]心がふさいで、気が晴れない。気がふさぐ。おもいむすぼおる。「ねもころに—・れ嘆きつつ」〈万・四一一六〉
おもい‐むつ・ぶ【思ひ睦ぶ】
[動バ上二]むつまじく思う。「見そめたる人には、うとからず—・び給はむこそ本意ある心地すべけれ」〈源・末摘花〉
おもい‐めぐら・す【思い巡らす】
[動サ五(四)]いろいろと考えてみる。あれやこれやと思案する。思い回す。「卒業後のことを—・す」
おもい‐もう・ける【思い設ける】
[動カ下一][文]おもひまう・く[カ下二]前もって心の準備をする。そのつもりでいる。予期する。「—・けぬ視線にまご...
思(おも)いも掛(か)け◦ない
思ってもみない。思いもよらない。「—◦ない結果」
おもい‐もの【思い者】
愛人。情人。また、愛妾(あいしょう)。多く男性の側からみていう。
思(おも)いも寄(よ)ら◦ない
思いつきもしない。全く予想しない。「試験に落ちるとは—◦なかった」