こころづき‐な・し【心付き無し】
[形ク]意に満たない。気に食わない。「憎く、—・くおぼゆとも世の聞耳を忍びやかにもてなして」〈夜の寝覚・二〉
こころ‐づ・く【心付く】
[動カ五(四)] 1 気がつく。考えが回る。「今更のように—・いて見ると」〈藤村・旧主人〉 2 失っていた意識を取...
こころ‐づくし【心尽(く)し】
1 真心を込めてすること。好意がこもっていること。「—の手料理」 2 あれこれ考えて気をもむこと。「何にかく—なる...
こころ‐づくろい【心繕ひ】
ことさら気を配ること。心配り。心構え。「—せられて御裳束ひきつくろひて参られたりければ」〈愚管抄・四〉
こころ‐づけ【心付け】
1 気をつけること。注意。配慮。心添え。「夕飯には母親の—で一銚子付けて」〈紅葉・多情多恨〉 2 世話になる人に感...
こころ‐づ・ける【心付ける】
[動カ下一][文]こころづ・く[カ下二] 1 気をつける。注意を与える。「御父様の湯呑は?、と夫が—・けると」〈紅...
こころ‐づもり【心積(も)り】
心の中であらかじめ考えておくこと。心中の予定・計画。「昼までに帰る—だったが」「万一の場合の—はしている」
こころ‐づよ・い【心強い】
[形][文]こころづよ・し[ク] 1 頼りになるものがあって安心である。心丈夫だ。気強い。「君が味方になってくれれ...
こころ‐と【心と】
[副]自分の心から。自分の心の持ちようから。「—老いつき、やつして病み侍りにし」〈紫式部日記〉
こころ‐とがめ【心咎め】
うしろめたく、気がひけること。「見まじきものを偸見(ぬすみみ)たように空恐しく—がして」〈紅葉・多情多恨〉
こころ‐ときめき【心ときめき】
胸がどきどきすること。心が弾むこと。胸騒ぎすること。「—するもの、雀の子飼ひ。ちご遊びする所の前渡る」〈枕・二九〉
心(こころ)解(と)・く
1 心のわだかまりが解ける。きげんがなおる。「なほ—・けぬ御気色にて」〈源・浮舟〉 2 緊張が解ける。くつろぐ。「...
こころ‐と・し【心疾し】
[形ク] 1 感覚や知能の働きが鋭くてすばやい。機敏である。「いとあさましくなむ侍ると申すに、君も—・く心得給ひて...
心(こころ)留(と)ま・る
1 ある物に強く心が引かれる。気に入る。「山水に—・り侍りぬれど」〈源・若紫〉 2 あきらめきれなくなる。未練が残...
こころ‐とも‐なく【心ともなく】
[連語]意識しないで。思わず。「われは—その面を見しに、この女官はイイダ姫なりき」〈鴎外・文づかひ〉
こころ‐ど【心利】
《「ど」は形容詞「と(利)し」の語幹という》心に気力が満ちていること。しっかりした心。気合。「遠長く仕へむものと思...
こころ‐な・い【心無い】
[形][文]こころな・し[ク] 1 思慮がない。無分別である。「—・い観光客が残したごみ」⇔心ある。 2 他人に対...
こころ‐なが・し【心長し】
[形ク] 1 同じ気持ちを持続しているさま。気が長い。「猶(なほ)—・く物詣(ものまう)ではすべきなり」〈宇治拾遺...
こころ‐ながら【心ながら】
[連語]《「ながら」は接続助詞》 1 自分の心でありながら。「おのが—、心にまかせぬ事なれば」〈宇津保・嵯峨院〉 ...
心(こころ)和(な)・ぐ
心がやわらぐ。心が慰む。「家島は雲居に見えぬ我(あ)が思(も)へる—・ぐやと」〈万・三六二七〉
こころ‐なぐさ【心慰】
気散じ。気晴らし。気慰み。「吾妹子(わぎもこ)が—に遣らむため沖つ島なる白玉もがも」〈万・四一〇四〉
こころ‐なぐさめ【心慰め】
心を慰めること。また、そのもの。「つれづれなる—に、思ひ出でつるを」〈源・手習〉
こころ‐なし【心做し】
(多く、副詞的に用いる。また、「こころなしか」の形でも用いる)心の中でそう思うこと。思いなし。気のせい。「—元気そ...
こころ‐なし【心無し】
思慮分別のないこと。思いやりのないこと。また、その人。「例の—の、かかるわざをして」〈源・若紫〉
こころなし‐か【心做しか】
[連語]⇒こころなし
こころ‐ならい【心習ひ】
心についた習慣。性癖。「変はらぬ—に、人の御心の内もたどり知らずながら」〈源・蓬生〉
こころ‐なら◦ず【心ならず】
[連語] 1 自分の本心ではないのだが。不本意ながら。「—◦ず大役を引き受けるはめになった」 2 思いどおりになら...
こころならず‐も【心ならずも】
[連語]「心ならず1」に同じ。「懇願されて—参加することになった」
心(こころ)に穴(あな)が空(あ)いたよう
「胸に穴が空いたよう」に同じ。
心(こころ)に余(あま)・る
自分の考えではどうにも処理できない。思案に余る。「—・る問題をかかえる」
心(こころ)に入(い)・る
(「入る」が四段活用の場合) 1 心に深くしみる。「何故(なにゆゑ)か思はずあらむ紐(ひも)の緒の—・りて恋しきも...
心(こころ)に鬼(おに)を作(つく)・る
1 恐怖のあまり無用な想像をする。「—・りて、左右なく近づかず」〈古活字本保元・下〉 2 やましいことがあって悩む...
心(こころ)に掛(か)か・る
1 ある事柄が心から離れないでいる。気に掛かる。「留守中は子供のことが常に—・っている」 2 人の厚意にすがる。「...
心(こころ)に垣(かき)をせよ
油断をしないで用心せよ。用心を怠ることのないようにといういましめ。
心(こころ)に掛(か)・ける
1 心にとどめる。念頭におく。「いつも—・けていただき感謝しています」 2 目をかける。懸想(けそう)する。「天武...
心(こころ)に笠(かさ)着(き)て暮(く)らせ
《笠をかぶると上が見えないところから》高望みしないで分相応に暮らせ。
心(こころ)に適(かな)・う
1 気に入る。満足に思う。「お—・うように努力します」 2 思いどおりになる。心のままになる。「命だに—・ふものな...
心(こころ)に刻(きざ)・む
深く心に留めて忘れない。肝(きも)に銘じる。「師の言葉を—・む」
こころ‐にく・い【心憎い】
[形][文]こころにく・し[ク] 1 憎らしく思われるほど、言動などがすぐれているさま。「—・い演出」「—・いまで...
心(こころ)に刺(さ)さ・る
「胸に刺さる」に同じ。「何気ない一言が—・る」
心(こころ)に染(し)・みる
心に深く入りこむ。しみじみと感じられる。「家族愛が—・みる物語」
心(こころ)に染(そ)・む
(「染む」が五(四)段活用の場合)気に入る。心にかなう。「—・まない結婚をすすめられる」 (「染む」が下二段活用の...
心(こころ)に付(つ)・く
(「付く」が四段活用の場合)気に入る。心にかなう。「かたちはしもいと—・きて、つらき人の慰めにも見るわざしてむやと...
心(こころ)に留(と)・める
心にしっかり覚えておく。「恩師の言葉を—・める」
心(こころ)に残(のこ)・る
感動や印象などが、のちのちまで忘れられない。「—・る名場面の数々」
心(こころ)に響(ひび)・く
強く感動して、印象に残る。感じ入って、心が引きつけられる。魂に響く。「恩師の言葉が—・いた」「—・く芸術作品」
心(こころ)に触(ふ)・れる
物事に心が動かされる。「—・れる名言」
心(こころ)に任(まか)・せる
1 自分の思う通りに行う。勝手気ままにふるまう。「—・せてどこへでも行く」 2 自分の思い通りになる。「—・せたる...
心(こころ)にもあら◦ず
1 自分の本心ではない。「ここにも—◦でかくまかるに」〈竹取〉 2 気がついていない。思わず知らず。「いたう困(こ...
心(こころ)にもな・い
1 本心ではない。不本意である。「—・いお世辞」「つい、—・く言い過ぎた」 2 身に覚えのない。思いもよらない。「...