あり【在り】
あること。存在すること。多く「の」を伴って「ありの…」の形で用いられる。→ありのことごと →ありのすさび →ありのまま
蟻(あり)の穴(あな)から堤(つつみ)も崩(くず)れる
《「韓非子」喩老の「天下の難事は必ず易きよりなり、…千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴を以て潰(つい)ゆ」から》ほんのわ...
蟻(あり)の甘(あま)きにつくが如(ごと)し
利益のあるほうに、人が群がり集まることのたとえ。
蟻(あり)の一穴(いっけつ)天下(てんか)の破(やぶ)れ
大事は、ほんのささいなことから起こる。ちょっとしたことが原因で、たいへんなことになる。
蟻(あり)の思(おも)いも天(てん)に届(とど)く
⇒蟻の思いも天に登る
蟻(あり)の思(おも)いも天(てん)に登(のぼ)る
弱小な者でも一心に念じれば望みが達せられることのたとえ。蟻の思いも天に届く。
蟻(あり)の熊野(くまの)参(まい)り
多くの人がぞろぞろ列を作って行くことを、参詣人を引き合いに出したたとえ。
ありのこうず【蟻の構図】
津本陽の短編の企業小説、および同作を表題作とする小説集。昭和54年(1979)に刊。
あり‐の‐ことごと【有りの悉】
ある限り。ありったけ。「布肩ぎぬ—着襲(きそ)へども」〈万・八九二〉
ありのすさび
後藤宙外の小説。明治28年(1895)「早稲田文学」に発表。
あり‐の‐すさび【在りの遊び】
生きているのに慣れていいかげんに過ごすこと。なおざりに暮らすこと。ありのすさみ。「ある時は—に語らはで恋しきものと...
あり‐の‐とう【蟻の塔】
「蟻塚(ありづか)」に同じ。《季 夏》
ありのとう‐ぐさ【蟻の塔草】
アリノトウグサ科の多年草。山野に生え、高さ15〜25センチ。葉は卵円形で小さく、縁にぎざぎざがあり、対生。夏から秋...
あり‐の‐とわたり【蟻の門渡り】
1 蟻が列を作ってはっていること。蟻の熊野参り。《季 夏》 2 陰部と肛門(こうもん)の間。会陰(えいん)。 3 ...
蟻(あり)の這(は)い出(で)る隙(すき)もない
少しのすきまもないほど、警戒が厳重なことのたとえ。 [補説]「蟻の這い入る隙もない」とするのは誤り。
あり‐の‐ひふき
キキョウの古名。「桔梗はきちかう…さりとて—といふ名えよまじ」〈胆大小心録〉
あり‐の‐まま【有りの儘】
実際にあるとおり。偽りのない姿。ありてい。「—の話」「—を見せる」
あり‐の‐み【有りの実】
《「梨(なし)」が「無(な)し」と音が通じるところから》「梨の実」の忌み詞。《季 秋》