むかし【昔】
1 時間的にさかのぼった過去の一時期・一時点。時間の隔たりの多少は問わずに用いるが、多く、遠い過去をいう。「—の話...
むかし‐いま【昔今】
昔と今。こんじゃく。「—の御物語に夜更け行く」〈源・朝顔〉
むかし‐え【昔方】
《「え」は方の意》過去の方。昔。いにしえ。むかしべ。「—や今も恋ひしきほととぎすふるさとにしも鳴きて来つらむ」〈古...
むかしえ‐びと【昔方人】
「昔人(むかしびと)」に同じ。「ここに—の母、一日(ひとひ)、片時も忘れねば」〈土佐〉
むかし‐おとこ【昔男】
《伊勢物語の多くの段が「昔、男ありけり」で始まっているところから》在原業平(ありわらのなりひら)をさす。「その業平...
むかし‐おぼ・ゆ【昔覚ゆ】
[動ヤ下二]昔のようすがしのばれる。古風に思われる。「うちある調度も—・えて安らかなるこそ心にくしと見ゆれ」〈徒然...
むかし‐かたぎ【昔気質/昔堅気】
[名・形動]古くから伝わるものを頑固に守り通そうとする気風であること。また、そのさま。「—な(の)職人」
むかし‐がたり【昔語り】
「昔話(むかしばなし)1」に同じ。 [補説]作品名別項。→昔語り
むかしがたり【昔語り】
黒田清輝による油絵作品。高倉天皇と小督の悲恋物語から着想を得て描いたもの。明治31年(1898)に完成し住友家が購...
むかし‐こばん【昔小判】
慶長小判に先立って鋳造された小判。額面などは墨書されていた。
むかし‐ごよみ【昔暦】
宣明暦(せんみょうれき)の異称。
むかし‐ざま【昔様】
昔のようす。昔のありさま。「—にても、かうまで遥けき野辺をわけ入り給へる心ざしなども」〈源・椎本〉
むかし‐ぞめ【昔染め】
ずっと以前に染めたもの。また、昔風の染め模様。「茜縁(あかねべり)の蚊屋(かや)、—のかづき」〈浮・五人女・二〉
むかしっ‐こ【昔っこ】
東北地方で、昔話のこと。
む‐かしつ【無過失】
過失のないこと。
むかしつせきにん‐しゅぎ【無過失責任主義】
損害の発生について故意・過失がなくてもその賠償責任を負うという原則。鉱害・大気汚染・水質汚濁・原子力損害などについ...
むかし‐づくり【昔作り】
1 古風な作り方。「殿の造り様、初めは古体の—なりしかば」〈栄花・浅緑〉 2 古風な気質。昔かたぎ。「余所(よそ)...
むかし‐とかげ【昔蜥蜴】
ムカシトカゲ科の爬虫(はちゅう)類。全長約60センチ。中生代に栄えた喙頭(かいとう)類とよぶ一群の、唯一の現存種。...
昔(むかし)取(と)った杵柄(きねづか)
過去に鍛えた腕前。若いころに身につけた技能。「—で、泳ぎ方に無理がない」
むかし‐とんぼ【昔蜻蛉】
トンボ目ムカシトンボ科の昆虫。日本特産。体長約5センチ。体は黒色で黄斑があり、前翅(まえばね)と後ろ翅は同形で、原...
むかし‐ながら【昔乍ら】
[副]昔のままで少しも変わらないさま。「—の町並み」
むかし‐なじみ【昔馴染み】
1 ずっと以前に親しかった人。また、ずっと以前から親しくしている人。「—に出会う」「—の仲間がそろう」「女将(おか...
昔(むかし)の因果(いんが)は皿(さら)の端(はた)を回(まわ)る今(いま)の因果(いんが)は針(はり)の先(さき)を回(まわ)る
ずっと以前にしたことの報いはじっくりと時間をかけてやってくるが、たった今したばかりのことの報いはすぐに返ってくる。
昔(むかし)の剣(つるぎ)今(いま)の菜刀(ながたな)
若いころには有能であった人も、年をとると役に立たなくなることのたとえ。古いものは今の役には立たないことのたとえ。
むかしのはなし
三浦しをんの連作短編小説集。日本の民話をモチーフとする。平成17年(2005)刊。「ラブレス」「ロケットの思い出」...
むかし‐の‐ひと【昔の人】
1 「昔人(むかしびと)」に同じ。「—ものし給はましかば」〈源・橋姫〉 2 昔、なれ親しんだ人。「五月まつ花橘の香...
むかし‐の‐よ【昔の世】
1 過去の世。往昔。「おぼろげの—のあたならぬ人は」〈源・若菜上〉 2 生まれる以前の世。前世。「—ゆかしげなり」...
昔(むかし)は肩(かた)で風(かぜ)を切(き)り今(いま)は歩(ある)くに息(いき)を切(き)る
以前は威勢がよかったが、今はまったく衰えてしまっている。
昔(むかし)は昔(むかし)今(いま)は今(いま)
昔と今は違うのであるから、昔がこうだから、今もこうあるべきであるというようなことは成り立たない。
むかし‐ばなし【昔話/昔噺】
1 以前の出来事・経験などについての話。むかしがたり。むかしものがたり。「今ではすっかり—になった」 2 民俗学で...
むかし‐びと【昔人】
1 昔の人。古人。「—は、かくいちはやきみやびをなむしける」〈伊勢・一〉 2 死んでしまった人。故人。「ほのかに聞...
むかし‐ふう【昔風】
[名・形動]昔を思わせるようす。また、古い様式。また、そのさま。古風。昔流。「—な(の)着物」
むかし・ぶ【昔ぶ】
[動バ上二]昔風になる。古めく。「深く—・びたらんかたは」〈十訓抄・八〉
むかし‐べ【昔方】
「むかしえ」に同じ。
むかし‐むかし【昔昔】
「昔」を強めていう語。昔話の出だしにも用いられる。「—の大昔」「—ある所に」
むかし‐め・く【昔めく】
[動カ五(四)]昔風である。古風な感じである。「—・いた柄の着物」
むかし‐もの【昔物】
昔、作ったもの。だいぶ以前に流行したもの。「矢張—だから柄合(がらあい)が今と違って締められまいよ」〈魯庵・社会百面相〉
むかし‐もの【昔者】
老人。また、昔かたぎの人。「今の若い者がわたしたちのような—の気ではだめです」〈藤村・家〉
むかし‐ものがたり【昔物語】
1 昔から伝わる物語。「継母の腹きたなき—も多かるを」〈源・蛍〉 2 「昔話(むかしばなし)1」に同じ。「この—は...