えびす【夷/戎】
《「えみし(蝦夷)」の音変化》 1 「蝦夷(えぞ)」に同じ。「その国の奥に—といふものありて」〈今昔・三一・一一〉...
えびす【恵比須/夷/戎/恵比寿/蛭子】
《「夷(えびす)」と同語源》古くは豊漁の神。のち七福神の一人として、生業を守り、福をもたらす神。狩衣(かりぎぬ)・...
えびす‐あば【恵比須網端】
漁網の中央部につける大きな浮き。愛媛県、高知県室戸岬、また島根県隠岐島などでいう。
えびす‐うた【夷歌】
1 歌曲の歌いぶりで、粗野な田舎風のもの。ひなぶり。「古今仮名序に貫之の書ける、天の浮橋の—と云ふは則ち連歌なり」...
えびす‐おうぎ【恵比須扇】
しめ飾りなどにつけて、新年の祝いに用いる粗末な作りの扇。伊勢国山田(三重県伊勢市)の産。
えびす‐かき【恵比須舁き】
「恵比須回し」に同じ。
えびす‐がお【恵比須顔】
恵比須のように、にこにこした顔。
えびす‐がみ【恵比須紙】
紙を重ねて裁つとき、角が内へ折れ込んで裁ち残しになったもの。福紙。
えびすがわ‐どおり【夷川通り】
京都市街地を東西に走る道路の呼び名。京都御苑の南二筋の通りで、東の鴨川右岸から西の堀川通りに至る。全長約1.8キロ...
えびす‐ぎれ【恵比須切れ】
恵比須講の日の誓文払いに、呉服屋が見切り売りする小ぎれ。→誓文払(せいもんばら)い
えびす‐ぐさ【夷草/恵比須草】
1 マメ科の一年草。高さ約1.5メートル。葉は羽状複葉で、夏、葉のわきに黄色い花を1、2個つける。さやは細長く、弓...
えびす‐こう【恵比須講】
陰暦10月20日に恵比須を祭る行事。商売繁盛を祈願して、親類・知人を招いて宴を開く。関西などでは正月10日(十日恵...
えびす‐ごころ【夷心】
荒々しい心。転じて、田舎びて情趣を解しない心。「さるさがなき—を見ては、いかがはせむは」〈伊勢・一五〉
えびす‐さぶろう【恵比須三郎】
恵比須の異称。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)の第3子といわれる俗説からという。
えびす‐ぜに【恵比須銭】
1 数人でお金を分配したときに割り切れないはした金。 2 絵銭の一。表に恵比須が描いてある貨幣。
えびす‐ぜん【夷膳/恵比須膳】
1 一人用の膳の側面を人の面前に向けて据えること。礼儀に反した行いとして忌まれる。横膳。 2 飯と汁とを反対に並べ...
えびす‐だい【恵美須鯛】
イットウダイ科の海水魚。全長約45センチ。マダイに似るが、うろこが硬いので鎧鯛(よろいだい)・具足鯛(ぐそくだい)...
えびすだいこく【夷大黒】
狂言。長者が比叡山の大黒天と西宮の夷を勧請(かんじょう)すると、両神が数々の宝を持って訪れ、おのおののいわれを語る。
えびす‐ば【恵比須歯】
上あごの第一門歯のうち右側の歯の俗称。左側を大黒歯とよぶ。
えびす‐ばしら【恵比須柱】
民家で、大黒柱に次ぐ主要な柱。大黒柱と相対するものをさすことが多い。
えびす‐まい【恵比須舞】
1 民俗芸能の一つで、大漁を祈って恵比須に扮して舞うもの。神楽などの一部、七福神の舞の一つとして行われたりする。ま...
えびす‐まつり【恵比須祭(り)】
1 「恵比須講」に同じ。 2 西日本で不漁のときに、好漁になることを願ってする酒盛り。まんなおし。
えびす‐まわし【恵比須回し】
近世、初春の祝福芸として、首にかけた箱の中で、恵比須の人形を舞わせて見せた大道芸人。摂津国西宮の夷宮(兵庫県西宮神...
えびす‐むかえ【恵比須迎え】
近世、奈良で正月2日の早朝、吉野の村民が恵比須の絵像を売り歩いたこと。また、その呼び声。「二日のあけぼのに、—、と...
えびすやきへえてびかえ【恵比寿屋喜兵衛手控え】
佐藤雅美の時代小説。江戸時代の公事宿が舞台。平成5年(1993)刊行。同年、第110回直木賞受賞。