1. 地中の熱をいうが、大別して2つの意味に用いられている。1つは広く地球内部に保有される熱の意味に用いられる。一方、火山や温泉などに由来する地殻中の異常な熱に対して用いられる場合がある。  地熱の究極的源としては次の3つが考えられている。(1)始源熱(地球が生成された時もともと保有されていた熱)、(2)重力エネルギー(地球は太陽の周囲に散らばっていた塵が集積してできた、その際の衝突エネルギー、およびコア形成時にも重力ポテンシャルのエネルギーが放出される)、(3)自然放射性物質の壊変による熱(主として地殻中に含まれる自然放射性元素により現在も熱が生成されている)。  地熱地域において見られる異常な地表近くの熱はマントル上部で発生すると考えられるマグマへの地殻への上昇によりもたらされたものと考えられている。火山活動、温泉、硫気孔などに伴う熱はいずれもその源はマグマ活動にある。  地熱の利用は近年特に注目されるようになった。地熱発電、温水の多目的利用などはこの異常な熱の利用をはかるものである。一方平均的地温勾配のところでも深部にたくわえられた地下水は十分利用価値のある温度を有するのでその利用もはかられるようになっている。深層地熱水と呼ばれるものがそれである。