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せんてんせいこかんせつだっきゅう【先天性股関節脱臼】

【英】Congenital Dislocation of the Hip

どんな病気か

 赤ちゃんの股関節(股(また)の関節)が、外傷もないのに、はずれている(脱臼している)病気です。
 日本では、25年前までは、赤ちゃんの1%にみられる、かなり頻度の高い病気でした。しかし現在は、育児法の改善(予防運動)にともなって、0.3%にまで減ってきています。
 男の子1に対して女の子6の割合で女の子に圧倒的に多いのが特徴となっています。
 この病気は、妊娠中に子宮の中で膝(ひざ)を伸ばした姿勢でいた、いわゆる逆子(さかご)(骨盤位分娩(こつばんいぶんべん))の赤ちゃんに多くみられます。
 生まれつき(先天的に)関節がゆるくて(関節弛緩(かんせつしかん))、不安定な股関節をもっている赤ちゃんで、出産直後からの不適当な育児環境が加わることによって、脱臼がおこることが証明されています。

症状

 生まれて1週間以内の赤ちゃん(新生児)に股関節脱臼があると、股を大きく外に開いたときに、コクッという音がします(クリックサイン)。
 また、生後1か月以後の赤ちゃんでは、股関節の開き方が悪い(開排制限(かいはいせいげん))、脚(あし)の長さがちがう、太ももの内側のしわが左右対称でない、脚の動きがふつうとちがうなどの症状がある場合、股関節脱臼を疑います。
 赤ちゃんが歩き始めると、脚を引きずって歩いたり(跛行(はこう))、お尻を突き出して歩いたりします。
 X線写真では、股関節の状態によって、①完全脱臼、②亜脱臼(あだっきゅう)(はずれかかった状態)、③臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)(脱臼ではないが、関節の発育が悪いもの)に分けることができます。
 最近は、超音波検査(エコー)も行なわれています。

治療

 臼蓋形成不全の場合には、股関節をなるべく開いておくだけで、ほとんどが自然に治ってしまいます。
 亜脱臼や完全脱臼の場合は、リーメンビューゲルという、肩から脚をつるバンドを装着します。
 生後3~6か月の間に、リーメンビューゲルを正しく使用すれば、亜脱臼は、ほとんどが治ります。また、完全脱臼でも、その85%が、装着後1週間以内に整復されます。
 脱臼が整復されれば、股関節の開きがよくなります。
 リーメンビューゲルの着用期間は、ほぼ4か月です。
 リーメンビューゲルで整復されない脱臼の場合には、入院して、脚を4週間牽引(けんいん)した後に、全身麻酔をかけて整復し、ギプスや装具などを用いて治療します。
 こうした治療で、どうしても整復できないときは、手術を行なうことになります。
 整復された股関節は、それ以後10歳ぐらいまでに、しだいに発育して、正常に近くなっていきますが、その間は、経過を注意深く観察する必要があります。
 定期検診を行なって、どうしても股関節の発育が不良で、成人した後に股関節の痛み(「変形性股関節症」)がおこる危険性があるときには、手術によって股関節を正常に近い形につくりかえることもあります。

予防

 先天性股関節脱臼は、先天性といっても、日ごろのお母さんの注意があれば、かなり予防することができます。
 赤ちゃんの股関節と膝を伸ばしてしまうような服やおむつのつけ方は避けることがたいせつです。
 生まれたばかりの赤ちゃんは、カエルの脚のように股(また)を広げて、脚を曲げていますが、その格好をじゃましないようにし、また、自由に脚を動かせるようにしてあげてください。
 赤ちゃんの横抱きはやめて、コアラのように、お母さんのおなかの前にだっこすることも、股関節脱臼を予防するためによいことです。
 おんぶするときも、股が広がるような状態でしてあげます。


出典:家庭医学館