かん【肝】
1 肝臓。きも。〈日葡〉 2 《昔、魂の宿るところとされたところから》心。まごころ。「—ヲクダク」〈日葡〉
かん【肝】
[常用漢字] [音]カン(呉)(漢) [訓]きも 〈カン〉 1 五臓の一。きも。「肝臓・肝油・肝硬変」 2 精神の働きの場としてのきも。「肝胆・肝銘/心肝・肺肝」 3 大切なところ。かなめ。「...
かん‐いしょく【肝移植】
末期肝不全の患者の肝臓を摘出し、健康な肝臓を移植する治療法。肝細胞癌・肝硬変・胆道閉鎖症・バッドキアリー症候群・劇症肝炎などで肝機能が著しく悪化し、内科的治療や肝切除などの外科治療では効果が期待...
かん‐えん【肝炎】
肝臓の炎症性疾患の総称。ウイルス性が多いが、薬物・毒素の中毒や細菌などによるものもある。食欲不振・倦怠感・吐き気・黄疸(おうだん)などの症状がみられる。急性と慢性とがあり、特に症状の激しいものを...
かんえん‐ウイルス【肝炎ウイルス】
肝細胞内で増殖して肝炎を起こすウイルス。A型からE型まで5種類が確認されている。 [補説]A型・E型は感染者の糞便に放出されたウイルスに汚染された水や食べ物を介して経口感染し、B型・C型・D型は...
かんじん【肝心】
[共通する意味] ★価値があり、重んじなければならないこと。[英] importance[使い方]〔重要〕(名・形動)▽事件の鍵(かぎ)になる重要な証言▽重要な点を聞き落とす▽重要参考人〔大事〕...
かんよう【肝要】
[共通する意味] ★価値があり、重んじなければならないこと。[英] importance[使い方]〔重要〕(名・形動)▽事件の鍵(かぎ)になる重要な証言▽重要な点を聞き落とす▽重要参考人〔大事〕...
きも【肝】
[共通する意味] ★心。また、人の心の奥深いところ。[使い方]〔肝〕▽肝に銘じる▽肝が太い〔はらわた〕▽はらわたがちぎれる(=悲しみやいきどおりなどに堪えられないさま)▽はらわたが腐っている▽は...
きもったま【肝っ玉】
[共通する意味] ★物事に動じない心。[英] courage[使い方]〔度胸〕▽二階の窓から飛びおりるとは度胸のいい男だ▽度胸をすえる▽度胸だめし〔肝っ玉〕▽肝っ玉がつぶれるぐらい驚いた▽そんな...
かんたんそうしょう【肝胆相照】
お互いに心の奥底までわかり合って、心から親しくつき合うこと。心の底まで打ち明け深く理解し合っていること。▽「肝胆」は肝臓と胆嚢たんのう。転じて、心の底、まごころ。また、肝臓と胆嚢が近くにあることから密接な関係のたとえ。一般に「肝胆かんたん相あい照てらす」と訓読を用いる。
かんのうとち【肝脳塗地】
むごたらしい死にざまや殺され方のこと。また、忠誠を誓って、どんな犠牲も惜しまないことのたとえ。死者の腹から内臓が飛び出し、頭が割られて脳味噌のうみそが出て泥まみれになっているさま。死者の肝臓や脳が泥まみれになっている意から。▽「肝脳」は肝臓と脳髄。「塗地」は土まみれになること。また転じて、戦いに負けるさま。「塗」はまみれる意。一般に「肝脳かんのう地ちに塗まみる」と訓読を用いる。
肝臓の病気(急性肝炎/劇症肝炎/慢性肝炎/肝硬変/肝がん)
肝臓は胆汁の生成をはじめ、糖質やたんぱく質、脂肪などの栄養素の分解・合成と貯蔵、有害な物質の無毒化・排泄、各種ビタミンの活性化および貯蔵など、数多くの仕事をこなしています。そのほとんどは、肝臓の体積の約8割を占める肝細胞が担っています。 肝細胞が障害されると肝機能は低下しますが、このような事態を招く病気の代表が、「肝炎」です。 本来、肝臓は再生力の旺盛な臓器ですが、肝炎が慢性化して肝細胞の壊死が進んで、「肝硬変」に至ると、元に戻らなくなります。また、肝硬変になると「肝がん」を発症する危険も増してきます。 6カ月以上肝臓の炎症が持続し、検査数値の異常が続くものが慢性肝炎です。B型肝炎、C型肝炎の慢性化以外に、免疫異常やアルコールによる慢性肝炎もあります。肝細胞壊死は比較的軽度ですが、壊死・再生を繰り返すうちに肝臓の線維化(細胞がなくなり、固くなる)が進みます。 肝細胞が壊死と再生を繰り返すうちに、線維が増えてきてこぶのようなもの(結節)をつくり、肝臓が硬くなっていきます。こうなると肝臓内の血流が悪くなり、さらに肝機能が低下。食道粘膜下層の静脈が瘤状に隆起する食道静脈瘤などの問題が生じやすくなります。また、肝がんに進展することもあります。 肝臓に初発するがんの約9割は、肝細胞から発生する肝細胞がんです。肝細胞がんの8割以上に肝硬変がみられますが、慢性肝炎から発生する場合もあります。 肝炎ウイルス(主にA型・B型・C型)やアルコール、薬剤などによって肝細胞が破壊されますが、多くの場合は、再び修復されて元に戻ります。ただし、まれに劇症肝炎に陥ることもあります。また、ウイルス性肝炎のうちB型肝炎、C型肝炎は慢性化しやすいとされています。 肝臓が広い範囲で侵されて、肝機能が高度に障害されます。昏睡などの意識障害が発生し、生命の危険にさらされます。急性肝炎の約2%が劇症化するといわれています。
肝臓の役割
肝臓には、生命維持に不可欠なはたらきがいくつもありますが、主なはたらきは「代謝」「解毒」「胆汁の生成」です。 代謝とは、食べ物から吸収された栄養素を体内で利用できる形につくり変えたり、貯蔵したり、供給したりするはたらきをいいます。 解毒とは、からだに有害な物質を分解して、無害な物質に変える機能のこと。体内でつくられる有害物質は、肝臓で無害な物質に変換されて、尿や便とともに排出されます。 もう一つ、肝臓には胆汁の生成という重要な役割があります。脂肪の消化・吸収に必要な胆汁を生成し、胆のう・胆管を経て腸へ送り出すはたらきのことです。 胆汁の成分の大部分は水分ですが、胆汁色素の「ビリルビン」や胆汁酸、コレステロールなどが一緒に溶けています。 そのほかにも肝臓は、女性ホルモンの代謝や血液の一時的な貯蔵、古くなった赤血球からヘモグロビン(たんぱく質)を分解し、ビリルビンをつくるなどの役割も担っています。