かんたんそうしょう【肝胆相照】
お互いに心の奥底までわかり合って、心から親しくつき合うこと。心の底まで打ち明け深く理解し合っていること。▽「肝胆」は肝臓と胆嚢たんのう。転じて、心の底、まごころ。また、肝臓と胆嚢が近くにあることから密接な関係のたとえ。一般に「肝胆かんたん相あい照てらす」と訓読を用いる。
かんのうとち【肝脳塗地】
むごたらしい死にざまや殺され方のこと。また、忠誠を誓って、どんな犠牲も惜しまないことのたとえ。死者の腹から内臓が飛び出し、頭が割られて脳味噌のうみそが出て泥まみれになっているさま。死者の肝臓や脳が泥まみれになっている意から。▽「肝脳」は肝臓と脳髄。「塗地」は土まみれになること。また転じて、戦いに負けるさま。「塗」はまみれる意。一般に「肝脳かんのう地ちに塗まみる」と訓読を用いる。
かんふようはつ【間不容髪】
すぐにということ。非常に差し迫ったさま。髪の毛一本も容いれられないほど事と事の間にすきまがないこと。▽一般に「間かん、髪はつを容いれず」と訓読を用いる。
がりょうてんせい【画竜点睛】
物事を完成するために、最後に加える大切な仕上げのたとえ。また、物事の最も肝要なところのたとえ。文章や話などで肝心なところに手を入れて、全体をいっそう引き立てるたとえ。▽「睛」はひとみ・目玉。転じて、物事の大切なところの意。一般には「画竜点睛を欠く」と用いることが多く、この場合は最後の仕上げが不十分で、肝心なところが欠けているため精彩がないことをいう。「竜りょうを画えがいて睛ひとみを点ず」と訓読する。「竜」は「りゅう」とも読む。
がんちゅうのくぎ【眼中之釘】
自分に害をなすもののたとえ。邪魔者、いやなやつ、憎らしい人などのたとえ。眼の中の釘(目の中の障害物)の意から。▽類句として「眼中抜釘(眼中より釘を抜く)」があり、自分に害を与えるものを取り去る、害をなすものがいなくなる意。一般には邪魔者がいなくなったときに「眼中の釘が抜けたようでせいせいした」などと用いる。「釘」は「丁」とも書く。
きかかきょ【奇貨可居】
好機はうまくとらえて、利用しなければならないというたとえ。珍しい値打ちのある物は貯えておいて、将来値が上がってから売ること。▽「奇貨」は珍しい価値のあるもの。転じて、絶好の機会のたとえ。「居」はたくわえる、手元に置く意。一般に「奇貨きか居おく可べし」と訓読を用いる。
ききゅうそんぼう【危急存亡】
危険が切迫して存続するか滅びるか、生き残れるか死ぬかの瀬戸際のこと。▽「危急」は危険が迫ること。「存亡」は存続するか滅びるか、また、生きるか死ぬかの意。一般に「危急存亡の秋とき」と用いることが多い。秋は万物が実る季節であることから、大切な時の意。この熟語は個人よりも組織や集団の重大な局面についていうことが多い。
きこどうどう【旗鼓堂堂】
軍隊が整然として勢いや威厳のあるさま。転じて、一般に隊列をなして行進するさまなどの形容にも用いる。また、文筆の勢いの盛んな形容。▽「旗鼓」は軍旗と太鼓。転じて、軍隊。「堂堂」は陣容などが整って盛んなさま。また、威厳のあるさま。
きそくえんえん【気息奄奄】
息も絶え絶えで、今にも死にそうなさま。息をする力も弱く、今にも止まりそうな様子。転じて、広く事物などが今にも滅びそうな様子をいう。▽「気息」は呼吸、息づかい。「奄奄」は息が絶え絶えなさま。生気のないさま。「奄」は、おおう、ふさがる意。
きゅうしいっしょう【九死一生】
危ういところで奇跡的に助かること。ほとんど死を避けがたい危険な瀬戸際で、かろうじて助かること。▽「九死」は十のうち九まで死の可能性が高いことで、ほとんど死が避けがたい危険な場合をいう。「一生」は十のうち一の生きる可能性の意。一般には「九死に一生を得る」という形で用いることが多い。