いちごんほうおん【一言芳恩】
ちょっと声をかけてもらったことを忘れずに感謝すること。また、一声を賜った恩に感じてその人を主人と仰ぐこと。▽「芳恩」は人から受けた親切や恩義の敬称。ご恩・おかげの意。「言」は「げん」とも読む。
いっしゅくいっぱん【一宿一飯】
ちょっとした世話になること。また、ちょっとした恩義でも忘れてはいけないという戒めの語。旅先などで、一晩泊めてもらったり一度食事を恵まれたりする意から。▽「一宿」は旅先などで一晩泊めてもらうこと。「一飯」は一回の食事をごちそうになる意。昔、博徒ばくとの間では、旅の途中で泊めてもらったり食事を振る舞われたりして世話になると、生涯の恩義とする仁義があった。
うちょうてんがい【有頂天外】
このうえなく大喜びすること。また、たいそう喜んで夢中になり、我を忘れる様子。▽「有頂天」は、仏教で形ある世界の絶頂に位置する天。その有頂天よりさらに高く外に出る意。「有頂天」をさらに強めた語。
えっちょうなんし【越鳥南枝】
中国南方の越の国から渡ってきた鳥は、巣を作るとき故郷を思って南の枝にとまるという意から、故郷を懐かしみ忘れがたく思う気持ちのたとえ。また、望郷の念にかられること。
さんちゅうれきじつ【山中暦日】
俗世間を離れて、山の奥深くで悠々と生活すること。「山中さんちゅう暦日れきじつ無なし」という句の略で、人里離れた山の中で暮らしていると、月日の過ぎるのも忘れてしまうという意。
しゃくこんかんし【釈根灌枝】
末節に心を奪われたりこだわったりして、物事の根本を忘れるたとえ。木の根に水をやらないで、枝に注ぎかける意から。▽「釈」は捨てる意。「灌」は水を注ぎかける意。一般に「根ねを釈すてて枝えだに灌そそぐ」と訓読を用いる。
そうかのいぬ【喪家之狗】
やつれてしまって元気のない人、落胆して志を得ない人のたとえ。また、身を落ち着かせるところがなく放浪している者のたとえ。▽「喪家」は葬式を出して喪に服している家のこと。「狗」は犬。喪中の家では悲しみのあまり犬に餌えさをやることも忘れてしまい、犬がやせ衰えてしまうという意。また、「喪」を失うという意味にとって、宿なしの犬と解釈する説もある。「狗」は「く」とも読み、また、「犬」とも書く。
はっぷんぼうしょく【発憤忘食】
心を奮い起こして、食事をとるのも忘れるほどに励むこと。▽「発憤」は心を奮い立たせること。「発憤はっぷんして食しょくを忘わする」と訓読する。「憤」は「奮」とも書く。
ぼうゆうのもの【忘憂之物】
憂いを忘れさせてくれる意から、酒の美称。
めいきるこつ【銘肌鏤骨】
深く心にきざみつけて忘れないこと。肌にきざみつけ、骨に彫り込む意から。▽「銘肌」は肌にきざみ込むこと。「鏤骨」は骨にきざみ込むこと。「肌はだに銘めいじ骨ほねに鏤きざむ」と訓読する。