あびきょうかん【阿鼻叫喚】
非常な辛苦の中で号泣し、救いを求めるさま。非常に悲惨でむごたらしいさま。地獄に落ちた亡者が、責め苦に堪えられずに大声で泣きわめくような状況の意から。▽「阿鼻」は仏教で説く八熱地獄の無間むけん地獄。現世で父母を殺すなど最悪の大罪を犯した者が落ちて、猛火に身を焼かれる地獄。「叫喚」は泣き叫ぶこと。一説に八熱地獄の一つの大叫喚地獄(釜かまゆでの地獄)の意。
いっせつたしょう【一殺多生】
一人の悪人を犠牲にして、多数の者を救い生かすこと。多くの人を生かすには、一人を殺すのもやむを得ないということ。▽仏教語。「多生」はたくさんの人を生かすこと。「殺」は「さつ」とも読む。
いっぱいとち【一敗塗地】
再び立ち上がることができないほど大敗すること。完敗すること。▽「塗地」は肝脳を地に塗る、すなわち惨殺され、戦死者の肝臓や脳などが大地に散乱して、泥まみれになること。一般に「一敗いっぱい、地ちに塗まみる」と訓読を用いる。
いっぴつまっさつ【一筆抹殺】
すべてを消し去ること。帳消しにすること。よく考えることなく、軽率に過去の美点や功績をすべて消し去ってしまうこと。▽「抹殺」は消してなくす、塗り消す意。人や物事の存在を否定すること。「殺」は助字。
かいろこうり【薤露蒿里】
「薤露」「蒿里」は葬送のときにうたわれた挽歌ばんかの名。転じて、人の命のはかないことのたとえ。▽「薤露」は、にらの上におりた朝露の意。乾きやすく落ちやすいことから、人の命のはかなさのたとえ。「蒿里」はもと中国山東省の泰山の南にある山の名。人が死ぬとその魂がここに来るとされる。転じて、墓地の意。秦しん末の田横でんおうが漢の高祖劉邦りゅうほうに仕えるのを恥じて自殺したとき、悲しんだ門人が作ったという二編の楽府の詩に基づく。
かっさつじざい【活殺自在】
自分の思い通りに扱うさま。生かすも殺すもこちらの思うがままである意から。▽「活殺」は生かすことと殺すこと。「自在」は自分の思いのままである意。
かんのうとち【肝脳塗地】
むごたらしい死にざまや殺され方のこと。また、忠誠を誓って、どんな犠牲も惜しまないことのたとえ。死者の腹から内臓が飛び出し、頭が割られて脳味噌のうみそが出て泥まみれになっているさま。死者の肝臓や脳が泥まみれになっている意から。▽「肝脳」は肝臓と脳髄。「塗地」は土まみれになること。また転じて、戦いに負けるさま。「塗」はまみれる意。一般に「肝脳かんのう地ちに塗まみる」と訓読を用いる。
せっしょうきんだん【殺生禁断】
仏教の慈悲の心に基づいて、すべての生き物を殺すのを禁ずること。▽「殺生」は生き物を殺すこと。仏教では十悪の一つとされる。
たいぎゃくむどう【大逆無道】
道理や人の道を甚だしく踏みはずした行為。罪悪の甚だしいこと。後に、君主や親を殺すことをいう。▽「大逆」は主君や親を殺すなど、人道に背く行為。「無道」は人道に背くひどい行いの意。「大」は「だい」、「無道」は「ぶどう」「ぶとう」とも読む。
ふんしょこうじゅ【焚書坑儒】
言論・思想・学問などを弾圧すること。書物を焼いて儒学者を穴埋めにする意から。▽「焚」は焼く意。「坑」は穴埋めにする意。「儒」は儒学者・学者の意。