ただ‐うど【徒人/直人/只人】
「ただびと」の音変化。
ただ‐か【直香/直処】
語義未詳。その人自身、そのもの自体の意か。一説に、その人のけはいやようすの意ともいう。「聞かずして黙(もだ)もあらましをなにしかも君が—を人の告げつる」〈万・三三〇四〉
ただ‐がお【徒顔/只顔】
化粧していないありのままの顔。素顔(すがお)。「この女房の湯より上がって、—ならんを見せて」〈太平記・二一〉
ただ‐ぎぬ【徒衣】
染色したり練ったりしてない衣。「唐綾(からあや)、—一つまぜず、皆赤色」〈宇津保・あて宮〉
ただ‐く【只句】
連歌で、発句以外の句をいう。
ただ‐ぐい【只食い】
[名](スル)代金を払わずに食べること。
ただ‐こえ【直越え】
まっすぐに越えること。「—のこの道にてし押し照るや」〈万・九七七〉
ただ‐ごと【徒言/只言】
《古くは「ただこと」》技巧などを用いない、ありのままの言葉。歌語でも比喩でもない日常の言葉。「これは、—に言ひて、物にたとへなどもせぬものなり」〈古今・仮名序〉
ただ‐ごと【徒事/只事/唯事】
《古くは「ただこと」》取り立てていうほどのこともない事柄。普通のこと。多く、あとに打消しの語を伴って用いる。「あの騒ぎは—ではない」
ただごと‐うた【徒言歌】
古今集仮名序の和歌の六義(りくぎ)の一。物にたとえないで、ありのままに詠んだ歌。江戸時代、小沢蘆庵(おざわろあん)が理想の風体として主張した。