時(とき)無(な)・し
1 いつと定まった時がない。「み吉野の耳我(みみが)の嶺に—・くそ雪は降りける」〈万・二五〉 2 不幸・失意の境遇にある。「東宮の御時の学士にて侍りしを、—・くおはしませば」〈今鏡・一〉
とき‐なし【時無し】
時間・季節を定めないこと。常時。「大福餅や巴焼などを、…殆んど—に売っているのであった」〈葉山・海に生くる人々〉
ときなし‐だいこん【時無し大根】
大根の一品種。とうが立ちにくく、耐寒性があり、時節を限らず収穫ができる。根はやわらかく、漬物に適する。ときしらず。
とき‐なら◦ず【時ならず】
[連語] 1 (多く連体詞的に用いて)その時期ではない。時節に合わない。「—◦ぬ大雪」 2 (副詞的に用いて)思いがけず。不意に。「—◦ず訪問を受けた」
時(とき)成(な)・る
その時刻が来る。その時期になる。「その日は立ち騒ぎて、—・りぬれば、今はとて」〈更級〉
とき‐に【時に】
[副] 1 場合によっては。時々。たまに。「—病気になることがある」 2 まさしくその時。時あたかも。「—戦後の混乱期のさなかであった」 [接]会話で、新しい話題に入るときに用いる。さて。と...
時(とき)に遇(あ)・う
1 よい時節にあう。時勢にあって栄える。「—・って社業が発展する」 2 幸運にであう。「三代の帝に仕うまつりて、—・ひけれど」〈伊勢・一六〉
時(とき)に遇(あ)えば鼠(ねずみ)も虎(とら)となる
時運に恵まれると、つまらない者でも権勢を振るうようになる。
時(とき)に当(あ)た・る
1 その時にさしあたる。その時にのぞむ。「近衛院に位を奪はれたりしかば…—・って恥辱を抱く」〈保元・上〉 2 ふさわしい時期になる。「その上今の相国は、—・る職に達し、世に聞こえたる才幹なり」〈...
時(とき)に従(したが)・う
世のなりゆきに従う。時勢に従う。