言(い)うべきにもあら◦ず
口に出して言うまでもない。「雪の降りたるは—◦ず」〈枕・一〉
言(い)うべくもあら◦ず
言葉では言い尽くせない。「—◦ぬ綾織物に絵をかきて」〈竹取〉
言(い)うまでもな・い
あれこれ言う必要のないほどわかりきったことである。もちろんである。「漱石が明治の文豪であることは—・いことだ」
言(い)うもおろか
《「おろか」は、おろそか、不十分の意。後に「愚か」と意識された》言うまでもない。言うのもばかげている。
言(い)うも更(さら)なり
「言えば更なり」に同じ。
言(い)うも世(よ)の常(つね)
どう言っても世間並みな平凡なものになってしまい、うまく言い表せない。言えば世の常。「今はとて、おちいりけむ有様、心のうち、見る心地して、悲しきなど—なり」〈狭衣・二〉
言(い)えた義理(ぎり)
今までのいきさつから当然言ってもよい立場・関係。反語・否定の表現に用いる。「今さら助けてくれなどと—か」
言(い)えば得(え)に
《「に」は打消しの助動詞「ず」の古い連用形》口に出して言おうとすれば、うまく言えないで。「—言はねば胸にさわがれて心ひとつに嘆くころかな」〈伊勢・三四〉
言(い)えば更(さら)なり
わざわざ新たに言う必要もないほどだ。もちろんである。言うも更なり。「目もあやに飾りたる装束有様—」〈源・若菜下〉
言(い)えば世(よ)の常(つね)
「言うも世の常」に同じ。