かだま・し【奸し/姧し/佞し】
[形シク]《動詞「かだ(奸)む」の形容詞化。「かたまし」とも》心がねじけている。性質がすなおでない。「—・しきもの朝にあって罪ををかす」〈平家・六〉
かだ・む【奸む/姧む/佞む】
[動マ四]《「かたむ」とも》 1 悪事をたくらむ。あざむく。「詐(いつは)り—・める心をもちて」〈続紀宣命・二八詔〉 2 姦淫(かんいん)する。「今の夫に—・み婚(つる)びて」〈霊異記・中〉
かん【奸/姦/姧】
よこしまで悪賢いこと。また、その人。「—を禁じ乱を遏(とど)むるの用多くして」〈中村訳・西国立志編〉
かん【奸】
[音]カン(漢) 1 (「姦」と通用)正道を犯す。邪悪である。よこしま。「奸計・奸臣・奸知・奸物/佞奸(ねいかん)」 2 邪悪な人。「漢奸・斬奸」
かん‐あく【奸悪/姦悪】
[名・形動]心がねじけていて悪いこと。また、そういう人や、そのさま。「—の少年身を容るるに地なきもの」〈田口・日本開化小史〉 [派生]かんあくさ[名]
かん‐かつ【奸黠/姦黠】
[名・形動]悪賢いこと。また、そのさま。狡猾(こうかつ)。「吾人は—の悪人の、今一層—なるを厭わず」〈蘇峰・近来流行の政治小説を評す〉
かん‐きょく【奸曲/姦曲】
[名・形動]心に悪だくみがあること。また、その人や、そのさま。「ある—なるむずかしき想像心にからまれ」〈藤村・春〉
かん‐けい【奸計/姦計】
悪いはかりごと。悪だくみ。「—をめぐらす」「敵の—に陥る」
かん‐きつ【奸譎/姦譎】
[名・形動]⇒かんけつ(奸譎)
かん‐けつ【奸譎/姦譎】
[名・形動]よこしまで、心にいつわりが多いこと。また、そのさま。かんきつ。「この残酷にして—なる神の悪戯に堪(た)うる能(あた)わず」〈芥川・開化の殺人〉