あだ【徒】
[形動][文][ナリ] 1 実を結ばずむなしいさま。無益なさま。むだ。「せっかくの好意が―になる」 2 浮ついたさま。不誠実で浮気っぽいさま。「―なる恋にはあらで、女夫(めおと)の契を望みしなり...
あだあだ・し【徒徒し】
[形シク] 1 誠実でない。無責任だ。「人の、ふみを―・しく散らすと聞きて」〈風雅・恋三・詞書〉 2 浮気だ。好色がましい。「たはぶれに―・しき御心なし」〈栄花・さまざまの喜び〉 3 内容が空虚...
あだ・う【徒ふ】
[動ハ下二]ふざける。戯れる。「若やかなる人こそ、物の程知らぬやうに―・へたるも罪ゆるさるれ」〈紫式部日記〉
あだ‐おろそか【徒疎か】
[形動][文][ナリ](多く「あだおろそかに」の形で、あとに否定の語を伴って用いる)軽々しく粗末にするさま。いいかげん。あだやおろそか。「親の恩を―にはできない」
あだ・く【徒く】
[動カ下二]浮気なことをする。うわつく。「うち―・けすきたる人の」〈源・朝顔〉
あだ‐ぐち【徒口】
むだぐち。実意のない言葉。「笑いながら―に空耳を貸して」〈魯庵・社会百面相〉
あだ‐くらべ【徒比べ/徒競べ】
1 男女が互いに、相手を浮気だと言い合うこと。「―かたみにしける男女の」〈伊勢・五〇〉 2 はかなさを競い合うこと。「―とや月の夜の雨、花盛りの風」〈浮・男色大鑑・四〉
あだ‐け【徒気】
《動詞「あだく」の連用形から。「気」は当て字》浮気な行為。浮気心。「その古(ふ)りせぬ―こそは、いとうしろめたけれ」〈源・若菜上〉
あだ‐ごころ【徒心】
移りやすい心。浮気心。あだしごころ。「深き心も知らで、―つきなば」〈竹取〉
あだ‐ごと【徒言】
実(じつ)のないあてにならない言葉。うそ。「たはぶれにても、人の御―など、聞こえ給ふべくなむあらぬ」〈宇津保・藤原の君〉