ここに‐して【此処にして】
[連語]《「し」は、ある状態にある意を表すサ変動詞「す」の連用形》ここにいて。ここにあって。「広橋(ひろはし)を馬越しがねて心のみ妹(いも)がりやりて吾(わ)は—」〈万・三五三八〉
此処(ここ)の所(ところ)
1 この箇所。この点。「—をしっかり練習しなさい」 2 ここしばらく。このところ。「—よい天気が続く」
此処(ここ)は一(ひと)つ
1 何かを始めたり、試みたりすることを思い立つ気持ちを表す。ここはちょっと。ここはためしに。「—ようすを見よう」 2 依頼するときに用いる。ここはどうぞ。「—大目に見てください」
此処(ここ)ばかりに日(ひ)は照(て)らぬ
ここにだけ太陽は照るわけでない。世間どこへ行っても生活の道はあるというたとえ。他へ移るときなどに捨てぜりふのように用いる。
此処(ここ)までお出(い)で甘酒(あまざけ)進(しん)じょ
《「進じょ」は、「進ぜん→進ぜう→進じょ」と音変化したもの》 1 よちよち歩きの幼児をじょうずに歩かせるために、少し離れた所から呼びかける言葉。 2 近づけないと知って、ここまで来てみろと相手を...
ここ‐もと【此処許/爰許】
[代]近称の指示代名詞。 1 話し手の身近な所をいう。このあたり。ここ。「波ただ—に立ち来る心地して」〈源・須磨〉 2 話し手自身の方をいう。自分の方。当方。「—にただ一言聞こえさすべきことなむ...
ここ‐ら【此処ら】
[代]近称の指示代名詞。 1 話し手に近い場所を漠然とさしていう。この辺。このあたり。ここいら。「—ではあまり見かけない人だ」「たしか—に置いたはずだ」 2 時間・程度を漠然とさしていう。この程...
此処(ここ)を最後(さいご)
ここが死に場所だと思って死力を尽くすこと。「—と攻め戦ふ」〈平家・八〉
此処(ここ)を先途(せんど)と
ここが勝敗・成否を決する大事な場合だと思って、いっしょうけんめいになるようす。「—攻撃に死力を尽くす」 [補説]この句での「先途」は、重要な場面の意。「出発点」の意はない。
此処(ここ)を踏(ふ)んだら彼所(あちら)が上(あ)が・る
互いに関連しあい、影響しあうことのたとえ。また、一方がうまくいけば、他方がだめで、両方そろってうまくいかないことのたとえ。