あま【海人/海士/海女/蜑】
1 海に潜って貝類や海藻をとるのを仕事とする人。男を「海士」、女を「海女」と書く。《季 春》「流木を火となし母の—を待つ/三鬼」 2 海辺に住み、魚介や海藻をとるのを業とする者。漁師。「打麻(う...
あま【海人/海士】
謡曲。五番目物。藤原房前(ふじわらのふささき)は讃岐(さぬき)国志度の浦で、わが子のために命に代えて宝珠を奪い返した母の霊に会い、供養する。
あま‐おとめ【海人少女/蜑乙女】
年若い海女(あま)。「藻塩焼きつつ—ありとは聞けど」〈万・九三五〉
あま‐おぶね【海人小舟/蜑小舟】
[名] 1 海人の乗る小舟。「白波の八重折るがうへに—はららに浮きて」〈万・四三六〇〉 2 アマオブネガイの別名。 [枕]船が停泊することを「泊(は)つ」というところから、「はつ」にかかる。...
あまおぶね‐がい【蜑小舟貝】
アマオブネガイ科の巻き貝。潮間帯にみられ、貝殻は半球形で、殻径3センチくらい。殻表は黒く、白斑がある。殻口は半月形で石灰質のふたで閉じる。
あまのかるも【海人の刈藻】
平安末期から鎌倉初期にかけて成立した物語。4巻。作者不詳。権大納言と藤壺の女御との悲恋を描く。 大田垣蓮月(おおたがきれんげつ)の歌集。明治3年(1870)発表。閑雅な詩境が平明に歌われている。
あま‐の‐こ【海人の子】
1 漁師の娘。「漁(あさ)りする—どもと人は言へど見るに知らえぬ良人(うまひと)の子と」〈万・八五三〉 2 《船上で世を過ごすところから》遊女。「白浪の寄するなぎさに世を過ぐす—なれば宿も定めず...
あま‐ぶね【海人舟】
漁師の乗る舟。「鮪(しび)釣ると—騒き塩焼くと人そ多(さは)にある」〈万・九三八〉 [補説]書名別項。→海人舟
あまぶね【海人舟】
近藤啓太郎の短編小説。昭和31年(1956)発表。同年、第35回芥川賞受賞。昭和32年(1957)、「海人舟より 禁男の砂」の題名で映画化。
あま‐べ【海部/海人部】
上代、海産物を上納し、航海技術をもって朝廷に仕えた部民。阿曇連(あずみのむらじ)の領有支配を受け、淡路・阿波・吉備・紀伊などにいた。→山部