海水の密度の変化によって生じる、地球規模の海水の循環。高緯度海域で表層水の水温が下がり、また塩分濃度が高くなることにより、海水(ブライン)が深層へ沈み込むことによって起こる。深層流は毎秒1センチメートル程度の速度でゆっくりと移動する。熱や物質を地球規模で輸送するため、気候の安定や生態系の維持に重要な役割を果たしていると考えられている。海洋大循環の一部。深層大循環。グローバルコンベヤーベルト。→風成循環
[補説]熱塩循環の
起点となる表層水の
沈降は、
グリーンランド沖と南極付近の
ウェッデル海で
発生している。グリーンランド沖で
形成された深層水は
大西洋を
南下し、
南極海で
形成された深層水と
合流し、
インド洋・
太平洋へ流れ込み、再び
表層へ
上昇する。
温暖化により
極地の
氷床・
氷河が
融解し、高緯度海域の塩分濃度が
低下すると、熱塩循環が弱まり、気候変動をもたらす可能性が懸念されている。