うつし‐おみ【現しおみ】
この世に人としての姿を現しているもの。生きている現実の人。「かしこし、我が大神、—あらむとは覚らざりき」〈記・下〉 [補説]「おみ」の語義は「臣」かという。「大身」「御身」とするのは、上代の音韻...
うつし‐ごころ【現し心】
確かな心。理性のある心。正気。「—なく酔ひたるものに候」〈徒然・八七〉
うつし‐ざま【現し様】
[名・形動ナリ] 1 気持ちが正常で確かなさま。正気なさま。「—なる折すくなく侍りて」〈源・薄雲〉 2 いつもと変わらないこと。また、そのさま。「おほやけのかしこまりなる人の、—にて世の中にあり...
うつし‐びと【現し人】
1 (死者に対して)この世に生きている人。「—にてだに、むくつけかりし人の御けはひの」〈源・若菜下〉 2 (出家に対して)在俗の人。俗人。「—にては世におはせむも、うたてこそあらめ」〈源・手習〉
うつしみ
上田三四二の随筆。昭和53年(1978)刊行。副題「この内なる自然」。闘病を通じて死と向き合い、自然と身体の一体化を模索する自身の姿を描く。昭和54年(1979)、第7回平林たい子文学賞を受賞。
うつし‐み【現し身】
現在生きている身。うつせみ。「こうして—の女の肉に引きずられる執念は」〈石川淳・普賢〉 [補説]江戸時代の国学者が上代語の「うつしおみ」また「うつそみ」「うつせみ」の原形を「現し身」と考えて作り...
うつし‐よ【現し世】
この世。現世。
うつそみ【現そみ】
《「うつしおみ」の音変化で、「うつせみ」の古形》「空蝉(うつせみ)1」に同じ。「—と思ひし妹が灰にていませば」〈万・二一三〉
うつつ【現】
1 この世に現に存在しているもの。現実。夢・虚構などに対していう。「夢か—か幻か」 2 意識の正常な状態。正気。「—に返る」 3 《「夢うつつ」「夢かうつつか」などの形で用いられるところから誤っ...
うつつ‐ごころ【現心】
1 《夢うつつの心の意から》夢見るような気持ち。うつろな心。「はや七分の正気を失って、何(どこ)が何(なに)やら一向—で」〈紅葉・二人女房〉 2 しっかりした気持ち。正気。「肝魂も消え果て—なし...