あお‐の‐どうもん【青の洞門】
大分県中津市本耶馬渓町の山国川右岸にある洞穴道。18世紀中期に僧禅海が三十余年かかって掘削したと伝えられ、菊池寛が小説「恩讐の彼方に」の題材とした。
あくたがわ‐しょう【芥川賞】
芥川竜之介を記念し、昭和10年(1935)菊池寛の提唱により、直木賞とともに創設された文学賞。毎年2回、主に無名・新進作家の小説に授賞。第1回の受賞者は石川達三。昭和20年(1945)中絶、昭和...
いしだか‐みち【石高道】
石が多くて、でこぼこの道。「歩み難い—を、市九郎は、杖を頼りに辿って居た」〈菊池寛・恩讐の彼方に〉
一指(いっし)を染(そ)・める
物事にちょっとかかわる。「不義非道な色事には、一指をだに染めることをしなかった」〈菊池寛・藤十郎の恋〉
いれ‐ふだ【入れ札】
1 投票。「お前達の間で—をして見ちゃ、どうだい」〈菊池寛・入れ札〉 2 入札(にゅうさつ)。「大勢請負人を集め、—をさせる」〈黄・金生木〉
うち‐かわ・る【打(ち)変(わ)る】
[動ラ五(四)]「打って変わる」に同じ。「変わる」を強めていう語。「今迄の傾城買いとは、裏と表のように、—・った狂言として」〈菊池寛・藤十郎の恋〉
うっ‐かい【鬱懐】
心配ごとなどで晴れ晴れとしない思い。「胸の裡(うち)の、寂しさとムシャクシャした—とを」〈菊池寛・俊寛〉
おう‐ぜん【旺然】
[ト・タル][文][形動タリ]物事の盛んなさま。「此の難所を除こうと云う思い付きが—として起ったのも」〈菊池寛・恩讐の彼方に〉
おくじょうのきょうじん【屋上の狂人】
菊池寛の戯曲。大正5年(1916)発表。狂人であることのほうが、かえって幸福ではないかとする人生への懐疑と皮肉を描く。
おんしゅうのかなたに【恩讐の彼方に】
菊池寛の小説。大正8年(1919)発表。耶馬渓、青ノ洞門由来を脚色。あだ討ちの非人間性と、ヒューマニズムの勝利を描く。