誰(たれ)かある
家人・下人などを呼ぶときの言葉。たれかおらぬか。「いかに、—」〈謡・安宅〉
誰(たれ)か烏(からす)の雌雄(しゆう)を知(し)らんや
《「詩経」小雅・正月から》烏の雌雄の区別を誰がつけられようか。人の心や物事の善悪・優劣の判定が難しいことのたとえ。
たれ‐がし【誰某】
[代]「だれそれ」に同じ。「いづれの家の—とかおぼしめし候らん」〈保元・上〉
たれ‐どき【誰時】
「かわたれどき」に同じ。〈和英語林集成〉
たれどき‐ぼし【誰時星】
明け方に見える金星の異称。明けの明星(みょうじょう)。かわたれぼし。「暁の—も清澄(きよずみ)の海原とほくのぼる山かな」〈廻国雑記〉
たれ‐の‐ひと【誰の人】
なんという人。どういう人。たれびと。「さ雄鹿の萩に貫き置ける露の白玉あふさわに—かも手に巻かむちふ」〈万・一五四七〉
たれ‐びと【誰人】
[代]不定称の人代名詞。なんという人。どんな人。だれ。「—にも見出し得ぬ訳だ」〈漱石・吾輩は猫である〉
たれゆえ‐そう【誰故草】
アヤメ科の多年草。西日本の低山地に自生。葉は長さ15〜25センチの線形で、基部は赤みを帯びる。初夏、アヤメに似た紫色の花をつける。愛媛あやめ。
だれ【誰】
[代]《古くは「たれ」》不定称の人代名詞。 1 名を知らない人、または、その人とはっきりわからない人をさす。「あの人は—だ」「—に渡せばよいのか」 2 (「だれか」の形で)自分以外の不特定の人を...
だれかがさわった【誰かが触った】
宮原昭夫の中編小説。ハンセン病療養所内の中学校に赴任した女性教師が病気に対する偏見や差別に苦悩する姿を描く。昭和47年(1972)発表。同年、第67回芥川賞受賞。