臓器や器官のはたらきを調整する「自律神経」
交感神経は、"昼の神経"とも呼ばれ、身体の活動時に優位になる神経です。 交感神経が働くと、瞳孔が拡大し、心拍は速くなり、血管は収縮して血圧を高め、体温が上昇する-など、からだが活性化し、活動しやすい状態になります。また、感情の起伏も激しくなります。 副交感神経は、"夜の神経"とも呼ばれ、身体の安静時に活動する神経です。からだを緊張から解きほぐし、休息させるようにはたらきます。 副交感神経が交感神経よりも優位に動き出すと、瞳孔は収縮し、心拍はゆっくりになり、血圧は低くなります。消化吸収機能も高まりからだに栄養がとり込まれます。からだだけでなく、精神面でも激しい感情や不安、悩みなどが抑えられて穏やかになり、睡眠など休息にふさわしい状態に移行します。 いわば、車のアクセルのような役割を果たす「交感神経」と、ブレーキのような役割を果たす「副交感神経」-。両者の相反する作用がバランスよく働くことで、からだは健康な状態を保つことができるのです。
「脳神経」は3つに分類される
脳からは12対の脳神経が出ています。いずれも、脳とからだの各部位とを結んでいる末梢神経で、各神経は第1群~3群に分類されます。 第1群~3群の神経には、Ⅰ嗅神経、Ⅱ視神経、Ⅲ動眼神経、Ⅳ滑車神経、Ⅴ三叉神経、Ⅵ外転神経、Ⅶ顔面神経Ⅷ内耳神経、Ⅸ舌咽神経、Ⅹ迷走神経、XI副神経、XII舌下神経のように、神経と脳が接続されている部位によって、頭部から尾部の順に番号がつけられています。 このうち嗅神経と視神経、内耳神経は、受け取った情報を脳に伝える"求心性神経"のみで、動眼神経、滑車神経、外転神経、舌下神経は、"遠心性神経"のみですが、そのほかの5種の神経は、求心性神経と脳からの指令を各器官に送る"遠心性神経"が混在しています。
肥満度検査の目的
内臓脂肪蓄積・肥満の有無をチェック むかしは、体重測定だけで肥満の有無を判定していましたが、肥満と肥満がもたらす病気の関係が明らかになるにつれ、検査方法も変化してきました。 現在、肥満の判定に用いられているのは、「BMI」と「腹囲」です。BMIと腹囲を総合して、健康上問題となる肥満を判定します。 BMI(BodyMassIndex=ボディ・マス・インデックス)とは、国際的にも広く用いられている体格指数で、体重と身長からBMI値を割り出します。 肥満の定義上、本来は体脂肪量から判定すべきなのですが、BMIは体脂肪を反映することから、肥満を判定する一つの目安として用いられています。 腹囲は、とくに内臓脂肪の蓄積を知るのに有意な検査で、メタボリックシンドロームの診断基準項目の一つにもなっています。 正確には、腹部CT検査などで、内臓脂肪面積が100c㎡以上ある場合に、内臓脂肪型肥満と診断されるのですが、腹囲は内臓脂肪の蓄積(内臓脂肪面積)を反映することから、こちらも肥満判定に用いられています。 BMIや腹囲が基準値を外れる要因、つまりは肥満の要因には、遺伝的素因や性差も関与していますが、何よりも大きいのは生活習慣です。 食べ過ぎによる摂取エネルギーの過剰、運動不足による消費エネルギーの不足が、エネルギー収支のバランスを崩し、体脂肪や体重の増加をまねきます。 また、肥満をまねく生活習慣の下地にはストレス、睡眠不足、自律神経やホルモンバランスの乱れなども関係しています。これらが過食を招いたり、太りやすい体質をつくる場合も少なくありません。 中年以降に太りやすくなる原因としては、基礎代謝の低下があげられます。 基礎代謝とは、呼吸や睡眠、消化など、生命を維持するための活動に必要な最低限のエネルギーのことです。 年をとると活動量が減り、筋肉が落ち、また若い頃のように成長に必要なエネルギーもいらなくなります。 こうして基礎代謝は老化に伴い低下していくのですが、さらに運動不足などが加わると、基礎代謝の低下にも拍車がかかります。 基礎代謝は成人で平均1200kcalとされており、これより低下すればするほど、エネルギー収支のバランスが崩れて太りやすくなります。 肥満、とくに内臓脂肪の蓄積は、さまざまな生活習慣病を合併することで知られています。具体的には脂質異常症をはじめ、糖尿病、高血圧、高尿酸血症、脂肪肝、動脈硬化など。さらには脳卒中や心筋梗塞などの引き金となるといわれています。 また、近年はメタボリックシンドロームの概念からも、内臓脂肪型肥満が問題視されています。 脂肪細胞からは、アディポサイトカインと呼ばれる生理活性物質が分泌されています。 アディポサイトカインには、血糖値の上昇、脂質異常の促進、血圧の上昇にかかわる悪玉アディポサイトカインと、動脈硬化の抑制や糖代謝の改善に働く善玉アディポサイトカイン(アディポネクチンという)があり、健康な体内では善玉と悪玉のバランスが保たれています。 しかし、内臓脂肪が蓄積した状態では、善玉であるアディポネクチンの分泌が低下し、悪玉アディポサイトカインの分泌が過剰になるのです。 このアンバランスが生活習慣病の連鎖を引き起こし、動脈硬化を促進させると考えられています。 そのほかにも、内臓脂肪、皮下脂肪にかかわらず、肥満を放置していると、ひざや腰などに過剰な負荷がかかり続けるため、膝関節症などの運動器疾患をもたらします。 また、睡眠時無呼吸症候群や、女性では月経異常など婦人科系疾患との関連も指摘されています。