において/にあって/で/にあたって/に際し(て)/(の)折に の解説 - 小学館 類語例解辞典

において/にあって/で/にあたって/に際し(て)/(の)折に の共通する意味

時・場所・状況を表わす。

において/にあって/で/にあたって/に際し(て)/(の)折に の使い方

において
▽明治時代においては富国強兵策がとられていた ▽人間生きる限りにおいて悩みは絶えないものである ▽自衛の名においての侵略は許されない ▽説明会は会議室において行う
にあって
▽(1)今日(こんにち)にあっても昔ながらの製法が生かされている ▽(2)野(や)にあって政治を操る
▽現時点で問題になるのは資金集めの方法だ ▽調査の過程でいくつかの疑問が浮かんだ ▽海で溺(おぼ)れる
にあたって
▽開会にあたって一言ごあいさつを申し上げます ▽海外生活をするにあたっての心構え
に際し(て)
▽年頭に際しての抱負 ▽このたび市長に就任するに際し、多くの方々のご支援をいただき、心より感謝いたします
(の)折に
▽今度お目にかかった折に、お話しいたします ▽何かの折にこのことご喧伝(けんでん)ください

において/にあって/で/にあたって/に際し(て)/(の)折に の使い分け

「において」「にあって」は、動作や作用の行われる時(機会)・場所・状況(場合)を示し、格助詞「で」で言い換えられることが多い。ところが、「にあたって」「に際し(て)」は場所は示さず、「で」とも言い換えられない。また、「において」「にあって」は、「明治時代」「調査の過程」のように時間的な幅のある語句を受けるのに対し、「にあたって」「に際し(て)」は、「閉会」「出発」のように瞬間的な変化や動作の始点・終点を示す語句を受けやすいという違いもある。
「にあって」は、…に身があって、…に身をとどまらせての意味をもち、たとえば、例文(2)のように、自分は野(や)(=政権の側に立たないこと)に身を置きながら、政治の世界を思いどおりに動かすことをいっている。「東京にあって故郷の母を思う」
「にあたって」には、「仕事をするにあたっては、君の援助が必要だ」のように、目的を示す「ために」と言い換えられる場合もある。
「(の)折に」は、特別の時・機会・場合を示し、場所は示さない。用言を受ける場合、「にあたって」「に際し(て)」は現在形しか受けないのに対し、「折に」は過去形(完了形)をも受けることができる。

において/にあって/で/にあたって/に際し(て)/(の)折に の関連語

にあたり
「にあたって」の改まった言い方。「首相は新内閣の発足にあたり、その方針を国民の前に示した」
(の)折から
手紙文で多く用いる表現で、「…の時であるから」「…の時であるのに」の両方の意の場合がある。「炎暑の折から一層ご自愛なさいますように」「厳寒の折からあなた様にはお変わりもなくお過ごしのことと」
(の)際に
「(の)折に」と同じ意で用いられる。「先日帰省した際に、うっかり車内に旅行カバンを置き忘れてしまった」
にして
いろいろな語について時・場所・状況を示し、格助詞「で」で言い換えられる。少し硬い表現である。「六十にして耳に順う」