ため(に)/のに/に の解説 - 小学館 類語例解辞典

ため(に)/のに/に の共通する意味

目的で、という意を表わす。

ため(に)/のに/に の使い方

ため(に)
▽失恋の傷をいやすため、一人で旅に出た ▽ワクチン開発のために一生を捧げた
のに
▽心を通じ合わせるのに言葉はいらない ▽この論文を書き終わるのにあと何日かかるだろう
▽遠くから泳ぎに来た人も多い ▽彼女に会いに毎日その店に通った

ため(に)/のに/に の使い分け

「ため(に)」は、最も使用範囲が広く、名詞を「のため(に)」の形で受けることもできる。ただし、「Xするため(に)Y」のYには意志を表わす動詞が必要とされる。表例(1)では、「この本が便利だ」は意志ではなく状態・性質を示す表現であるため不自然だが、この文に係助詞「は」を補って「町の歴史を調べるためにはこの本が便利だ」とすれば不自然ではなくなる。
「のに」は動詞の連体形にしか続かない。「ため(に)」と同じように使われることも多いが、「XするのにY」のYには、状態や性質を示す表現がおかれやすく、表例(2)のように移動を表わす動詞(「行く」「来る」「帰る」「出る」「歩く」「通う」など)だけがおかれることは少ない。
「に」は、動詞の連用形にしか続かない。「XしにY」のYに移動を表わす動詞がおかれ、XとYが密接に結びついて途中に切れ目がない点が特徴的である。

ため(に)/のに/に の類語対比表

町の歴史を調べる(調べ)…図書館へ行く町の歴史を調べる(調べ)…この本を買った①町の歴史を調べる(調べ)…この本が便利だ②町の歴史を調べる(調べ)…歩き回る
ため(に)
のに
(調べ)○(調べ)-(調べ)-(調べ)○