せる(させる)/す(さす)/しむ の解説 - 小学館 類語例解辞典

せる(させる)/す(さす)/しむ の共通する意味

使役を表わす。

せる(させる)/す(さす)/しむ の使い方

せる(させる)
▽(1)彼は娘に新聞を取りに行かせた ▽(2)子どもを好きなだけ遊ばせた ▽(3)彼女はちょっとした不注意で子どもを死なせた
す(さす)
▽死せる孔明生ける仲達を走らす
しむ
▽天に口なし人をもって言わしむ

せる(させる)/す(さす)/しむ の使い分け

使役とは、ある者(使役主)が他の者(被使役主=動作主)に動作を行わせることをいう。使役を表わす助動詞として、口語には「せる(させる)」、文語には「す(さす)」と「しむ」がある。
「せる」と「させる」は、「せる」が五段・サ変動詞に、「させる」が上一段・下一段・カ変動詞につくという接続上の違いであって用法上の違いはない。「せる(させる)」には他に、許容・放任(例文(2))、間接的責任(例文(3))の意を表わす用法がある。なお、「被使役主」を表わす助詞は、「に」を用いる場合と「を」を用いる場合とがある。これは動詞の違いによって使い分けられ、他動詞文ではもっぱら「に」を用いる(「生徒本を読ませた」)。これに対して、自動詞文では、無意志動詞の場合には「を」しか用いられない(「人工的に雪降らせた」)が、意志動詞の場合には「を」だけではなく「に」も用いられる場合がある(「息子()大学に行かせた」)。
「す」「さす」は、文語で用い、四段・ナ変・ラ変動詞には「す」が、上一段・上二段・下一段・下二段・サ変・カ変動詞には「さす」が接続する。中古(平安時代)に発生した助動詞で、主に和文で用いられた。現代でも、西日本の方言では「さす」を用いることもある(「彼に大学を受けさす」)。
「しむ」も文語で、上代(奈良時代)から用いられたが、「す(さす)」の発生した中古以降は主に漢文訓読文で用いられるようになった。

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