・・・丁度親友の内情を人に打ち明けたくないのと、同じような関係らしく見えた。 そこで己は外の方角から、エルリングの事を探知しようとした。 己はその後中庭や畠で、エルリングが色々の為事をするのを見た。薪を割っている事もある。花壇を掘り返して・・・ 著:ランドハンス 訳:森鴎外 「冬の王」
・・・それに関係していろいろ「いい事」を考え続けていたこともほんとうです。しかしすぐその場で自分に最も近い者をさえも十分愛してやれないくせに、そんな事を考え続けたって何になるでしょう。しかもそれが、その運命に対しては無限の責任と恐ろしさとを感じて・・・ 和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
出典:青空文庫