・・・ まず溝を穿ちて水を注ぎ、ヒースと称する荒野の植物を駆逐し、これに代うるに馬鈴薯ならびに牧草をもってするのであります。このことはさほどの困難ではありませんでした。しかし難中の難事は荒地に樹を植ゆることでありました、このことについてダルガ・・・ 内村鑑三 「デンマルク国の話」
曠野と湿潤なき地とは楽しみ、沙漠は歓びて番紅のごとくに咲かん、盛に咲きて歓ばん、喜びかつ歌わん、レバノンの栄えはこれに与えられん、カルメルとシャロンの美しきとはこれに授けられん、彼らはエホバの栄を見ん、我・・・ 内村鑑三 「デンマルク国の話」
曠野と湿潤なき地とは楽しみ、沙漠は歓びて番紅のごとくに咲かん、盛に咲きて歓ばん、喜びかつ歌わん、レバノンの栄えはこれに与えられん、カルメルとシャロンの美しきとはこれに授けられん、彼らはエホバの栄を見ん、我・・・ 内村鑑三 「デンマルク国の話」
・・・雪の曠野を走って、ようやく、目的地に着きました。しかし、急に思いたってきたので、通知もしなかったから、この小さな寂しい停車場に降りても、そこに、上野先生の姿が見いだし得ようはずがなかったのです。 手に、ケースを下げて、不案内の狭苦しい町・・・ 小川未明 「青い星の国へ」
・・・雪の曠野を走って、ようやく、目的地に着きました。しかし、急に思いたってきたので、通知もしなかったから、この小さな寂しい停車場に降りても、そこに、上野先生の姿が見いだし得ようはずがなかったのです。 手に、ケースを下げて、不案内の狭苦しい町・・・ 小川未明 「青い星の国へ」
・・・いまおまえは、まだ小さくて教えても歌えまいが、いんまに大きくなったら俺の教えた『曠野の歌』と、『放浪の歌』とを歌うのだ。」と、風は、木の芽にむかっていいました。無窮から、無窮へゆくものは、だれだ。おまえは、その姿を見たか、・・・ 小川未明 「明るき世界へ」
・・・いまおまえは、まだ小さくて教えても歌えまいが、いんまに大きくなったら俺の教えた『曠野の歌』と、『放浪の歌』とを歌うのだ。」と、風は、木の芽にむかっていいました。無窮から、無窮へゆくものは、だれだ。おまえは、その姿を見たか、・・・ 小川未明 「明るき世界へ」
・・・ 八月の赫灼たる太陽の下で、松の木は、この曠野の王者のごとく、ひとりそびえていました。 ある日のこと、一人の旅人が、野中の細道を歩いてきました。その日は、ことのほか暑い日でした。旅人は野に立っている松の木を見ますと、思わず立ち止・・・ 小川未明 「曠野」
・・・ 八月の赫灼たる太陽の下で、松の木は、この曠野の王者のごとく、ひとりそびえていました。 ある日のこと、一人の旅人が、野中の細道を歩いてきました。その日は、ことのほか暑い日でした。旅人は野に立っている松の木を見ますと、思わず立ち止・・・ 小川未明 「曠野」
・・・雲を見、その下に横わる曠野を想い、流るゝ河を眼に描き、さらに生活する人々を考える時、郷愁豊かなる民謡の自ら念頭に浮ぶを覚える。永遠に、人は、土を慕い、自由を求めてやまないのだ。一切の虚偽を破壊するものは、常に、心の底に流れる、この単純化のロ・・・ 小川未明 「常に自然は語る」
出典:青空文庫