[動ラ五(四)]
  1. 人や物がある場所範囲状態などに移る。はいる。

    1. ㋐外から中に移動する。「道が山あいに—・る」「葷酒 (くんしゅ) 山門に—・るを許さず」

    2. ㋑移り動いて物の陰に隠れる。太陽や月が沈む。「日が山の端に—・る」

    3. 特定環境に身を移す。「渦中に—・る」「仏門に—・る」

    4. ㋓時が進行して、ある時刻季節になる。「土用に—・る」

    5. ㋔心・目・耳などの感覚を通じて対象をとらえる。「目に—・るものすべてが珍しい」

    6. ㋕しだいに移ってある状態に達する。ある状態にまで深くはいっていく。「話が佳境に—・る」「悦に—・る」

    7. 内部にくぼみ、裂け目が生じる。「茶碗にひびが—・る」

    8. ㋗いっぱい含まれる。こもる。「念の—・った仕事ぶり」

  1. 動詞の連用形に付いて、その動作状態程度非常に深い、また、その動作に徹したり、その状態にすっかりなってしまったりする意を表す。「ぐっすり寝—・る」「心に染み—・る」「恥じ—・る」「恐れ—・ります」

  1. (「いらせ給ふ」「いらせらる」などの形で)「来る」「行く」「居る」の意を表す。

    1. 御輿 (みこし) の—・らせ給ふほどなど」〈大鏡・道長上〉

[動ラ下二]い(入)れる」の文語形。
[補説]1は文語的な言い方で、現代語ではふつう「はいる」を用いる。しかし、「気にいる」「堂にいる」「有卦 (うけ) にいる」など慣用的な表現の中では現在でも多く用いられる。
[動ヤ上一]水などを注ぐ。かける。浴びせる。
  • 「僧は腰に湯をさせて」〈今昔・二〇・二〉
[動ア上一][文][ワ上一]《じっと動かないでいる、低い姿勢で静かにしているのをいうのが原義で、「立つ」に対する語》
  1. 人や動物が、ある場所存在する。「ペンギンは北極にはない」「そこにいるのは誰ですか」

  1. 住む。滞在する。「ロンドンにいる兄からの便り」

  1. 移動するのをやめて、そこにとどまる。

    1. 静止している。「動かないで、そこにいるんですよ」

    2. ㋑すわる。しゃがむ。

      「立ちてて見れどもあやし」〈・四〇〇三〉

    3. ㋒鳥が、とまる。

      「後徳大寺の大臣 (おとど) の寝殿に、鳶させじとて」〈徒然・一〇〉

    4. ㋓雲や霞などがかかり、じっととどまる。

      「筑波嶺 (つくばね) の嶺ろに霞過ぎかてに息づく君を率 (ゐ) 寝て遣らさね」〈・三三八八〉

    5. ㋔船が浅瀬につかえて動かないでいる。

      「みさごゐる渚 (す) にゐる舟の漕ぎ出なばうら恋しけむ後 (のち) は相寝 (あひぬ) とも」〈・三二〇三〉

  1. 草や氷などが生じる。できる。

    1. 「池などある所も水草 (みくさ) 」〈・一七八〉

    2. 「つららて守る岩間の関なればよをへてかたくなりまさるかな」〈堀河百首
  1. ある地位につく。

    1. 春宮 (とうぐう) には若宮給ひにけり」〈宇津保・国譲下〉

  1. (「腹ゐる」の形で)怒りが治まる。「腹立つ」に対する語。

    1. 「妻 (め) の腹にければ、重方がいはく」〈今昔・二八・一〉

  1. (補助動詞)動詞連用形に接続助詞「」が付いた形に付く。

    1. 動作状態が続いて、現在に至ることを表す。「猫が鳴いている」「花が咲いている

    2. 動作作用の結果が、続いて現在もあることを表す。「枝が枯れている」「窓があいている

    3. 現在状態を表す。「彼の気持ちはもう変わっている

[動ラ五(四)]《「入 (い) る」と同語源》費用品物時間などが必要になる。入用である。「資本が—・る」「暇が—・る」「お世辞は—・らない」
[動ラ五(四)]「い(射)る」(上一)に同じ。近世江戸語以降の用法
  • 「灯 (ひ) の光り闇を破りて遥 (はるか) に身を—・り」〈露伴・いさなとり〉
[動ア上一][文][ヤ上一]
  1. 矢を弓につがえて放つ。「弓をいる

  1. 矢や弾丸を目的物に当てる。「的をいる

  1. 光が強く照らす。「光線が目をいる

  1. 向けて放たれたものが対象をとらえる。「やさしい言葉が心をた」

[動ワ上一]

  1. 人を連れて行く。ひきいる。

    1. 「従者 (ともびと) としてて往きき」〈・上〉

  1. 物を身に携えて行く。

    1. 「内侍所、神璽 (しんじ) 、宝剣ばかりをぞ、忍びてて渡させ給ふ」〈増鏡・むら時雨〉

[動ラ五(四)]火にかけて、水気がなくなるまで煮つめる。また、鍋などに入れて火であぶる。「豆を—・る」
[補説]「煎」は火で熱し焦がす、「炒」は鍋などで熱し焦がす、油でいためる、「熬」は焦がす、煮つめる意とするが、明確には使い分けにくい。
[可能]いれる
[動ラ五(四)]《「入 (い) る」と同語源》果実が熟する。「稲穂に実が—・る」
[動ア上一][文][ヤ上一]溶かした金属鋳型に流し込んで器物をつくる。鋳造する。「鐘をいる

出典:gooニュース

goo辞書は無料で使える辞書・辞典の検索サービスです。1999年にポータルサイト初の辞書サービスとして提供を開始しました。出版社による信頼性の高い語学辞典(国語辞書、英和辞書、和英辞書、類語辞書、四字熟語、漢字など)と多種多様な専門用語集を配信しています。すべての辞書をまとめて検索する「横断検索」と特定の辞書を検索する「個別検索」が可能です。国語辞書ではニュース記事や青空文庫での言葉の使用例が確認でき、使い方が分からない時に便利です。