・・・二相はあたかも福原の栄華に驕る平家の如くに咀われた。 伊井公侯を補佐して革命的に日本の文明を改造しようとしたは当時の内閣の智嚢といわれた文相森有礼であった。森は早くから外国に留学した薩人で、長の青木周蔵と列んで渾身に外国文化の浸潤った明・・・ 内田魯庵 「四十年前」
・・・適者生存は、犯し難い真理であります。驕る者久しからず、これを思えばもっと人間は、動物に対して、親切であるべき筈である。 ハドソンは、いっているが、動物が、人間の用となるためには、どれ程多くの美と天性とを犠牲にしているか知れないと。この言・・・ 小川未明 「天を怖れよ」
・・・ 人の妻たる者が能く家を保ち万事倹にして費を作す可らず、衣服飲食なども身の分限に随て奢ること勿れと言う。人生家に居るの法にして甚だ宜し。大に賛成する所なれども、我輩は今一歩を進め、婦人をして経済会計の主義技術を知らしめんことを祈・・・ 福沢諭吉 「女大学評論」
・・・されど奢るは益なし、洋服にてだにあらば、帆木綿にてもよからん。白き上衣の、腋の下早や黄ばみたるを着たる人も、新しき浴衣着たる人よりは崇ばるるを見ぬ。 森鴎外 「みちの記」
出典:青空文庫