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・・・『朝倉敏景十七箇条』は、「入道一箇半身にて不思議に国をとりしより以来、昼夜目をつながず工夫致し、ある時は諸方の名人をあつめ、そのかたるを耳にはさみ、今かくの如くに候」といっているごとく、彼の体験より出たものであるが、その中で最も目につくのは・・・
和辻哲郎
「埋もれた日本」
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・・・先生はむしろ情熱と感情の過剰に苦しむ人である。相手の心の動きを感じ過ぎるために苦しむ人である。愛において絶対の融合を欲しながら、それを不可能にする種々な心の影に対してあまりに眼の届き過ぎる人である。そのため先生の平生にはなるべく感動を超越し・・・
和辻哲郎
「夏目先生の追憶」