・・・ СССРは過度姙娠、育児の負担から女性を解放すると同時に、戸毎の大小の厨炉の前から女を解こうとした。集会に於て勧告するであろう「我等新社会*の一市民は、各自の精力を最も有益に利用することを学ばなければならない。二杯のスープと二皿の・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・一昨年の大震災当時祖母は過度な苦労をした。実の娘と孫とを失った。以来、衰えが目についた。病気そのものはもう癒ったのに、恢復する力が足りないのだ。祖母自身、生きたがらない。うっとりと死にたがっている。そういう病人を見ているのは不思議であった。・・・ 宮本百合子 「祖母のために」
・・・正当以上――過度に、尊敬、優遇されることは却って一種の屈辱であることを、真実な若者なら知っています。 それは、工場に通う女工のような者の中の幾部分や、小僧の幾部分かは、互の遊戯的気分から、わざわざ人中で靴の紐を結ばせ、結ぶような衒いをし・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・ まだ小さい子供に、酒に魂を奪われた様子を見せ、下らない事に夜を更けさせたり過度の刺戟を与えたりして、学校の出来が良いの悪いの云う親の無理を思わないわけには行かない。 活動へ行くな、夜涼みに出るなと云って居ながら、平気で倍も倍も悪い・・・ 宮本百合子 「二十三番地」
・・・後の困難な諸事情は、そういう人々の、いずれかと言えば受動的な勇気を挫き、昂奮の後の感傷や過度な内省を誘い出した。由来一つの大衆的な運動というものが、真の精鋭のみの小団結ではなく、そのものの周囲に幅広く種々雑多の人間を引きつれて、塵埃も残滓も・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・ハンスが、おそろしい入学試験を終った日、小さい庭へ出て、過度な勉強から来る頭痛や悲しさを知らなかった幼い日の思い出の兎小舎をうちこわし、水車をこわす心持は、読者の胸をもハンスの憂愁と愛着とで疼かせずにはいない。釣をする柳の生えた河の景色の溌・・・ 宮本百合子 「若き精神の成長を描く文学」
・・・これまでの過度の労働から俄かに働かない生活がはじまり気分は散漫荒廃して、正しい健康な慰安のない街々を歩きまわった。男よりはいずれ少いに決っていた解雇手当は、闇食いで減らされて行き、いつの間にやら集団的な売婬が始まった。その彼女達のある者は、・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫