・・・ 既にはっきり予見されているこれらの困難を製作者と観衆とはどのようにのり越え、企業性や統制の方向と折衝してゆくであろうか。今日の社会生活の全面にあらわれている多難性が、ここにも映っていると思われる。最近日本映画の優秀作品として「若い人」・・・ 宮本百合子 「観る人・観せられる人」
・・・仕方がないから当分親たちと同居ということになったとき、民法が夫と妻とを単位とするからといって、若い妻に、嫁の慣習がおいかぶさって来ないと、どうしていえよう。夫婦で働いて生活してゆかなければならないものには、妻の家事の負担が、夫にとっても重大・・・ 宮本百合子 「離婚について」
・・・恋愛を夫婦愛の中核として見て、その発展と成熟との間におこる種々の問題こそ研究さるべきであるという常識は、日本の、現在でもなお結婚と恋愛とを切りはなして考える慣習と対蹠をなしている。 昔の日本人は、封建の柵にはばまれて、心に思う人と、親の・・・ 宮本百合子 「若き世代への恋愛論」
・・・この演出では、観衆の錯覚がたくみに利用されている。すなわち、警官隊の野蛮な襲撃や、検挙された学生が数百名にのぼることを、さも日本の学生が兇暴なものになってしまいでもしたように世界を偽瞞するための宣伝に使用しています。 われわれを、こ・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
出典:青空文庫