草結ぶ
1 草と草を結び合わせ、そこに霊魂をこめて、互いの心が永久に離れないように祈ったり、旅の安全・幸運などを願ったりする。「妹 (いも) が門 (かど) 行き過ぎかねて—・ぶ風吹き解くなまたかへりみむ」〈万・三〇五六〉 2 《草をたばねて枕にする意から》旅で野宿する。旅寝する。「近江の海湊は八十 (やそ) ちいづくにか君が船泊 (は) て—・びけむ」〈万・一一六九〉 3 草を結んで、旅の道中の道しるべにする。「朝立ちて別れし人は今もかも鄙 (ひな) の荒野に—・ぶらん」〈夫木・三六〉
草も揺るがず
まったく風がないさまや暑いさま、また、世の中が太平であるさまのたとえ。草木も揺るがず。「深山路の—◦ぬ法の秋風」〈拾玉集・二〉
草を打って蛇に驚く
なにげなくしたことから意外な結果が生じるたとえ。草を打って蛇を驚かす。
草を打って蛇を驚かす
1 ある人をこらしめることで、関係のある他の人を戒める。 2 「草を打って蛇に驚く」に同じ。
草を結ぶ
1 草を結んで、生命の安全や旅の無事を願う上代の習俗。 2 《結んだ草を枕にすることから》旅で野宿する。 3 《娘を助けてもらった父の霊が、草を結んで恩人の敵をつまずかせ、恩返ししたという「春秋左伝」宣公一五年の故事から》恩に報いる。結草。