くる とは？ 意味・読み方・使い方

「くるる（枢）」に同じ。

「群玉 (むらたま) の—にくぎ鎖し固めとし妹が心は動 (あよ) くなめかも」〈万・四三九〇〉

1. １ 空間的に離れているものが自分のいる方・所へ向かって動く。また、近づく。

   1. ㋐こちらに近づいたり着いたりする。接近・到着する。訪れる。「バスがきた」「留守に友人がきた」「霜のこないうちに取り入れを済ませる」

   2. ㋑自分が今いる所を、再び、また以前にたずねる。やってくる。「いつかきた町」「また明日きます」

   3. ㋒物が届く。「便りがくる」「ようやく注文した本がきた」

   4. ㋓鉄道・水道などの設備が通じる。「この町にはまだガスがきていない」

1. ２ 時間的に近づく。ある季節・時期・時間になる。「春がきた」「時間がきたので終わりにする」「行く年くる年」

1. ３ 事態が進んで、ある状態に至る。「もはや救いようのないところまできている」「使いづめでがたがくる」「もともと体が弱いところへきて、この暑さですっかりまいってしまった」

1. ４ （「…からくる」の形で）

   1. ㋐そのことが原因・契機になってある事態が生じる。起因する。「疲労からきた病気」「倒産は経営の不手際からきている」「信念からくる実行力」

   2. ㋑由来する。「ギリシャ語からきた言葉」

1. ５ 何かによって、ある反応・感覚・感情が起こる。「ぴんとくる」「胸にじんとくる温かい言葉」

1. ６ （「…ときたら」「…ときては」「…とくると」などの形で）ある物事を特に取り上げ強調して言う意を表す。特に…の場合は。…について言うと。「酒とくると、からっきしだめだ」「甘い物ときたら、目がない」

1. ７ 《近世語から》恋い慕う気持ちが起こる。ほれる。

   1. 「君はよっぽど、どら吉 (きち) にきているな」〈逍遥・当世書生気質〉

1. ８ あるやり方でこちらに働きかける。「数でこられたらかなわない」

1. ９ （補助動詞）動詞の連用形に接続助詞「て」が付いた形に付く。

   1. ㋐少しずつ移行したり、程度が進んだりして、しだいにその状態になる。だんだん…になる。「日増しに暖かくなってきた」「最近太ってきた」

   2. ㋑ある動作・状態が前から続いている。ずっと…する。…しつづける。「再三、注意してきたことだが」「改良を重ねてきた品種」

   3. ㋒ある動作をしてもとに戻る。…しに行って帰る。「買い物に行ってくる」「外国の事情をつぶさに見てこようと思っている」

   4. ㋓ある動作・状態をそのまま続けながら、こちらへ近づく。また、そのようにしてこちらへ至る。「敵が押し寄せてくる」「付き添ってくる」

［動ラ五（四）］

1. １ 細長い物を、順に引き出して物に巻きつけたり、端から順に手元に引いてまとめたりする。たぐる。「まゆから糸を—・る」「すばやく釣り糸を—・る」

1. ２ 送り動かして移動させる。「雨戸を—・る」

1. ３ 順に数える。「日を—・ってみたら、もう二か月にもなる」

1. ４ 綿繰り車にかけて綿花の種子を取り去る。

1. ５ 紙などひと続きのとじてあるものを順にめくる。「帳簿を—・る」「暦を—・る」

1. ６ 謡曲で、音をクリの高さに上げる。→繰り2

1. ７ 義太夫節で、ある音程から一段上の音程へ上げて語る。高潮した場面に用いる。

1. ８ 演劇で、俳優が頭の中でせりふの順序をつけ、その順に従って述べていく。