・・・そうして、御互に空間と云う怪しいものの中に這入り込んで、時間と云う分らぬものの流れに棹さして、因果の法則と云う恐ろしいものに束縛せられて、ぐうぐう云っていると申しました。ところが不通俗に考えた結果によるとまるで反対になってしまいました。物我・・・ 夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
・・・するとお父さんたちはお酒に酔っていてみんなぐうぐう睡っていていくら起しても起きませんでした。そこでルラ蛙はまたもとのところへ走ってきてまわりをぐるぐるぐるぐるまわって泣きました。 そのうちだんだん夜になりました。パチャパチャパチャパ・・・ 宮沢賢治 「蛙のゴム靴」
・・・兄貴はわらう、「一吠えってもう何十万年を、きさまはぐうぐう寝ていたのだ。それでもいくらかまだ力が残っているのか」無精な弟は只一言「ない」と答えた。そして又長い顎をうでに載せ、ぽっかりぽっかり寝てしまう。しずか・・・ 宮沢賢治 「楢ノ木大学士の野宿」
出典:青空文庫