心温まる
あたたかい人情を感じてなごやかな心になる。「—・る情景」
心合わざれば肝胆も楚越の如し
《「荘子」徳充符の「其の異なるものより之を視れば肝胆も楚越なり」から》気が合わないと、近親の間柄の者どうしでも、疎遠な他人のようである。
心入る
(「入る」が四段活用の場合)深く心にとまる。心が引かれる。「つねならぬ山の桜に—・りて池の蓮を言ひな放ちそ」〈後拾遺・雑五〉 (「入る」が下二段活用の場合)熱中する。打ち込む。心を入れる。「遊びに—・れたる君達」〈源・椎本〉
心浮く
1 心がうわついて思慮に欠ける。「—・きたるにつき、さては、宮仕へなどする人は…末の世わろきものなり」〈宇津保・祭の使〉 2 陽気になる。心がうきうきする。「—・きたる顔し、円座を尻につけ立ちて踊れり」〈咄・醒睡笑・一〉
心失す
驚いて気が遠くなる。「心も失せて、我にもあらでつい居 (ゐ) られぬ」〈宇治拾遺・二〉
心内にあれば色外にあらわる
心の中で思っていることは、自然と顔色や動作などに現れる。思い内にあれば色外に現 (あらわ) る。
心置く
1 執着する。あとまで心を残す。「いまはのきはまでいみじう—・き」〈夜の寝覚・四〉 2 打ち解けないで、心に隔てを置く。「つゆ—・かれ奉ることなく、塵ばかり隔てなくてならひたるに」〈源・蜻蛉〉 3 心遣いする。遠慮する。「まことのよるべと頼みきこえむには必ず—・かれぬべし」〈源・葵〉 4 注意する。用心する。「はかなきことにも—・きて見とがめつべきに」〈夜の寝覚・一〉
心後る
1 思慮が足りない。気がきかない。「かくまで—・れ、思ひやりなき事し出で給ふべしとは」〈狭衣・三〉 2 心がひるむ。気おくれする。「あやしく—・れても進み出でつる涙かな」〈源・梅枝〉
心重し
1 思慮深い。人柄が落ち着いている。「すぐれてをかしう、—・く」〈紫式部日記〉 2 俳諧で、おもむきが軽快でない。「ふかくおもひしづみ、かへって—・く詞 (ことば) しぶり」〈去来抄・先師評〉
心及ぶ
考えが行き届く。気がつく。「かの院、何事も—・び給はぬことはをさをさ無きうちにも」〈源・若菜下〉